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21.プレイシアの演説

「皆さま、突然の訪問失礼いたします! そして今の今まで、領地を放ったらかしにして申し訳ございませんでした! 侯爵家の者としてこの体たらく、死んでも悔やみきれません。ただ、どんなに遅くなっても、皆さまのことを忘れたことなんて一度もありませんでした! ずっと自由に動ける機会を伺っていたのです! そして昨日! ついに我が両親、元グマーレン侯爵夫妻が逮捕され、名実共に私がグマーレン侯爵となりました! 今まで両親がしてきた罪を償えるとは思いません。──しかし! 皆さまの暮らしを少しでも良くする為、誠心誠意領地運営を頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!!」


ガバッ!

と、深く深く頭を下げる。

人の心を動かす演説に必要なスキルは、熱意と抑揚。そして少しの嘘。


私は悪くありません、なんて態度を取るつもりもない。

誰が見ても悪いのは両親。それならば、あえて罪を認めることで同情を誘うことができる。

ミーグルに使った手を少し大袈裟にした感じかな。


やり過ぎな気もするが、領地復興には領民の協力が必要不可欠。

胡散臭く見えようがどうだっていい。

平民に対して貴族が頭を下げた。これだけでも十分彼らの心を動かすことになるだろう。


「こ、侯爵夫妻が逮捕された…?」

「お嬢様が侯爵を継ぐ…?」

「そうしたらこの悪夢は終わるのか…?」


私が頭を下げている間も、少しずつざわざわと領民同士で話し合いが始まった。

私の言うことを信じるか否か、慎重になっているのだろう。


それにしてもドレスを着替えてきて良かった。誠実に見せようとしている場面で、ド派手なドレスを着ていたら滑稽だものね。

一番サイズ直しが簡単と言われた純白のドレスを着てきたけど、イメージアップには丁度いい。

このまま上手く流されてくれるといいんだけど…。


「侯爵様、頭を上げてくだされ。ここまで誠意を示してくださったのは貴方が初めてじゃ。儂は信じましょうぞ」

「村長…!」


領民の中から、一人のしわがれた声が聞こえた。

村長が出てきたか。ということは、作戦は無事成功だな。


それでもまだ頭を下げ続けていると、ポンと肩に村長の手が置かれ、目線を合わせられた。


「貴方が侯爵になってくれて良かった」

「今までの怠慢を考えると、当たり前のことです…」


村長が認めた手前、もう誰も文句は言ってこない。

ちらほらと、私に好意的な眼差しを向けてくれる人もいた。

…一人だけ、今もまだ私を睨み続けている男がいるけど。


「何もない村じゃが、我が家に寄ってくだされ。相談したいことが山ほどあるのじゃ」

「ありがとうございます。喜んでお話聞きましょう。そのために参りました」


後ろで終始あわあわしていたラピを連れ立って村長についていく。


さて、ここからが本番だ。

領地復興、思う存分楽しもうじゃないか。

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