ある運命の裏
※これはプロットもどきです。
ほぼ小説ではないはずです。
ご注意下さい。
あるところに、男達を誑かし好き放題するという『魔女』がいた。非常に美しく艶やかで、頼むだけで皆が言う事を聞いてくれる。
その上に幸運で、大抵のことは上手くいったのだ。色々な駆け引きも取引も、犯罪も全て。
だがその心は満たされない。
何か、圧倒的な欠けを感じていた。
ある時、そこに聖女が現れる。彼女は可愛らしくて優しく、その天真爛漫さで男達を奪っていく。
やがて魔女は自分の存在が危ぶまれると思い色々と聖女にちょっかいをかける。
何故かちょっかいの内容を知られており、上手くいかない日々を重ねて鬱憤がさらに募っていく。
そんなある日、聖女と同時期に現れた青年が声を掛けて、色々手伝ってくれるようになった。
手伝う代わりに一つ、言うことを聞いて欲しいと青年は告げる。「自分の居場所のためならなんだってする」と魔女は言った。
青年は封印されているのだという。封印を解けば、世界を意のままにできると。
解放するには、魔女と悪魔で契約をする必要があると言う。
身体を重ねて魔力の根源を繋げ、力を結ぶのだと。
実は処女だった魔女は、それに少し躊躇する。「少し時間が欲しい」とお願いをした。1週間以内には結果を出すからと。
ある雨の日、魔女は裏路地にいた。青年との取引に応じるためだ。
だが、そこに現れたのは別の男だった。
裏切られた、と思う魔女。男に追われ、逃げるとどんどん路地の奥の方へ入って行く。裏路地の道はある程度知っているはずだったが、迷ってしまう。
とうとう、魔女は男に捕まった。転んだところを上から動けないよう押さえ付けられ、淡々と罪状を告げられる。身に覚えがないものもいくつかあった。自分じゃないと抵抗すると、氷のように冷たい目で見下ろされる。
「嘘か否かは此方で判断する」と、顎を掴まれ強制的に目を合わせられた。その視線が恐ろしくて「なんでもするから助けて」と願う。
目を覚ますと、男は居なくなっていた。傘を差した青年が心配そうに魔女を覗き込んでいた。どこにいたのだと問うと「邪魔をされた」と答える。
そして、魔術が使えなくなっていた。青年は「残念だけど、今の君じゃもう駄目だ」と告げる。
魔力の根源を封印されてしまった。
魔術の得意だった魔女は他の人を生贄に使って封印を解く方法を思いつく。
しかしそれは勇者によって阻まれる。
魔王として覚醒した青年を、勇者が殺した。
魔女は魔力の根源を封印され、幸運まで失っていたのだ。
最終的に犯罪者として捕まった。
そして、斬首されることとなる。
斬首台に乗った時、後に立つ男が雨の日に出会った男だと気づく。
「あなたのせいで」と、睨むが、それと同時にどこか満たされた思いを感じた。出会ったあと、色々話していたらしいことを思い出す。記憶を消されていたらしい。お互いに欠けていたところを埋め合わせた、たった1日の思い出だ。
「最後に言い残す事は」と問われ
「きっとあなたと一緒だったら、もう少し幸せになれたかもしれないね」
そう零した。