プロローグ
皆さんこんにちは西蓮寺 一華による初投稿作品です。
初投稿なのでいろいろ問題点があると思いますが温かい目で読んでいただければ幸いです。
ここはとある広場
「あー頭がくらくらする。」
ぼんやりする視界の前に一人の少女がいた
「気が付いたみたいだね...」
少女の声は鈴のように透き通っていた
「き、君はだ...」
「楽しませてね」
少女は僕の質問を遮るかのように微笑み頭の前に手を出してきた
「あなたに奇跡がありますように」
少女がそう言い終えたとたん視界が真っ暗になった。
「私は...なたの...ばに...」
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「お…、おい起きんか。」
誰かに声をかけられ起きる僕の目の前に「わしは神だ」とでも言いそうな白髪頭に、長く立派な白ひげを持ったおじいさんが立っていた。
「あ、あなたは?」
「やっと起きよったか」
「こ、ここは?」
「ここは神殿じゃよ。そしてワシはここの最高神じゃよ」
「し、神殿?さ、最高神?」
やっぱりこのおじいさんは神様だった。
「そう、だがここはお主等が知っているような遺跡のほうの神殿ではない。簡単に説明するなら神たちが住んでいる世界じゃ。」
「神の住んでいる世界?ということは、僕はもしかして死んじゃいました?」
「んー、主の場合は死んだのは死んだのだが、無理やりこちら側に引っ張り込まれた感じなのじゃよ。」
やっぱり死んだのか......ん?
「引っ張り込まれた?」
「さよう、何者かがお主をお主のいた世界からこちらの世界に引っ張り込んでしまった。正しい方法での召喚ならお主も一度死なずに済んだのだが、なんせ無理やり引っ張り込んだのでな...」
「え?僕のいた世界から神様の世界に、ということですか?」
「いや違う、お主は自身は今何もない草原にいる。ワシたちが管理している世界のものが勝手にこの世界に君を召喚しまったのじゃ。そのため事情を話すために今は魂だけ神殿に呼んでいるのじゃ。」
「つまり、僕は異世界にいるんですね?」
「そうじゃ。」
よっしゃ‼と心の中で思ってしまったのは内緒にしておこう。
「して、こちらの者どもが勝手に召喚してしまったことをやつ等に代わって深く謝罪する。それと、この世界には魔法やモンスターなどが存在するが、確かお主の世界には魔法もモンスターなども存在していなかったな?せめてものお詫びに魔法を使ってこの世界を楽しめるよう適性をつけておこう。」
「本当ですが?ありがとうございます。」
ヤッター‼これで僕も俺ツエーがで「練習しないと使えないがな...」エェェー......この瞬間僕の異世界生活一つ目の夢は簡単に打ち砕かれたのだった。
「あーそうじゃ、お主何か欲しい力はあるかの?」
「力?」
「そうじゃ、ただ魔法適性があっても楽しくなかろう、なので好きな力を一つ与えよう。」
「いえ、魔法に適性をつけてくれたのですから力は結構ですよ。」
「いやそういわずに、こうもしないとワシの最高神としてのイメージが...」
困ったな、僕は魔法適性だけでも十分なのに。
「うーん、じゃあすべての人々と話せる力をください。」
「言語理解ならもともと与えておるぞ。」
「いえ違います、モンスターなどの言語が理解できるような力です。」
「ほう、翻訳魔法か、よかろう」
神様は僕の頭の上に手をかざした。
「あれ?なにもおこらない?」
「いや、もう与え終わったぞ。試しにこれを読んでみるといい。」
と言って神様は僕に一冊の本を手渡した。表紙にはゴブリンと書かれている。
「ゴブリン?」
「よし、読めるようじゃ。本来ならその本はゴブリンにしか読めんからの。」
本を開くとゴブリンについても様々な情報が記載されていた。黙々とそれを読んでいたら
「お主の魂を体に返すにはまだ時間が余っておる。なのでその時間を使ってこの世界についての知識を頭に入れておくがよい。」
