第八話 眷属
読者の皆様。大変お久しぶりです。
いろいろあって、いろいろあって、投稿できていませんでした。
またここから再スタートといければよいのですが......
「あ~蓮ちゃんが目を覚ました~」
知らない天井だ......なんだか既視感。だけど、この声は前は前はなかった。
「ん...誰かいるの?」
まだふらつく頭を押さえながら起き上がろうとすると急に体が重くなったきが...いや、抱き着かれたみたい。
「蓮治様ー‼」
「!??」
僕に抱き着いていたのは黒衣で紅眼の可憐な女の子だった。
僕は、まだ頭が働いていないので何が何だか全く分からない。
だけどこれだけは言える(近い近い近い近い‼たのむから僕が思ってることが伝わってくれ!)
するとどうだろう僕の思いが通じたのか僕の腰に回っていた腕の力が緩められ女の子は頬を紅く染めて
「あぁ、蓮治様蓮治様蓮治様蓮治様♡私の愛しの蓮治様♡お会いしとうございました。」
「ん、え?い、愛しの...というより君は一体...⁉」
何かに口をふさがれた?女の子の顔が近い......⁉こ、これって
誰かがものすごい速さでこちらに向かってきている音が聞こえる。
(あーこんな時のいやな予感って大体当たるんだよね)
部屋の入り口からきれいな黒髪の女の子が勢いよく顔を出した
「あぁ‼やっと起きたの?蓮治ーって‼」
はい、嫌な予感的中~‼よりにもよって李桜だ!......ってなんで李桜がここに?
「な、な、何してるのよ‼キスなんて、まだあたしもしてないのにー‼」
「ちょっと、李桜さんここで騒ぐと蓮治さんにわる...い......」
あ、あー美紗音姉てことは...何処かに愛美ちゃんも
軽く部屋を見渡すと...居た、それも誰だかわからない女の子の下に......
★
「む~」
「ごめんね愛美ちゃん。本当にごめんねこの子で全然気づかなかった」
「む~、蓮ちゃんなんてしらな~い。」
「そんなぁ......」
謎の女の子に下敷きにされたのが相当気に食わなかったのか、忘れられていたのが気に食わないのか愛美ちゃんはまったくもって許してくれない。
「はぁ~どうしたら機嫌治るかな。」
「ん~何か言った?」
「い、いやっ何でもないよ!」
「ならいいや~」
と言っているけど、ほっぺたが膨らんでますよ。愛美ちゃんは実に分かりやすい。これから先もこのままでいてほしいな。機嫌は治してほしいけど。
愛美ちゃんとの話が終わってほっとしたのもつかの間、李桜が胸ぐらをつかんできた。何故か目には涙が...
「ちょっと、蓮治‼色々聞きたいことがあるんだけどまず、あの女は誰!それとさっきのキスは何?何なのかさっさと答えて!」
あ、これはだめなやつだ。李桜完全にキレてる。こうなったら本当のことを話さないとヒートアップして大泣きしちゃうんだよね。どうしよう、正直僕もこの子のこと全く知らないんだけど、なんて言ったら落ち着いてくれるかな...
「いや、あのね李桜、落ち着いて聞いてね。僕もこの子が誰か全くわかりません!気が付いたらここにいて気が付いたらキスされていました!」
よし、全部ほんとのことだ。これで、李桜も少しは......
「嘘つくな‼あの女、蓮治と一緒に闘技場にいたじゃない!」
「え?そんなはず...」
「確かにいたぞ」
言葉が遮られた。
声が聞こえたほうを向くと、そこにはネスティスさんがいた。
バトルドレスから私服に変わっていた。
よく見るとネスティスさんの後ろにはネイスが隠れていた。人見知りしてる感がかかわいい。
「急に出てきたんだ。」
「急に出てきた?一体どういうことですか?」
「はっきりと言えないが......蓮治、剣を出しただろ?」
「はい。出しましたね、百鬼夜行を。」
「それで自分に突き刺したのを覚えてるか?」
「はい突き刺したのを......ウッ...」
突き刺した記憶がない...というよりも百鬼夜行を出してからの記憶が思い出せない。
思い出そうとするたび激しい頭痛に襲われる。何かが思い出そうとさせるのを阻止してるような感覚がある。いったいなんだ?
