つぶらな瞳のクレーンゲーム
アクリル板越しに、つぶらな瞳で僕を見つめてる少年がいた。
僕は少年に出ない声で話しかけた。
「すまんのぉ、わしは握力がないんや」
少年は、つぶらな瞳で僕を見つめてる。
そして、僕が商品を落とす旅にアクリル板を叩いた。
何回も何回も、
僕は出ない声で少年に話しかけた。
「わしの握力がなくて、すまんのぉ、」
少年は最後の100円が切れたのか両替しに行った。
その間、カップルが来て、カップルの男性が100円を入れた。
僕は、何故か力がみなぎってきた。
なるほど、どうやら一定の確率で力がみなぎるみたいだ。
僕は、商品に抱きつきブラックホールに突き落とした。
カップルが商品を持ち帰って去っていった。
入れ替わりに少年がやってきた。
少年は、つぶらな瞳でアクリル板の奥を眺めていた。
なくなった商品に気づくと、少年はアクリル板を叩きまくり発狂した。
僕は、出ない声で少年に話しかけた。
「すまんのぉ、握力がなくて」
少年は店員に連行されていった。