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終結。

「あんた、オーナーを殺したな。」

衝撃の一言をキイチさんが言う。

僕は、オロオロとサブオーナーを見る事しか出来ないでいた。


とうとう、サブオーナーの膝が崩れ落ちた。

そして、ぽつりと話し始めた。

曰く。

そもそもの始まりは、とある建設会社がこの辺り一帯に目をつけた事だった。

そして、開発の為に土地の買収を始めたが、地元住民の反対に遭って対立していたらしい。

オーナーとサブオーナーも反対派だったのだが、サブオーナーは途中で説得する側に。

と、いうのもサブオーナーには、歳の離れた妹がいて、心臓疾患があった。助かるには、手術を受けなければならないが、それにはお金がかかる。

父は、既に他界していて、母が働いたお金と、サブオーナーが定期的に送るお金でなんとか通院はできた。

が、手術となると・・・。そんな中、様態が悪化して、早急に手術を受けなければならない状況になってしまった。

それを知った、開発推進側が、手術代も腕の良い医者も用意するからと、話を持ちかけて来た。

悩みに悩んだが、妹を助けたかったらしい。

だから、どうにかオーナーを説得しようと試みた。

オーナーとは、幼少のころからの親友で、二人でペンションを経営するとずっと言い合っていたのだそう。

親友は、どうしても首を縦に振らない。逆に激昂して、怒鳴り散らす始末。

そんな時に、オーナーが常用している薬が、ジヒドロピリジン系高血圧症薬と知ったのだそうだ。

そして、今回の犯行・・・香草で味を誤魔化してグレープフルーツを多量に摂取させ、態と激昂させて薬を飲ませる。

念には念を入れて、部屋の温度を高めに設定した置いたそうだ。

普段は、二人分の賄食を作るのだが、昨夜は一人分(あの男の分だ)余って、勿体ないから食してくれと頼んだ。

オーナーは、疑う事も無く食事を口にした。ちなみに、風邪気味で鼻が利かなかったらしい。

貴方達は・・・。というので、僕たちは探偵と探偵助手です。と教えると、サブオーナーは気が抜けたように笑ったのだった。

「死に至るなんて・・。入院するだけで良かったのに・・・。」

という呟きは、言い訳にしかならない。


サブオーナーは、やって来た警察に罪を告白し、連行されていった。勿論、あの一人客の男性も。

男性は、サブオーナーに話を持ち掛けた建設会社の社員だった。

そして、僕たちとカップルは、軽く事情聴取を受けると直ぐに解放されて、それぞれ帰途に就いたのだ。


「ね。キイチさん。グレープフルーツと高血圧の薬ってなんの関係があるんです?」

ああ。とキイチさんはダル気に教えてくれた。

「グレープフルーツの成分、ナリンジンを摂取した状態でカルシウム拮抗薬、今回だとジヒドロピリジン系高血圧症の薬だな、を飲んだ場合に急性低血圧を引き起こす可能性がある。最悪、死に至る。」

ええええ。グレープフルーツですよ?

皆さん、好きでしょう。僕もよく食べますよ?薬の服用時には、色々気をつけなきゃいけないんですね・・・・。


って。

「あああ!!!」

僕の叫びに、キイチさんはビクリとして飲んでいたコーヒーを噴き出した。

「また、タダ働きじゃないですかぁあああああああ」


僕の叫びは、西城探偵事務所内に響き渡った。

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