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不老不死の薬

 暗い教会への階段を降りるとき、一度斧で、博士を殺そうかと思ったらが、そうすれば自分に待っているのは今より酷い状態かもしれない? 


 そう思いやめた。博士といれば普段通りならただのメイドとして生きていける。博士が不老不死の夢を見ないなら、他の奴隷よりはましなはずだ。


 博士に斧を渡すと、博士は「ありがとう、ラシク」と言った。私はおどき「どういたしまして……」と、普通の人の様に答えしまった。


 しかし手斧を握った博士は目をギラギラさせなが、扉のノブの辺りを壊していく。


「はぁ――」と、博士が背中で息をした事であいたんだなと、わかった。


「行くぞ、ラシク」

 博士は開いた扉を、手をかけながら私に言う。


 博士が、今、私を普通の人間として扱っている。それが私を混乱させる。いつまでも続く事はないと思っても、嬉しい気持ちはある。


 あまり親しいと言えなかったナイとマダがいない事が今私を臆病にさせているようだった。



 空いた部屋には正面と左右の壁には、天井間際まで迫る本棚に全てに様々な本が並べ置かれている。


 そして正面の机にすり鉢、天秤にさまざまな器、しかし火を起こし使うアルコールランプや煮るための道具のような物などは、地下であるためかない様だった。


 私たちはそこで博士の進行を妨げぬようふたたび扉のそばで探索を博士の気が済むのを待っていた。


 そして長い時間をかけ探していた博士だが、とうとう床に座り込んでしまう。


「水」

「はい」

 私は博士に手渡す。


 しかしそこで少し不思議な事に気づく、この部屋は木のフローリングの様な床なのだ。絨毯がひかれている家はよく見たが、木の床は珍しく様な気がして辺りをよく見回すと、机の下の木の継ぎ目が他とは違い広く開いている。


 私は鞄を横に置き、その場探ってみる。


「ラシク……、ラシク! お前は何をやっているんだ!?」


「博士、机の下の床の下に何か隠されています……」


 そう私は床板を持ち上げ博士に見せた。


 博士は水の入ったボトルを投げ捨て、一歩引いて下がった私の代わりにそこに頭から入ってしまうかの様に床に頭をくっけている。

  「ラシク、良くやった! 不老不死の薬ならお前に1番先に飲ませてやろう」


 博士はそんな、とんでもない事を言い出した。


 博士はゆっくり頭を上げ、床の下から箱を取り出すと横へ置く。

 そして机に手をかけでてくると、ふたたび座り、箱を机の下から引き抜いた。


 それを大事そうに机の上に置く。

 そして蓋をゆっくり開けると、中には小瓶が3つ入っている。


「これは書かれていた通りだ」


 クリーム色に近い黄色、金色と青色に見える砂の粒にも見える液体は決して混ざり合わず……他に置いても個体を保っているが、人の温かみでだけ液体に戻る。


 それがうちに置いてある本での薬の記述だ。そのままの姿で現れた小瓶に私も博士も目が釘付けだった。


 まったく逆の事を考えていただろうが。


 令嬢の弟の伝えた夢物語の様に、博士がこぼした液体は、机の上の固形であり、博士の手の上にこぼれ落ちて、初めて本当の意味で液体のしずくとなって流れ落ちて行く。


「これだ! この液体だ! だが、まだ足りない。物語の令嬢は完成されていない薬を飲んだのだ。この薬に完成に必要なのは金。トワの話の令嬢の弟が最後に記した秘密の書の最終ページにはそう書いてあった」


 博士は残り2本の内の1本に、紙に包まれた金を入れ蓋をふたたび閉めると、それを私に「さあ、飲むんだ」と、言って差し出した。


 私はそれを受け取る。手はブルブルふるえ、それを止めるために片方の手包みこんだが無駄だった。


 不思議だ……。私は死が怖いようだ。


 2回目に生まれてから世界は、暗闇へ落ちてしまっていると思って来たに……。


「怖いのか? ラシク? 何故怖い? ここで飲まなければ謎は謎のままであり、一生あれは不老不死の薬だったのかも? と、思い悩む事になり真実は明らかにされない」


「やっぱり私には、不老不死はいらないんです」気づくと私は涙を流しながらそう言っていた。


「だが、お前は飲むのだ」


 そう言った博士私の口をこじ開け流し入れた。


 私はせめて、人間らしくありたいだけだったに……。


 途端に喉奥が焼けるように痛い、吐き気が襲うがもう下手に吐いても苦しむ時間が長引くだけと我慢した。体の中が焼けるように熱く。身体全体がなにやらむず痒い。


 そして私は死んだよう。博士は私の首筋の脈をはかると、まぶたをこじ開け。


「そんな……」


 博士はそれだけ言うと、私の背負っていたリックを掴むと私をそのまま置いて出ていった。


 ☆


 私が目覚めた時やはり、博士もリックも消えていた。


 私は3回目の誕生を果たしたのだろうか? きっとそれは無いだろう背中の印は消えてなどいないはずだ。


 今は2回目の誕生のつづき、それなら博士を探し保護してもらわなければいずれここで死ぬことになるだろう。


 しかし私が倒れてからどれだけ経っているのだろうか?


 夜になっていたり、令嬢と会ってしまえば今度こそ生きてはいられない。


 扉をそっと開けて様子をうかがうと、すぐ目の前に彼女がいた。心臓がとまりそうな驚きと、ふたたび湧きあがる吐き気を感じ、扉からはって離れる。


 彼女は階段で上へと戻ったようだ。それともに吐き気が収まるが不意にケフォと咳が出る、手には少しの血が付いていた。


 令嬢とあれだけの近さであって、少量の血ですみ私は運がいいかもしれない。こんな墓場のようなこの国では今、生きてるだけで幸運と考えなくては。


 あのガイドの恐れる通りに……。


 このまま鍵の壊されてしまった、この場所に居て安全という保証もない。


 階段を登った先には、まだ令嬢がいるかもしれない。


 外に出る方法を探さなければ。とりあえず、この地下には3つの部屋があり1つはここ、もう1つの部屋は扉もなく雑貨品や清掃道具のほうきなどが、無造作に置いてある。


 そして最後の部屋はこの部屋の隣、廊下の突き当たりにあたるあの部屋に出口にはなくとも、保存食事はあるかもしれない。


 そんな事を考えると、お腹が空いて来た。胸元のポケットから、カンパンを取り出して1つだけ食べる。


 なんだか甘くて、朝よりも美味しい。少しだけだが

 元気になった気までする。


 少しだけ食べた事で、何かを食べたいと凄く思えてくる。もしかしてこの教会で、死ぬ事になったら食べなかった事を凄く後悔するだろうな……。


 空腹に負けた私はカンパンをもう1つだけ食べすぐ部屋を出る事にする。


 2つ目のカンパンは、なんだからもっと美味しく感じる。満たされて気分に少しなるが、やはりもっと食べたいとより強く思ってしまう。


 私は次へ手をのばす前に、やはり隣りの部屋へ向かうため目のノブに手をかけ、ゆっくり回すと牢屋に出た。


 そして残りの短い廊下を歩いて突き当たりまで来るとゆっくり、その扉のノブを回して部屋へと入る。


 つづく

見ていただきありがとうございました!


また、どこかで!

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