不明の人物。
僕とキイチさんがスタッフルームから出ると、若いカップルが不安半分、興味半分といった態で階上から覗きこんでいた。
僕と目が合うと、オズオズと男の方が話しかけて来た。
「あの・・・。何かあったんですか?」
僕はどう返答すればいいのか困って、キイチさんを振り返る。
すると、キイチさんが質問に答えを返してくれた。ストレートに。
「オーナーが亡くなった。」
「えぇ。お・・俺たちはどうなるんですか??」
どうもならないんじゃ、ないでしょうか。
「まあ、警察なんかが来るだろうけど、軽く事情確認されるだけだろうよ。直ぐに解放されるよ。」
その言葉で安心したのか、二人揃ってほっと息を吐いた。
思わず、僕も吐いちゃいました。
・・・ん?キイチさん、なんですか、その冷たい目は。
警察が来るまで、部屋で待機する事となり、僕とキイチさんも大人しく部屋へと引き上げた。
僕は部屋のテーブルの上に乗っていた、空のペットボトルを見て声を出す。
「あ、そういえば、もう一人のスタッフは、何処行ったんでしょうか?」
昨夜の事を思い出して、僕が言うと、キイチさんは盛大に眉を顰めた。
「あぁ?もう一人のスタッフ?」
こ・・怖いですよ。キイチさん。悪人面してます。
睨みながら僕に聴くので、昨夜の事を説明した。
勿論、怖かった事は内緒で。ついでに、鼾の文句も付け足した。
「で、十二時頃にこそこそ話して、二人でスタッフルームに入ったと。」
そう言うと、右手の指を唇に当てて黙り込んでしまった。
スタッフが一人、見当たらないだけですよ?
どっかへお使いに出かけてるんじゃ、ないですかね?
キイチさんは、徐に立ち上がると部屋を出てしまった。
あれ?ど、何処行くんですか?キイチさん!!
親ガモに必死に付いて行く子ガモよろしく、キイチを追って部屋を出る。
階段の所まで行くと、談話スペースにキイチさんを発見した。
キイチさんは、サブオーナーと話しているようだ。
「ここのスタッフは何人だ?」スタッフの確認をしたかったのか、そう質問をした。
「え?オーナーと私、それとお客様の予約状況によってバイトの子一人に来てもらいます。」
昨日は?の質問には、バイトは来ていない。オーナーと自分の二人だけ。との答えが返ってきた。
「昨夜の来訪者は?」
「・・・いません。」
あれ?あれあれあれ?じゃあ、昨日の人は一体誰だったんでしょう?
僕は首を傾げるのであった。




