自転車
俺が君と2っきりになれるのは
帰りだけ。
だって、
2人は付き合っていないから。
仲良しグループで居る俺ら。
6人って言う大人数で
学校でも一緒
だけど、
帰りだけは
こっち方面は二人だけ。
だから、君は
僕の自転車の後ろに乗って、
家に帰る。。
「ねー、ゆかぁー?」
「なーにぃー?」
「お前彼氏とどうなのー?」
「ラブラブー」
そう。
ゆかには
彼氏が居る。他校だけど彼氏が居る。
俺はゆかがほしいのに、
ゆかは今は違う人のもの。
ゆかのあの小さな体は他人の腕の中に。
だから、
帰りに一緒に自転車で帰るだけ。
この長い長い下り坂を
君を自転車の後ろに乗せて
ブレーキいっぱい握りしめて
ゆっくりゆっくり下ってく
早く下ってしまうくだり坂も
俺の背中からの君の温もりを
いっぱい長い時間感じていたいから・・・
ゆっくり下っていくんだ。
あれカラ
毎日毎日
一緒だった。
帰りだけは2人だった。
俺はまた聞く。
「ゆかぁー」
「なにぃー?」
「彼氏と相変わらずラブラブなのー?」
「・・・・」
「ゆかー?」
「別れた」
キキーー!!
「えぇ??!!」
俺は思わず振り返る。
君は下を向いて
「別れた」
そう言った。
喜んでいいのか
わるいのか・・・
訳が分からず
俺は自転車をこぎだした
君を乗せて。。
そしたら
君の明るい声
が聞こえてきた
「ヒーーローー!!!」
「うぇぇ?なんだよ」
「あたしさー
彼氏と別れたのはー
好きな人が出来たからー」
「え、馬路でー?」
「ヒロなんだけどさー」
キキーー!!!
「嘘??」
思わず振りぬく
その瞬間
ホッペに柔らかい感覚が
チュッ
「本当なんですけどー」
「馬路でですかー?」
「ほんとーでーーーす!!!!」
「俺も好きでーーーーす!!」
「ん、知ってた」
「知ってたのかよ!!!」
「バレバレじゃん?」
「あー・・・」
「でも、いいじゃん」
「まー・・・」
「あたし、ヒロの背中好き」
「自転車の後ろ?」
「そう!!」
「でも、これからは見せねぇよ」
「なんで?」
「横で手ぇ繋いで歩きたいから」
「あたし、それがいい!!」
それにブレーキかけなくッたって
ゆっくり歩いてくんだから・・・・
この長い長い下り坂を
君を自転車??
違う違う・・・
コレでしょ
やさしく降り注ぐ木漏れ日が
まだらに君を照らす
今 僕たちは
同じ歩幅で 見慣れた街ただ歩いてゆく