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出会い

――おぉ神よ。何故これほど微妙な異世界転生を…

「いやよく考えたら、異世界でもねぇし転生でもねぇし!!」

 そう叫んだこの俺、永見洸平(ながみこうへい)を誰が責めれるか。

「はぁ、ったく。江戸時代に生まれ変わりとかどうなってんだよ。というか普通の輪廻転生なら未来に生まれ変わるんだよね!?過去ってどゆことよねぇ!?」

「...なんだあいつ?」

「おっかさんあr」

「坊や。見ちゃいけん」

 うん、みんな見てるな。恥ずかしい。

そしてそそくさと隠れ、

「…とりあえず情報確認だ。俺はえっと…とにかく、車に轢かれかけた。…で気づいたら、このいかにも時代劇ってな場所にポツンと立ってた。うん。これは異世界だわ。転生だわ。うんうん。そして荷物は…これだけね。」

――現在の所持品――

財布 300円とちょっと

リュック(飲みかけのジュース等)

――格好――

制服(何処にでもあるブレザータイプ)

洗濯に出す予定だった体操服

...

「いや詰んでるね?もう一回言おう詰んでるね!?ただ、それにしては荷物も普通だし、面白みがないよね!?そして、一番深刻なのは転生場所だよね!?ワッツ!!」

「おいこら小僧!!てめぇさっきからウルセェぞ!」

「まじほんとすみませんでした!!!!!」

と、道行く酔っ払いなおじさんに平謝り。とゆうか土下座を食らわせる。

(んだよ役人でもねぇくせして、人にイキリやがって!ていうか、昔にもああ言う酔っ払いはいたのね...やばい泣きそ)

なんて、声には出さずに固まって土下座のままの彼

「えっとそこの人、いつまでその格好でいるおつもりで?」

「へ?」

「…中々目立ってますよ?」

ほら。と、周りを見渡すとジーッと見てる子供、ヒソヒソと話してるご婦人、クスクスと笑っている目の前の以下にも昔の人がしてるって感じの和装...というより茶色の着物をきてるのに、顔だけは今風な美青年…

