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27 ペルシア帝国軍

こんにちは、

フランシス公国のお話です。

どうぞお楽しみください。

【ペルシア帝国軍】


てんちゃん、寒い!』

 夢の中で愛娘のあだ名を呼んだ!

 空にむかい両手を差し伸べて目を覚ますと……、そこには満天の星ではなく教会の納屋の天井があった。


「油断しているとこちらでも風邪をひくかも知れないな」

 そのように一人呟きながら、ほんのり甘くて日向の匂いがする藁の布団にもう一度潜り込んだ……。

 私は自分の体を暖めながら、以前日本で実践していた風邪の対策を思い出す。


◇◇◇


 それは風邪の診療や治療を行っている医師たちが、自分自身で行っている風邪の対策方法の数々である……。


【予防方法】

 1)十分な睡眠をとる

 2)帰宅したら直ぐに手を洗う

 3)顔を洗う

 3)鼻を洗う

 4)適切な漢方薬を使用する

 (体格や、風邪、鼻、喉の症状によって使い分ける)

 5)お茶でうがいをする(熱いお湯でカテキンを沢山出して冷まして使う)


【対策方法】

 1)ジョギングを20分以上行って体温を上げる

  (体温を上げて免疫力を上昇させることが大事、温かくしてそのまま寝る)

 2)風呂に入る(銭湯の出口待ちで洗面器カタカタ鳴らすのはNGだ♪)

 3)ネギの青いところを食べる

 4)西洋薬(風邪薬)を服用する

 5)バナナを電子レンジで加熱チンして温めて食べる


 以上のような方法を駆使して、私は自身で風邪を予防していた。

 その中でも私の一番のお勧めは『鼻洗い』だ!


 100シーシーの水に0.9グラムの塩を溶かして0.9パーセントの生理食塩水を作り(塩分濃度が高くても低くても鼻の奥が痛くなる。海やプールで鼻に水が入るともの凄く痛い)、その生理食塩水を左手に汲んで右手で鼻の右側を押さえたまま、左の鼻でその汲んだ生理食塩水を思いっきり啜る。

 それから、最後に「ふんっ!」と勢いよく噴射すると、鼻腔の悪さする微生物たちとグットバイできるのだ。私はこれを両方の鼻で2回づつ行っていた。

 ちなみに右の鼻を噴射するときは使用する手が逆になる。最初はそれが難しく抵抗があるかもしれないが、慣れると簡単だし快感になるので是非とも挑戦してもらいたい。


◇◇◇


 その日の正午、私は出発場所であるフランシス公国の正門の前にいた。

 ここからペルシア帝国軍の前線基地までは丸1日程の道のりとのことで、私は冒険者ギルドの依頼クエストを受けて、荷馬車の御者としてセイラさんの使節団にお供していた。


 使節団は公爵令嬢であるセイラさんが乗車する馬車1台と、帝王シャーキンへの貢物を積んだ荷馬車1台が用意されていた。

 使節団は全員で9名、セイラさんと彼女を守る護衛騎士が5人いて、その護衛騎士の内の3人はそれぞれが単騎で馬に乗っている。それから、冒険者の3人が御者として冒険者ギルドから派遣されていた。


 御者として、私の他にはドレイクとシーラがいた。

 ドレイクはつるつる頭で背が低く、ずんぐりむっくりとした小太りの中年の男だった。

 もう一人のシーラは、気品あるほっそりとした綺麗な足に、艶めかしく色気漂う白い肌の若い女で、黒紫色の髪をポニーテールに纏めていた。

 特に印象的だったのは、ピジョンブラッド(鳩の血)のような赤い瞳で、その瞳の色は目の覚めるような鮮やかさの中にも、わずかな翳りある妖艶な強く記憶に残る赤だった。


 一方で、シーラは黒い皮の鎧を身に着けていたのだが、ボン、キュ、ボンの、豊かな胸、括れた腰、引き締まったお尻という減り張りのある体のラインを、何とも隠しきれていなかった。

