2人きりで
「着いたよ。」
渉の声で、目線を美菜から前に目を向けた。
目の前には、誰でも気軽に入れそうな雰囲気のあるお店があった。
お店の中は、日曜日なだけあって込んでいた。
だが、中が広いおかげで、狭いとは感じなかった。
商品は、自分のためのアクセサリーから結婚指輪までさまざまな物が置いてあった。
「私ちょっと探してきます。」
私達と美菜は、時間を決めて別行動になった。
渉と約束の時間まで、2人で店内を見て回った。
友達と来てる子や私達みたいにカップルで来ている人たち、結婚指輪を選んでる人たち等がいた。
その中には、友達が彼氏らしき人と並んで歩いていたので、ビックリした。
(ついこの間までいないって言ってたのにー。明日絶対聞かなきゃ!!)
そう思っていると渉が声をかけてきた。
「・・・あれってさっちゃんの友達だよね?」
「そうそう!!渉も分かったんだ。」
「だって、さっちゃんがよく話してるもん。『可愛いのに彼氏がいないー!!』って。だから僕が『誰か友達紹介しようか?』って聞いたら聞いたで『あの子に相応しいと思える人じゃないとダメ!』って言ったんだよ。」
「・・・そんなこと言った??」
「うん!!」
渉に、力強く頷かれてしまった。
(・・・私、どっかの見合いのおばちゃんじゃん。)
落ち込んでため息をついた。
渉は、私が考えたことが分かったのか、笑っている。
そんな渉を睨もうとした時、ある1つのアクセサリーに目を引かれた。ネックレスだ。
首元に、淡い水色と紫のビーズが散りばめられていて、中心にゴールドピンクのハートが2つ絡み合っていた。
(可愛い!!)
見た瞬間一目ぼれをした。
(・・・欲しいな。でも今ここで、買ったら絶対渉がお金出しちゃうし・・・。)
名残惜しそうにもう一度見てから時計に目をやると、約束の時間まで後数分だったので戻ることにした。