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パートナー ~竜使いと竜殺し~  作者: MK
第三章 貴族からの刺客
73/112

1-5 友人

最後ちょっと変えました








 久しぶりの学年合同模擬戦があった日の屋上にて。


「やっと二人きりになれたね」

「強引すぎるけどね」


 河内恵子は、能美みゆきを連れ出してきていた。

 風が吹きすさび、みゆきのスカートと黒髪はばさばさと音を立てる中、恵子は言った。


「わざわざどうしてこんなとこに?」

「言うまでもないでしょ。話がしたいからよ」

「毎日会ってるのに?」

「みんながいるところでね。あんた、私と二人きりにならないよう逃げてるでしょ」


 腹がたつやつだ。その位わかるっつうの。


「それで、みんながいるとこじゃできない話って?」

「あの悪魔使いとのこととか。あんた本当にいいの?」

「いいも何もないよ。仲良くしてるだけ」

「恋人なの?」

「――候補、かな」

「恋人に候補も何もあるの? そんなのやるのは小悪魔ぶったクソアマでしょ。いつからそんな女のゴミための住人になったの?」

「恵子、口悪すぎ」

「あんたがさせてるんでしょ」


 みゆきの表情を覗うが、煽られた長い髪が、顔を覆ってしまっていて、ほとんど見えない。

 風は強く、執拗なまでに顔にまとわりついている。しゃべるのも億劫そうだ。

 そんなのは当然当人も鬱陶しいはず。

しかしみゆきは両手を後ろ手に組んだまま動こうとしない。手で適当に遮ればいいのに。

おそらくわざとだ。顔を見せたくないのだ。

詰め寄って髪かきあげたろかとも思ったが、止めて、代わりに質問を続けた。


「あの悪魔使い評判いいね」

「そう」

「あんたと瓜二つの評価ね。お似合いだってさ」

「そう」

「でも私にはわかる。アレ、性格悪いでしょ」


 一瞬だけくちごもったが、それまでと変わらない口調で、返答された。


「そんなことないよ」

「実はさ、私平唯とも最近話してるのよ。あの子もいいやつね。頭良すぎるけど」

「唯も喜んでるでしょうね。恵子と友達になれて」

「それでスポーツ公園での一件とか聞いたんだけどさ、それわざとでしょ」

「何を根拠に」

「女の勘」


 ギルド部一行とみゆき達の予約がバッシングしたまではいい。

 あそこは学校に近いから、学校帰りに使うには一番良い場所だ。

 そしてみゆき達は大会に向けて日々練習していて、そこを使っていてもなんらおかしくない。

 歩達が予約したのも、当日行って使えるとか考えるのは少し甘すぎるが、なくない。

 浮世離れした三人だ。


 しかしその後の行動がわざとらしすぎる。

 大会直前の練習時間を、それも竜使いの対抗馬にすんなりと明け渡す?

 敵情視察のため? 人がいいから? 竜使いだから?

 そんなのよりもっと自然な理由がある。


「あれ煽りでしょ。あなたたちのみゆきさん、いただきましたよ、っていう」


 みゆきが何も言わないので、続けて言う。


「今日の模擬戦でもそうだよ。これ見よがしにずっと一緒にいてさ。あんなあほなバカップルごっこをあんたがするわけないじゃん。しかも恋人候補とか言ってる相手に」

「あ、ごめん、この後用事あるんだ」

「あいつと練習? 対して好きでもないやつと? 底意地の悪い表面だけの馬鹿と?」

「ひどい言い草」

「何かあるの? あいつと」

「何も。じゃ」

「逃げんな」


 止める間もなく、みゆきがぱっと走りだした。

 私がいる方とは反対側の出口に向かって、本気で逃げる。私じゃ追いきれない。


「ほんと、不器用なんだから」


 風だけが、私の独り言を聞いていた。


短いですが、こんなもんで。次回iです。

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