 何故、シーラのような美しい女性が、こんな危険な依頼クエストを受けたのだろうか? 理由は良く分からなかったが…………。

『まぁ旅は道連れ、世は情け、是非とも仲良くしましょう!』


「ダイサクです、よろしくお願いします」

 私が二人に元気よく挨拶した。

「俺の名はドレイクだ、そこんとこ……よろしく」

「私はシーラよ……、よろしくねぇ~」

 彼女は、どこか聞き覚えがある、甘ったるい色気がある声で返事をした。


 そんなこんなで、出発前にセイラさんが私を見つけて話し掛けてくれた。

「ダ、ダイサクさん、どうしてフランシス公国を出られなかったのですか!?」

「いえ、教会の子供たちにはたいへんお世話になったので、その恩を返したかったのですよ♪」

「そうですか……、それにしても子供たちが色々と憎まれ口を叩いて大変失礼しました。子供たちには悪気はないのですが、直ぐに調子に乗ってしまって……、彼らに変わって私に謝罪させてください。……ごめんなさい」

 そう言うとセイラさんはゆっくりと頭を深く下げた。


「セイラ様、頭をお上げください……。私は全く気にしていませんから」

「……そうですか、それを聞いて安心いたしました。それから、この度のご協力、心から感謝いたします」

 そう言ってセイラさんはは再び頭を下げると、

「でも、身の危険を感じたらぐに逃げてくださいね」と言ってにっこりと微笑んだ。

 向日葵色の金の髪に、幸福を願うベルベットブルーの青い瞳、彼女はさながら異世界に舞い降りた翼をたたんだ天使エンジェルだった!


「はい、承知しました。危ないと思ったら脇目も振らずに驀地に逃げることにします。逃げ足の速さだけは冒険者ギルドの中でも一番の自信があるのですよ♪」

「絶対ですよ……。誰よりも速く、できる事なら光よりも速く逃げてくださいね。ふふふっ」

 無意識とは言え、セイラさんが私の秘密の核心を突いてきたので、

「……はい、近道を作って光より速く逃げさせて頂きます」

 私は真実リアルで返事をしておいた。


◇◇◇


 私たち使節団一行は丸1日かけて移動し、翌日の昼にペルシア帝国軍の前線基地の野営地に到着した。

 そして、ペルシア帝国軍のその強大かつ異形な光景を目にした我々一行は、驚きのあまり唖然として息を呑み言葉を失った……。

『なんじゃこりゃあ~』と思い、

 私でさえ思わず腹に手を当てて掌を見た。


「あ、あぁぁぁ…」セイラさんは動揺を隠しきれず、

「なっ、なんて数だ!」護衛騎士たちは肝をつぶし、

「ひっ、ひやぁぁぁ~」と叫びながら御者の一人が一目散に逃げ出した。


「ドレイク、お前、逃げるんじゃない」と護衛騎士が大声で引き止めたが……。

「行かせてあげなさい」

 セイラさんはそれを制すると、続けて私にも声を掛けた。


「ダイサクさん、ありがとうございました。冒険者の方々の随行はここまでで結構です。今すぐフランシス公国へお引き返し下さい」

 セイラさんから震える小さな声で忠告されたが、

「…………、もう少しご一緒させてください」

 私はセイラさんに無理を言って、ギリギリまでお供することにした。

『ここで引き返したら、子供たちに何を言われるか想像に難くないからな!』


 それから私たち一行は、凶暴な兵士や魔獣を刺激しない様に細心の注意を払いながら、ペルシア帝国軍の間をできる限り音を立てないように息を殺して進んで行った。


 ペルシア帝国軍は正方形に巨大な陣を敷いていた。1キロメートル四方、見渡す限り兵士、魔獣、戦車が待機していて、総数にして10万以上はいるであろう。

 兵士たちは全員が上半身裸で短いズボンを穿いていた。全身の皮膚には使役している魔獣や恐竜と同じように白粉で真っ白に化粧を施していて、ある者は人骨や獣の牙や頭蓋を多数連ねた頸飾を首に掛け、ある者は浄土へと旅立つための白装束を身に纏っていた。


 目を爛爛と光らせる異形の兵士たち、鎧を装着し戦車を引く何百頭もの毛巨象マンモス三角龍トケラトプス、巨大な軍を維持するための物資、敵を滅ぼそうとする気力等どれをとっても、フランシス公国に勝てる要素は一つもないように思えた!

