7話
午後の光が、すこしだけ赤くなってきたころ。
4人は、公園のベンチでおべんとうを食べ終えた。
「そろそろ、かえろっか」
陽翔が、空を見ながら言った。
「うん。ノート、見せ合いながら歩こうよ」
結菜が、スケッチブックをかかえた。
4人は、ゆっくりと歩きながら、ノートをひらいた。
陽翔のノートには、葉っぱの音を言葉であらわした詩が書かれていた。
「シャラシャラ、ひかりのなかで、葉っぱがうたう」
湊斗のページには、葉っぱのかげの写真がはってあった。
「光がとおると、すじが見える。すじは、命の道。」
大翔のノートには、ルーペで見た葉脈の図と、説明がならんでいた。
「葉脈は、水と栄養の通り道。まんなかが太くて、はしが細い」
結菜のスケッチブックには、葉っぱの地図と、ふせんのことば。
「この道は、どこへつづいているの?」
4人は、ノートを見せ合いながら歩いた。
だれも大きな声ではしゃがなかったけれど、
それぞれの“見つけたこと”が、すこしずつ重なっていった。
小学校に近づくころ、陽翔が言った。
「ねえ、これって、科学かな?」
「うん。たぶん、科学のはじまり」
結菜が、そっと答えた。
湊斗は、うなずいた。
大翔は、ノートのすみっこに、こう書いた。
『Project: 葉っぱの地図・記録完了』
それは、4人だけの、春の記憶になった。




