たとえばこんな悪役令嬢
久しぶりに投稿します。
リハビリ作品ですので、生ぬるい目でスルーしてください。
~パーティー会場~
私が学園の卒業パーティーで配膳をしていた最中、
「エリス、私はお前との婚約を解消する!」
会場に鋭い声が響き渡ります。
皆様がその声がする方に目を向けると、そこでは王太子グレアム様が、公爵令嬢エリス様に婚約破棄を言い渡しておられました。
その隣には子爵令嬢のユリア様のお姿が。
私は、遂にこの日が来たことを感じていました。
「な、何故ですグレアム様!私が何をしたと言うのですか!」
「白々しい事を言うな!私の愛するユリアにした事、忘れたとは言わさぬ!」
そこから、グレアム様は滔々といかにエリス様か酷いことをしたかを断罪されました。
エリス様は最初顔をあげていたが、次第に下を向き、肩を震わせます。
他の方々は怒りのあまり震えていると考えておられるようですが、私だけは知っています。
エリス様は怒っているのではなく、
可笑しさをこらえていることを。
~半年前~
「グレアム様、もう一度申していただけますか?どなたかどなたをあいしてると?」
雑務を終えて廊下を歩いていた時、ふと聞こえてきた声。
なにやら修羅場の予感に、私は思わず聞き耳を立てた。
「わたしが、このユリアを愛していると言ったんだ。何の罪もない君にはわるいが、君との婚約を解消したい」
「それは本気ですか?ユリア様、あなたも?」
「本気です、私もグレアム様をお慕いしております」
正に修羅場でした。
私はこの後、エリス様がどのように癇癪を起こすかと期待していると、
「わかりました。条件付きで認めましょう」
エリス様はあっさり認めました。
なぜ?と思いながら聞き耳をたてていると、
「条件は、私をグレアム様の権限でアカデミーの研究助手にしていただくことです!」
…はい?
アカデミーというと、いくつもの新しい魔道具を開発している、いうなれば《魔道具オタクの聖域》だ。
行くんですかそこに?エリス様が?
「私、昔から魔道具に興味があったんですの!いつか絶対アカデミーに行こうと思っていたんです!」
「そ、そうか」
グレアム様ドン引きです。
「ですが、父からグレアム様との婚約を聞かされたとき、わたしはその夢を諦めました。こんな事で諦めるのは嫌でしたが」
「……」
うわあ、グレアム様めっちゃへこんでますよ。ユリア様に慰められていますが、あまりにも哀れな…
「ですからあなたたちの事は認めます。私の夢を叶えていただけるのでしたら」
~その後~
それからの事は混沌の一言に尽きます。
エリス様は怒りをあらわにしたふりで会場を後にし、ほかの貴族皆様はものすごい勢いで噂話を量産しておりました。
私以外のメイド達も同じで、教師の皆様は右往左往してばかりでした。
ちなみに、グレアム様とユリア様はあっさりと立ち去られたため、この混乱はしばらく続くでしょう。
そして私は、
「お疲れ様でした、エリス様」
「ありがとう、あなたのおかげですべて上手くいったわ。あの時立ち聞きしていたのがあなたでよかったわ」
今回の黒幕を労っています。
「いえ、私はただほんの少しお手伝いしただけのこと。すべてはエリス様の知略の賜物にございます」
そう、こっそり手紙を届けるとか、いつどこにどんな人がいるか調べたりとか。
「謙遜はいらないわ。如何に素晴らしい脚本を用意しても、どんな名優をキャスティングしても、演出が良くなければ三流の演劇しかできないのと一緒よ」
いえ、あなたに言われたとおりに動いただけなのでそんなたいしたものではありません。
「さてと、これからあの二人も大変ね。上手くいくといいのだけれど」
何のことでしょう?
「あら、わからないかしら?あの二人は陛下の決めた婚約にノーを突きつけたのよ?まず確実に陛下から叱責されるわ」
うわー、グレアム様も大変ですねー。
「次に後ろ盾だったうちの家も距離をとるわ。最悪縁を切られるわね」
確かグレアム様の母君は伯爵家の出でしたね。
下手すると後ろ盾のない王太子の誕生ですか。
「最後に、今後ユリア様は王妃教育を叩き込まれるわ。それも徹底的に。彼女はそれに耐え切れるかしら?」
「それはエリス様もなさってきたことですよね?それなら…」
「私が十年頑張ってきた事を彼女は一年以内にさせられるのよ?下手すると精神を病んで別人みたいになるわ」
それがわかっていて身を引いたんですか?
「(聞かなきゃよかった)」
「ま、私は今後その様子を見物させてもらうだけだから。気楽っていいわねー」
うう、怖い人に関わってしまった…




