128/140
夢:The Lady with a Sword
その日は久しぶりに、長い夢を見た。
*
「これを?私に……?」
ドレス姿の少女は問いかける。
「ああ。すごく似合ってると思うよ」
「ふふっ、そう?」
お世辞ではない。銀色の大きな剣の柄を両手で握り、腰を低くして堂々と立つその構えが、俺の目には鮮烈に映っていた。
顎を引いて、視線は真っ直ぐ俺に向いている。闘志が剣先を熱しているようだった。
少女は睨むのをやめ、自然な笑顔を作った。
「……私に扱えるかしら」
そう言うと振り向き、虚空に向かって袈裟斬り、薙ぎ払い。赤い髪がわずかに遅れて揺れる。目で追えないほどの速さだ。
貴婦人のような装いで剣を振るう姿に、違和感は少しも覚えなかった。
「よく動けるな」
「楽勝よ」
一息ついて、少女は剣を鞘に収めた。
そんな夢だった。
*




