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8話
春の午後。
小学校の教室に、ひかりがさしこんでいた。
結菜は、ふと、床を見た。
つるつるの木の床に、ちいさな光のわっかができていた。
「……にじ?」
赤、オレンジ、きいろ、みどり、あお、むらさき。
まるで、空にかかるにじが、足もとにおりてきたみたいだった。
そのときのことを、思い出した。
ようちえんの年長組のころ。
4人で、床のにじをかこむようにしてしゃがんだ。
だれもしゃべらなかったけれど、
だれもが、なにかを感じていた。
「ねえ、わたしたち、これからも、こういうの見つけていこうよ」
あのときのことばが、今も心の中にのこっている。
結菜は、そっとノートをひらいた。
そこには、光が丘公園で見つけた葉っぱの地図がはってあった。
「にじのつづきは、ここにある」
そう思った。
その日、4人はまた、校庭の木の下に集まった。
風がふいて、葉っぱがゆれた。
光がすじをつくって、地面に落ちた。
「これも、光のいたずらだね」
陽翔が言った。
「うん。でも、きれいな“いたずら”」
結菜が、笑った。
湊斗は、目をとじて、音をきいていた。
大翔は、ノートに、こう書いた。
『Project: にじの記憶』
それは、4人だけの、科学のはじまり。
そして、未来へつづく、美しさの記憶だった。




