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資格を学んで人生やり直し  作者: 仕事が生きがい~結婚諦めた~
第一章 資格を学ぶとは

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第十五話 模試の点数より、心に残った一問

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 模試は、昼休みに解いた。


 時間を測るでもなく、

 静かなデスクで、

 コーヒーが冷めるのを横に置いて。


---


 点数は、

 悪くなかった。


 合格圏内。

 努力が実ったと書いてもいい数字。


 だが男は、

 数字を見つめなかった。


---


 気になったのは、

 間違えた一問だ。


 設問は、

 よくある形だった。


 委託先で事故が起きた場合、

 誰が、どこまで責任を負うか。


 正解を読めば、

 理解できる。


 知識としては、

 もう頭に入っている。


---


 それでも、

 男の視線はその問題から離れなかった。


 なぜ、

 ここで迷ったのか。


---


 選んだ誤答は、

 “現実的”だった。


 実務でよく見る判断。

 誰も強く否定しない処理。


 だからこそ、

 その選択肢を一瞬、

 正しいと思ってしまった。


---


 **ああ、

 現場で一番危ないのは、

 こういう判断だ。**


 男は、

 ペンを置いた。


---


 模試は、

 評価じゃなかった。


 合否の予測でもない。


 **自分が、

 どこで「分かったつもり」になるのかを

 映す鏡だった。**


---


 もし、

 あの設問が紙の上でなく、

 会議室だったら。


 もし、

 選択肢が文字でなく、

 人の顔だったら。


 自分は、

 同じ判断をしたかもしれない。


 そう思うと、

 背中に冷たいものが走った。


---


 男は、

 間違えた問題の横に、

 一行だけ書いた。


 「実務だからこそ、

 ここで逃げない」


---


 点数は、

 そのあと、ゆっくり確認した。


 悪くなかった。


 だが、

 それで十分だった。


---


 拾われた男は、

 初めて思った。


 試験は、

 裁かれる場所じゃない。


 **自分の“甘さ”を、

 静かに指さされる場所なんだ。**


 だから、

 まだ怖い。


 だがその怖さは、

 目を逸らすためのものじゃ

 もうなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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