23.親子か
一つわかったのは、やはり村長は見た目通りの年齢だということ。
先々代侯爵を知っている人なんて限られている。ミーグルは年齢よりも若く見えるけど、同い年くらいだったらやっぱりおじいちゃんだ。
ただ黙って行く末を見守っていると、ハッと我に返った様子の村長が慌てて私に目を向けた。
「こ、これは失礼しました…! お見苦しいところをお見せしましたな。息子とはいっても数年前野垂れ死にそうになっている此奴を拾いましてな。子どもがいなくて寂しかったのもあり息子として育てているのですじゃ。しかしどうにも生意気になってしまいまして…」
「なるほど、養子でしたか。それなら納得の年齢差ですわね。安心しました」
「はて?」
「いえ、こちらの話です」
疑問が解消してスッキリ。
なんだ、良いおじいちゃんじゃないの。
可哀想だからお父さんと呼んであげなさい。
照れ臭いのかしら?
「おい! 俺を無視すんじゃねえ!」
「恥ずかしがり屋なのね。可愛いとこあるじゃない」
「は!? 一体何の話だ…おい勝手に頭を撫でるな!!」
うん、昔から小動物ってつい触りたくなるんだよね。
キャンキャンよく吠える犬みたい。
「そんなに私のことが信じられないなら侯爵家に来る?」
「はあ?」
何言ってんだこいつ、みたいな顔で私を見る少年。
おじいちゃん…じゃなかった、村長は驚きながらも悲しそうな表情で私達を交互に見る。
「私が信用に足る人物かどうか、その目で見極めれば良いじゃない。満足したら村に帰ればいいし。どう? その方が安心でしょう?」
すると、少年は考え込み、村長はちょっとだけ嬉しそうにした。
おじいちゃんたら、愛息子を私に取られると思って一瞬焦ったのね。
だってあのままじゃ引き下がらなさそうで面倒だったんだもの。
ちょっと小汚いけど手入れすれば見目は良くなるだろうし、小間使いには丁度良いだろう。
人員確保をミーグルにだけ任せるのは申し訳ない。私の方でもちょっとずつ探すとしよう。
「ロペル、世間を知る良い機会じゃ。お言葉に甘えて侯爵様の下で学びなさい」
「じいちゃん…!」
「…帰ってくる頃には、儂のことを父さんと呼んでくれると期待しているぞい」
まだ言うか村長。どんだけ呼んでほしいんだ。
それはともかくとして、無事領地の今後について話し合えたし、一匹のワンコを連れて帰ることになった。
手懐けるのに時間はかかるだろうけど、それはそれで楽しそうだ。
前世で『ペットの心得』って本を読んだから大丈夫だろう。
あとは侯爵家に帰るだけだ。
ちょっと呆気ない感じもするけど、やることはまだいっぱいある。
油断せずに処理していこう。




