浮かび上がる点。
朝食を済ませ、部屋に戻るとキイチさんは黙ったまま右手の指を唇に当てていた。
「朝食ですが・・、なんか薄味でしたね。僕、お醤油とかいっぱい掛けちゃいましたよ。」
スルーされると思っていたのに、キイチさんは反応を返した。
「おい、カナメ。昨夜の夕食はどうだった?」
は?自分でも食べたじゃないですか。ボケちゃ・・・い、痛いです。殴らないで下さいよ。まだ言ってないんですから。
「ちょ・・ちょうど良かったですよ。すごくおいしかったじゃないですか。まあ、ちょっとは香草がキツかったですけど。」
そうか・・・。とキイチさん。
キイチさんが黙り込んだので、僕は暇を持て余してテレビでも点けてみた。
『―――XX建設の強引な開発は、どうかと思うんですが。』
『なにを言っているんだ。我々は、正当に土地を買っている!文句を言われる筋合いはない!!』
『こちらとしては、開発に断固反対します。』
『XX地区は、ほぼ我々が買ったんだ。』
ん?ローカル番組ですね。
この辺りの開発問題なんでしょうか。
「あ、このペンションも開発予定の範囲に入ってますね。」
と、キイチさんを振り返・・・。
うひゃあああ。
キイチさん、無言で真裏に立たないで下さいよ。吃驚しました!!
「開発・・・。」
って、僕の事目に入ってないですね?おーい。キイチさん?僕、さみしいです。
「開発問題・・・」
キイチさんのブツブツが続く。
反対・・・、香草が多めの味の濃い料理・・、激昂・・・、高血圧・・、薬・・・。
「ああ、また部屋の中暑いです。昨夜も暑いのに、空調一括管理みたで温度下げられなかったんですよね・・」
って、キイチさん。指が肩に食い込みます。痛いです。
「昨夜、暑かったのか?」
「え?暑かったですよね・・・って、あ、キイチさん部屋に入るなり爆睡でしたもんね。」
サービスワインを僕の分と二杯飲んだだけなのに。いつもより早いですね?酔うの。
「あぁ?爆睡?」
そうですよ。鼾煩いから鼻摘んで・・・・。ごめんなさい。
キイチさんは、再び右手の指を唇に当てていた。
クルリと向きを変えて、キイチさんは階段を下りて玄関へ行き外まで出てしまった。
ぐるりと建物を回って、裏手までやってくるとキイチさんはトンデモナイことを始めた。
「き、キイチさん?何してるんですか!?!?」
僕は、慌ててキイチさんの腕を掴みました。
「キイチさん。早まらないで。そこまでお金に困ってないで・・・」
ガコン。渾身の一発ですね。今日、一番痛いです。
「ドアホ。目的が違う。お前も手伝え。」
と、僕にゴミ漁りをさせた。
「あ・・ありました。キイチさん、ありましたよ。」
幾つ目かの袋を開けて、目的の物を見つけた。
「やっぱり、あったか・・。グレープフルーツ・・。」
皮ですけどね?
「でも、グレープフルーツなんて、出なかったですよね?」
その皮の入った袋には、昨夜の夕食に出ていた香草も一緒に入っていた。
「ちょっと、それ持って来い。」
そう言うと、再び建物を回って行ってしまった。
「だから、追いて行かないで~。キイチさーーん。」