「...えっと、そこの男前なあなた?何か用ですかい?」

「いや特に何も?。ただ、今どき酔っ払いに怒鳴られただけであそこまで怯える方が珍しくて」

「いやうるさいな!!ていうか、初対面でしょうよ?にしては馴れ馴れしいじゃないのかい!?」

と、いきなり馬鹿にしたように笑ってる昔話でみる釣り竿のような物を右手に抱えた青年に洸平はここぞとばかりに噛み付く

「おっとこれは失礼。一応向こうにある橋を渡ったところに釣り道具屋を開いてます。三津(ミツ)と申します」

「へぇ…三津さんね...じゃあミツって呼ばせてもらいま「いやそっちの方が馴れ馴れしいでしょうよ」

と爽やかにツッコまれる

「というか、貴方は?名前を頂戴してませんでしたし、その様子ではこの町の方でもなさそうですしね」

「ぅ…えっと…名前はこうへ...じゃなくて、えっとそう。(コウ)!洸って者なんだけど。実はその、迷っちゃって気がついたらこんな所にいて」

「…なるほど。格好から言うと外国人かと思ったけど、その様子では変なトラブルにでも巻き込まれたのかも」

「そっそうなんだよ!全く何がなにやらって感じでさ!…ん?」

「まぁとりあえずこれも何かの縁だし、お助けするのはいいのですが、僕は忙しいし…頼れる人となると…あの人しかいない、か

「いやシレッと誰かに押し付けたよね」

「まぁそう言わず。忙しいのは事実なんで。…行きましょうか」

この世界に来てまだ1時間も経ってないはずだが、早速救いの手を差し伸べられた洸平...いや洸に選択肢はなく、

「ただし、いろいろとやらなきゃいけないことがあるんで。手伝ってくださいね♩」

「へ?」

速攻でその選択肢を後悔することになる。

――1時間後――

「おい」

「はい?」

まるで地獄の釜の音のような低い唸りが少し響いた

「…あとどれくらい?」

「んー、...後一件ですかね?」

「そうなんだ。ふーん、ちなみに俺は誰?」

「え?貴方は洸さんでしょ?まさかそこまで忘れたんですか?」

「いや大丈夫、そこは覚えてる。そして、出会ったのはつい1時間前…だよね?」

「1時間...が何かはわからないけど、貴方が言おうとしてることはわかりますよ?」

「だよな。なら、...なんで今し方出会ったばっっかりの人間をこき使えるの?!あと一件って言いながらもう10件目ですよね!?…ちなみに貴方は何屋さん?」

「釣り道具屋」

「なんで!配達してんの!?釣り竿なんて持っていくもんじゃないだろうよ!!店に来るように言えよおい!!」

「あぁもううるさいなぁ。仕方ないでしょ、そこらのお高い身分な武家の皆様にわざわざ来させる訳には行かないんですよ。その分のお駄賃はいただきますし」

「そのお駄賃を俺も受け取る権利は?」

「ある訳ないでしょ」

「俺お前嫌い!!」

「はいはい好きでも嫌いでもいいですよー」

「くっそ殴りたい。...ちなみに最後の一件とは?」

「えっと、そこの何でも屋さんと...少し行った所に佐古様という同心の方で終わりですね」

「君一件って意味わかる?」

「わかりますよーはいはい」

「これ終わったらマジでしばくからな」

そんな会話を済ませてる間に"何でも屋"と書かれた看板の長屋に到着する。

「ごめん下さ〜い。釣り道具屋です」

「ん?あぁミっちゃんいらっしゃい!わざわざありがとね♪」

「いえいえいつも助かってるのはこっちですんで…あ、花屋さん。来てたんですか」

「どうも」

中に入ると、気の良さそうな美人なお姉さん...とこれまた今風なイケメン(無愛想)が着流しを着て座っていた。

そこのミツはしっかりと髷を結ってるのに、彼はそのまま...ボサボサではあるが、整った顔立ちで赤い目をこちらにジロッと向けていた。

「...」

ていうか、

「あのさ?...えっと。顔になんかついてる?」

「いや見ない顔と思って」

「あら?ミっちゃん?どしたのこの子見慣れない服装してるけど」

「そうなんですよ。彼、道端に突っ立ってたですがどうやらどこから来たとかまるで忘れちゃったそうで」

「あらぁそうなのかい?大変だねぇそりゃ。あ、アタシはここの何でも屋の店主で、多江(タエ)ってもんだよ。なんでも引き受けるのがうちのが信条っやつさ!」

「へぇ...何でも屋さん。(あれ以外にもあったんだなぁ...)」

「というわけでして...これからどうしようかとかね、考えてるうちに|ケチンボイヤミ野郎(釣り道具屋さん)に出会いましてね...」

「なんか分かりませんが、今現在貴方僕に喧嘩売られましたよね?ねぇ?」

「売ってませーん。真実言っただけでーす。とりあえずてめぇは俺を長時間労働かつタダ働きさせた報いを受けるべきなんだよ!!」

「は?これしきの事で根を上げてたら、この世の中やっていけませんよー?第一貴方は何か職についてるのですか?来た道さえわからないのに?!」

「はい言いましたー。言ってしまいましたねとうとう!!はいちゅうもーく見てください皆さん!!こいつ言ってはいけないこと言いましたー言いましたよーはーいしばきまーす」

「...おばさん、帰るよ。毎度ありがとね」

「いや無視すんなよイケメンさんよぉ」

「...」

「そうですよ。大の男達が喧嘩間近って結構な一大事では?」

「...止めてほしかったのか?」

花屋の一言で二人とも黙るしかなくなる。

「そこの得体の知れない奴はともかく、釣り屋。お前が煽らなきゃこういう馬鹿な輩は吠えねぇんだから、相手するな。」

「はい。」

「おぉいおいおいおい。何話し終わらせてんの?第一お前ぇ!馬鹿とはなんだよ。ていうかどこの誰よ⁈名乗らずにそう言うこと言うなんてレイ「じゃああんたは名乗ったのか?」

これまた氷柱のようの鋭い言葉が飛んだ

「う...また確かに名乗っちゃいないけど。えっと、洸。コウってよんでや。さ、貴方の名前はなんですか!?」

「...そうか。なら、俺もするのが筋か。錠八(ジョウパチ)だ、そこで花屋をしてる。」

「へぇ花屋さんねぇ...なんか、何でも屋と近いのに運命を感じる」

と気持ち悪くニヤついた彼に、「...なんか、やっぱり変わった子だねぇ(^^;;」と多江さんが言うのは仕方ないことだろう。

「はぁ、これって転生物なのかなぁ絶対違う気するけど泣」

「...やっぱ訳わかんないこと言ってるなぁ、、。さぁあと一軒ありますからいきますよ。」

「もうやだも一回死にたい、」

「まぁまぁ。そんなこと言わずに居なさいよ(~_~;)。終わったらも一回顔出しな。良いもん教えてやるから!」

「...おばさん。それじゃ帰るよ。コウとか言ったな、これも何かの縁だ。次会う時まで生きてるこった」

と店を後にした花屋の錠八に

「なぁ俺やっぱアイツ生け好かん。」

「…そこは僕も同意です、」

と何でも屋の去った後の暖簾を睨み続ける洸と、ため息を吐く三津。

これから運命(じごく)を共にする三人(しゅじんこう)が出会った。それは偶然か必然か。

何はともあれ、この三人の歩んだ地獄への片道切符の話が今、始まる。
















 


 

 







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