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1話
春のあさ。
ようちえんの教室に、ひかりがさしこんでいた。
まどのそばにすわっていた結菜が、ふと、ゆかを見た。
「……にじ?」
つるつるの木のゆかに、ちいさな光のわっかができていた。
赤、オレンジ、きいろ、みどり、あお、むらさき。
まるで、空にかかるにじが、足もとにおりてきたみたいだった。
「これ、なんでできたのかな……」
結菜は、しゃがんでじっと見つめた。
そのとなりにいた湊斗も、なにも言わずに、いっしょにしゃがんだ。
陽翔は、ポケットから小さなレンズをとりだして、光を通してみた。
大翔は、くちをとがらせて言った。
「これは、光のいたずらだよ。たぶん。」
「いたずら?」
「うん。光が、いたずらしてるんだ。まどから入ってきて、ゆかであそんでる。」
4人は、ゆかのにじをかこむようにして、しゃがんでいた。
だれもしゃべらない時間が、すこしだけつづいた。
そのとき、結菜がぽつりと言った。
「ねえ、わたしたち、これからも、こういうの見つけていこうよ。」
湊斗が、うなずいた。
陽翔が、レンズをしまった。
大翔が、ノートに「ひかりのいたずら」と書いた。
それが、4人の科学のはじまりだった。




