助けて
「ねぇねぇ、今から一緒に遊ばない??もちろん、お金はこっちが出すからさ。」
軽そうな2人の男が、前に立ちはだかっている。
おそらく20代前半。
私達の前にも、いろんな子に声をかけてきたに違いない。
最初は無視をしていたが、しつこいので声を出してしまった。
「連れがいますんで!!」
もちろん言ったのは、私。
相手は気にせず
「そんなことで、引き下がんないよ。」
と笑って言い返した。
そして、無理やり引っ張り、歩き始めようとした。
「ちっちょっと!!」
「いいから、行こう行こう。」
ぐいぐい引っ張る。
もう1人の男は、美菜の肩を押していた。
「もう、いい加減にして下さい!!」
全然聞いてもらえず、目からは涙が出そうになって
(渉!!)
と心の中で叫んだ瞬間、ぐいっと違う方向から引っ張られ、気がついた時には腕の中にいた。
そしてすぐに、渉だと分かった。
「人の彼女に何してんの。」
普段じゃ考えられないような鋭い目つき。
私を引っ張ってた男は後ずさり、もう1人の男に声をかけ、逃げようとする。
しかし
「いやだね!!こんな子のがしたら、もう二度と会えない。」
と言って、美菜を押すのをやめない。
その遣り取りを見ていた私達は焦ったが、渉は動こうとしない。
「渉!!美菜ちゃんが!!」
しかしそれでも
「大丈夫だから。」
と言って動かない。
私は、痺れを切らして行こうとした。
だが、腕をつかまれた挙句、羽交締めにされ余計に動けなくなった。
「渉!!何ふざけてるの!!・・・放してよ!!」
「咲生、静かに。」
滅多に呼ばない名前で呼ばれ、さらに動けなくなってしまった。
次の瞬間、思いがけない光景を目にしてしまった。