と神様はたくさんの本を持ってきた。東西南北に分かれている王国や、亜人、魔法についてなどの本がたくさんあった。こんなに読むのかよ、とついつい心の中で思いながらも黙々と本を読んだ。読んで、読んで読み続けた。全部読み終えたかと思うと神様は新しい本を持ってきていた。神様はにこにこ笑っている、まるで受験勉強をしている子供を温かい目で見守る親のように見えた。
あれから何時間過ぎただろう。僕はまだ大量の本を読んでいた。
「あのー神様、僕もう十万冊以上本を読み続けていると思うのですが、あとどのくらいありますか?」
僕は顔を本に向けたまま神様に尋ねた。最初にゴブリンの本を読んで王国、大陸、亜人、モンスター、今は魔法の本を読んでいて、この世界についてもう大体知ることができたからいい加減いいのではないかと思ったからだ。
「お主の読んでいる本で最後だぞ。それにしてもあれほどあった本をもう読み終えるとはお主の集中力は計り知れんのう。それはそうとお主に言い忘れていたことがあった。」
「何ですか神様。」
神様は何やら真剣な顔だった。僕は読み終えた最後の本を置き神様のほうを見た。
悪い話ではないといいが、もしもの時のために心の準備をしておこう。
「わしも今さっき神の集会で知ったことなのだが、お主の義姉妹なるものもこの世界に召喚させられていたらしい。ワシに入っている情報ではお主の義姉になるものが二人と義妹になるものが一人となっている。あっているかのう?」
「はい、たぶんあっていると思います。名前は、聞いていますか?」
「すまんの、名前までは聞いておらん。」
「そうですか。」
名前を聞いていなかったのは痛いな。もしあの三人ならすぐに会わなければ大変なことになる。もとの世界では、僕が一週間いなかっただけで死のうとしたぐらいだ。早く会って安心させなければ...
「あのー神様、それでその三人は、今どこにいるかわかりますか?できれば早く会いたいのですが。じゃないとあの三人、世界を滅ぼしかねません。」
「お主の義姉妹は、お主のように力をもらいとうにこの世界に降りていると聞いている。追いかけるとなるとすぐに降りないといけぬのう。しかし世界を滅ぼしかねないとは、お主も大変よのう。」
と言い終えると神様は手を前にだし呪文を唱えた。すると僕の目の前に人が二人は入るほどの大きさの青色の魔法陣が出てきた。魔法陣を見ていると頭の中に【転移門】という文字が浮かび上がってきた。
「転移門?」
とボソッとつぶやいたはずだったが神様には聞こえていたらしい。神様は僕が発した言葉に一瞬驚きはしたが何かに納得したようにまた集中して呪文を詠唱し続けた。しばらく待っていると詠唱が終わったらしく青色だった魔法陣は虹色に光っている。
「これでお主を転送する準備は整ったぞ、さあ魔法陣の中央に立つのだ。転送が完了すればお主は草原にいるはずじゃ。その草原の近くには一つの小さな村がある、そこにいる亜人に魔法を教えてもらうがよい。」
「はい。神様、何から何までありがとうございます。」
僕はそう言って魔法陣の中央に立つ、そして感謝とお別れの意味を込めて頭を下げると神様は微笑みながら
「気にするでない。もとはと言えばこちら側が悪いのだからのう。それとこれはわれら神からの助言じゃ。〝己を信じ黒き神官に惑わされるではない〟それではまたどこかで会おうぞ。」
と言われ指を鳴らした。するとあたり一面が虹色に輝く光に覆われ気が付くと僕は何もない草原にぽつんと立っていた。
本当に何もない草原だったが神様の言っていたことを思い出し、棒倒しで進むべき道を決め、村を探すために僕は道なき道を歩き始めたのだった。
プロローグから謎人物が一名出てきましたね。彼女はこの作品のカギとなる人物なので、後からもぼちぼち登場すると思われます。
義姉妹のストーリーは後程。
お読みいただきありがとうございます。