「一体何が?...イッ‼」
「だっ大丈夫か?!」
「ちょ、蓮治どうしたの?!」
「蓮治さん?!」
「蓮ちゃん?!」
「どうかなさいましたか蓮治様?!」
「うっうん。大丈夫、大丈夫まだ頭がちょっと痛いだけだよ。」
「本当か?まだきついならこの話はまた今度にするが...」
「大丈夫です。気にする程ではありませんので続きをお願いします。」
「あ、ああ。本人が大丈夫ならいいか。それで、どこまで話したかな?」
「突き刺したところです。」
「ああ、そうだった。突き刺してからいきなり黒い霧が剣から出てきてな。それで、その霧が消えたかと思えば今度はそこにいる彼女が君のそばに立っていたのだよ。それも忠誠を誓う姿勢で。」
「ああ!そういえば霧が消えたとたんに現れたわね。思い出しただけでもイライラするわ!」
「あ~そういえば~、なんか眷属とか言ってたよ~」
「確かにそのようなことを言っていましたね。」
霧が消えたらいきなり現れた?眷属?一体どういうことだ?みんな何を言ってるのか全然理解できないよ。
僕が一人で悩んでいるとスっと僕の後ろから今話題となっている女の子が動き出した。
みんなの視線が彼女に集まる。
「皆様お静かに。蓮治様がこんがらがっています。皆様だけで討論しても何も解決しないのは目に見えていますので、ここはわたくしめ自身がご説明いたします。」
「討論も何も自分のことくらい自分でするのが当たり前でしょ?さっさとしなさいよ。」
「はぁ。これだから駄犬は」
「だ、駄犬って一体どういうことよ!」
「お静かに、蓮治様の前ですよ。本当にうるさい犬ですわね。」
「うっ......///」
「あああああ!うん。もういいから。早く説明をお願いします。」
ああ、一歩遅かった。李桜泣き出しちゃったよ。あーもう何なのこの子。
「はい♡蓮治様、今ご説明いたします♡」
なんでこの子は僕に対してこんなに話し方が変わるんだ?
「わたくしは姫。百鬼を統括する者でございます。蓮治様♡あなた様とお会いできる日を心よりお待ちしておりました♡わたくしは蓮治様の剣。何なりとお申し付けくださいませ。」
「まだよく理解できないが、姫が君の名前なのか?」
「いいえ、わたくしは正式な名を持っておりません。周りから姫と呼ばれていたので姫と言いました。姫が嫌なら蓮治様がつけてくださいませ♡」
うーん、姫は姫でいいが名前がないのは少し悲しい気がするよなあ。黒い髪、星のような瞳、そして一番印象に残りやすいであろうな黒衣。
「...る」
「どうかなされましたか?」
「夜。うん、君の名前は"夜"。どうかな?」
「夜......素晴らしい響き。」
「あ、いやだった?嫌なら姫のままでも...」
「いいえ、素晴らしい名前ですわ♡この名に恥じぬよう精一杯ご奉仕させていただきます♡」
「いやそんなにかしこまらなくてもいいよ。それと蓮治様じゃなくて普通に呼んでくれないかな?」
ネイスに言われてもなんとも思わないんだけど、夜に言われるとなんだかむず痒い感じがするんだよね。
「それでしたら。はい、旦那様♡」
「ちょっアンタ!旦那さまって......」
「あ、はい。もう蓮治様のほうでお願いします。」
また騒ぎになりそうなので無理やり終わらせる。
呼び方を変えるのはダメでした。
名前が分かったところで一つ気になることを聞いてみた
「ねえ夜。夜は僕の眷属って本当なの?」
「はい。その通りですわ蓮治様♡」
ほんとに眷属らしい。というよりも、夜の反応の仕方がいちいち大人びてるというかエロいというか、なんか集中できない。
「あ~蓮ちゃん、なんかいけないこと考えてたでしょ~」
「い、いや。考えてないよ。変な言いがかりはやめようね愛美ちゃん。」
「うそだ~絶対考えてた~」
「考えてないから!」
話がずれたので話を戻す。
「それで眷属ってことだけど、一体なんでそうなったのかな?」
「それは、蓮治様が百鬼様とご契約なされたからです。」
「契約?」
「はい。血鬼神シリーズの神具はシリーズ名通り刀身に血を浴びれば浴びるほど強くなっていくものなのです。それに伴い契約方法も他のシリーズとは違い大量の血液が必要なのですわ。そのため契約時には体の中で一番血液が集まる場所、つまり心臓に刀身が行き着くように体を神具自身が操ることとなっております。」
「ああ、皆胸に刺したって言ってたけどそういうことだったのか。」
「はい。その通りでございます♡」
「でも僕が契約したのは百鬼夜行自体とでしょ?なんで夜が眷属なの?」
「それは、わたくしが望んだからです♡」
え、望んだ?初めから僕が使用者だってわかってったみたいだな。
そもそもなんで夜は僕のことをこんなに気にかけているんだ?
「元々百鬼様とご契約なされると、百鬼の中からどなたかが選出されて必ず眷属が付くことになっておりますわ♡それでわたくしはどうしても蓮治様と一緒にいたかったので百鬼様に無理を言って眷属にさせてもらいました♡」
「でもなんで使用者が僕だと気づいたんだ?」
「それは、蓮治様がこちらに来る前から分かっていたことですもの......」
「え、ごめん。聞こえなかった。」
「なっなんでもないですわ♡きっと運命の神様がお教えになさってくださりましたのです♡」
「そ、そうなんだ」
運命の神様ね。いったいどんな神様なのだろうか。
一通り夜についてはわかったけど、まだ何か引っかかってるような気が。
「それでは蓮治様。百鬼様のお示し通り精霊と契約をしに行きましょう♡」
え?精霊と契約しに行くって言った?
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