『常軌を逸している。こっ、こいつら、や、やばいですねぇ~』

 私は直感的にその様に感じていた。


 なお、ペルシア帝国は神秘主義に心酔していて、帝王シャーキンは神を自称している。奴は単に国を征服するのではなく、敵国を心底から完全屈服させることに固執していた。


 私たち一行はペルシア帝国軍の間を15分程掛けてゆっくりと進み続け、兵士の尋常ではない殺意を肌で感じながら、遂に帝王シャーキンの待ち受ける中心部に至る。

 帝王シャーキンは、首輪をつけた2頭の剣歯虎サーベルタイガーに引かれる虎車に乗り、侍女たちに孔雀の羽で作られた大きな団扇を扇がせていた。そしてその両腕には、ティアラ、ネックレス、ブレスレット等の豪華な装飾品を身に着けた、半裸の美しい女たちを侍らせ抱きしめていた……。


「……、フランシス公国の公女よ、よく来た」

 帝王シャーキンはセイラさんに対して冷淡な声を掛けた。

「帝王シャーキン様に於かれましては、ご機嫌麗しゅうございます。本日は貴方様へ貢物の献上とお願いがあり参上いたしました」

「……はて、願いとは……、せっかくのわれの花嫁からの申し出だ……聞くだけは聞いてやろう」

「あっ、ありがとうございます」

 セイラさんはおづおづと怯えながらも、はっきりと帝王シャーキンへ申し入れた。


「フランシス公国はペルシア帝国と戦う意志は一切ございません。つきましては、直ぐにペルシア帝国の軍を自国へ引き返して頂けませんか」

 セイラさんがシャーキン帝王に跪き切願したところ……、

「フランシス公国の公女、セイラよ。われはそなたの父である公爵に対して、3人、全員の娘を嫁に差し出せと命じたのだ……。お前一人では話にもならん、公爵の首とその3人の娘を以って、フランシス公国はペルシア帝国の属国と成り下がり、やがてこの世界から消えてなくなる運命なのだ!」

帝王シャーキンは舌嘗めずりしながら彼女に答えた。


「……、そっ、そんな、それは余りにも酷い……、それでは民の命は!? ペルシア帝国の属国となり貴方様に従いさえすれば、フランシス公国の民の命は救われるのでしょうか?」

 セイラさんは息を止めて呑んだ…………。

「それはわれの知るところではない。それは神の兵士たちと使役している魔獣の気まぐれに因るところであろう」

「シャ、シャーキン様のご配慮で民の命だけはお救いして頂けませんでしょうか?」

 セイラさんは華奢なその手を細かく震えさせて哀願したが……。


「何度も言わせるな! 気分次第であろうと言っておるではないか!!」

「きゃぁぁぁー」

 帝王シャーキンは突然右腕に抱いていた一人の女を、剣歯虎サーベルタイガーの前に投げ捨てた!


『ババッ、ガシッッッ!』

剣歯虎サーベルタイガーはさっと鋭い4本の爪を出して、大きな左手でその美しい女を動けないように押さえつけると、くんくんと匂いを嗅いでは、ごろごろ転がして弄ぶ……。


「何万もの尊い人の命が、貴方様の感興の赴くままに失われるということなのですか!」

 セイラさんは、悲鳴を堪え、声を引きつらせ、潤んだ瞳から一筋の涙を流しながらも、帝王シャーキンへ押し迫って問いた……。


「お前たちの命などわれにとって取るに足らぬことだ! 分かったら早々に引き返し、われが命じたことをフランシス公爵へしっかり伝えるが良い。まぁ~、お前たちが生きて祖国へ無事に戻れたらの話だがな!!」

 帝王シャーキンはそう言ってにたりと笑うと、側近の兵士たちに何か意味有り気な目配せをしたのだった…………。

ありがとうございました。

7話の『うがい無し歯磨きのすすめ』、

11話の『若返りの極意』、

14話の『集中力を高める奥義』、

16話の『認知症予防の神髄』、

22話の『ダイエットの秘術』に続いて、

27話では『風邪への心構え』を公開しています。

皆さんも是非お試しください。


さて、セイラさんの運命や如何に…

次回をお楽しみに!

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