301-305
301ねずみっぽい
れは流れる様な文字
川の流れのうねりに似ている
ねは動物の形に似ている
ねずみっぽい
わは膨らんだ線形が
どこか満腹感があって
幸せそうだ
んはなんだろうか
小文字のhが崩れたような
人が崩れたような
形をしているが
特に意味などない記号で信号機
んの点滅するとき
ひとは渡るべきか留まるべきか
選択を迫られる
二択のうち
三択目の回転するを
選んで
くるくる回る
青い空をなぞるんの軌道
空が凹んで
夜の星空が溢れ出す
302訓練された象
動物園で
訓練された象が
絵画を創作し
それが人気となっている
博物館で
骨となった恐竜が
訓練されて
彫刻を造り
それが展示されている
お題は
白亜いしゅぎ
303ぬらりひょんの行く末
月明かりに提灯
江戸時代
ちょんまげ姿の
ぬらりひょんが
ひとりさびしく
濡れている
月明かりに電灯
現代
シャギーカットの
ぬらりひょんが
繁華街でひとり
ホストをしている
時代が変われば
することも変わる
変わらないのは
それを見守る
月のぼんやりした光
ぬらりひょんの行く末は
まだ
定まらない
304分替わり定食
日替わり定食とは
日で変わる定食だが
定食である以上
料理が変わってはいけないのではないか
と考える
分刻みで変わる
分替わり定食が未だに
ないのは
定食はさだまっていなければならないからだ
決して店の都合ではない
決して店の都合ではない
305数字は人である
食料品やらなにやらの高騰で
圧迫される家計
家計簿をつけても
意味のない高騰ぶりである
お給料は上がったところもあれば
そのままのところもある
政府は前者を見て政治・経済を判断しているが
ふつうは後者を見て判断する
なぜそうしないかは
知る由もないが
知ったところで
政治は変わらない
変わらないことへの変革に
意味があるのだろうか
人は数字ではない
数字は人である
二律背反の本当と嘘が
声を大にしながら
ダンスする