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13.侍女

「ああ、よく寝た…」


あれから、悪霊を祓った後みたくスッキリしたミーグルに現在の使用人状況を整理するよう命じて、ようやく寝室へ向かい死んだように眠った。


時計を見ると丁度10時間くらい寝ていたようだ。

もうすっかり夜だけどどうしよう。

とりあえずお風呂入って、着替えて…いやそれよりお腹空いたな…。

一体この体いつから食事摂取してないんだ?


「あ、あの…侯爵様…」


私が憑依する直前に食べていたとしても丸1日は経っている。

昼食が最後だとすると、1日半以上…?

うわ、そう思ったら余計お腹が空いてきた。


「侯爵様…! プレイシア様!!」

「ああ、うん。なに?」


いきなりベッド横から話しかけられた。

寝起きなのに耳元で大声を出されて若干不機嫌だ。

それが顔に出てしまったのか、単調に返事をすると声の主──メイド服を着た若い女性が顔を強張らして頭を下げた。


「すみません!! なかなか反応がなかったもので…あと死んだように眠ってらしたのでずっと心配で…生きていて良かったです…!!」


そう言って私の手を無理矢理掴んで涙ながらに握手しているこの子。

なんか変な子だな。もしかしてこの子がプレイシアの専属侍女?

名前は確か…。


「ラピ、心配かけてごめんなさい。見ての通り元気だから大丈夫よ」

「プレイシア様~~!!」


うわーん! と、今度は号泣で抱き着いてきたラピ。名前合ってて良かった。

ゲームで名前だけ登場していたけど、まさかこんなに暑苦しい子だったとは。

ゲームのプレイシアは知らないけど私は寝起きが良い方ではないので、是非とも今後はそっとしておいてほしいものだ。

後でよく言い聞かせよう。


ちなみに、ラピは誘拐・人身売買には一切関わっていなかった。

腐敗しきった侯爵家では珍しい存在だ。なるべく私に情報がいかないよう配慮していたのかな?

いきなり両親と使用人の大半がいなくなって、さぞ動転したことだろう。

かなりの天然ぽいので全く気にしていない可能性もあるが。


「ずっとここにいたの?」

「はい! ミーグル様に侯爵様から片時も目を離さないようにと言われていたので!」

「そ、そう…今後は私が寝ている時は部屋に入らないでくれると助かるわ」

「も、ももも申し訳ございません! 気をつけます!」


なんだ、ミーグルの差し金だったか。ではラピを咎めるのは御門違いね。


それにしても10時間もの間私の顔を見つめていたなんて言わないよね? ラピならあり得そうで若干恐怖だ。


「それよりラピ、お腹が空いたのだけど何か食べるものない?」

「只今ミーグル様が料理長に言いつけて最高級の食事を作らせていますよ! 料理長もとても張り切っているようです」


ああ、料理長ね。そういえば彼も犯罪に僅かだけど加担していたので助けたんだった。

だって美味しい料理食べたいし。自分でも作れないことはないけど、面倒くさい。折角侯爵を継いだのだからできる限りの贅沢はしたいものだ。

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