表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/51

家事

 ……ゴクリ。


「こちら、ビーフシチューでございます。有り合わせの材料で作ったのですが、もしもお口に合わないようでしたらお申し付けください」

「おいしそー!!」

「……これ、ほんとにうちにある材料だけで作ったのか?」

「はい」


 プロの料理人が作ったとしか思えないレベルなのだが。

 香りも見た目もめちゃくちゃいい。


「そ、それじゃ、いただきます」

「いただきまーす!」




 ……美味かった。

 正直、ここまでとは思わなかった。


「ねえねえ、ベルちゃん! 今度、時間があったら私にも料理教えてくれない?」

「ええ、いつでも」

「やったー!」


 やけにハイテンションだな、こいつ。

 まあ、久々に同年代の同性と話せてうれしいのだろう。


「じゃ、俺はベツレヘムに食事をやってくる」

「……血液ですか?」

「そゆこと。あ、この家は自由に使ってくれ。……俺の書斎と地下室以外は」

「承知しました」




「はいベツレヘム」

「サンキュ!」


 お皿に移した血液を美味しそうに啜る。


「……ごちそうさま!!」

「はいよ。じゃ、皿を」

「ほい」


 皿を受け取り、ゆっくりと腰を上げる。


「ゲームもほどほどにな」

「わかってるよ。……もう少しでハイスコア更新できそうだから、それまでにしとく」

「オッケー。それじゃあ、おやすみ」

「うん!」




「……まだ起きてたのか」

「ハンターですので」


 そういやハンターも、ヴァンパイアを狩るために活動時間を合わせてんのか。


「部屋は適当なところを使ってくれ。無駄に余ってるからな」

「ありがとうございます」

「……なにしてんの?」


 急に手を掴まれたんだけど。


「いえ、皿を洗おうかと」

「いいよ、そんくらい」

「ですが……」

「……分かった。その代わり、割ったら弁償だからな? そこそこ高価な奴だから、気を付けてくれ」

「…………」

「そういうことで、俺が洗うからな」


 一瞬硬直した隙を突き、スッと流しで皿を洗いはじめる。


「まあ、この家に置いてあるものは全部その辺に売ってある安物だから、別に割っても大丈夫だからな?」

「……騙したんですか?」

「騙される方が悪い。それに、こういうのは自分でしたい派なんだ」


 元々家事を自分一人でやってた名残かもしれないが。


「……多分だけど、しばらくはハンターの仕事もないんだろ?」

「まあ、はい。そうですね」

「じゃあ、ここにいる間だけでも普通の人間らしい生活リズムに整えておけ」

「…………」

「大丈夫、安心しろ。うちの夜更かしヴァンパイアは、夜な夜なゲームをしてるだけだから」

「……ゲームなんてするんですね」

「ああ。今度一緒にやるか?」

「……いえ、遠慮しておきます」


 やってみると結構楽しいんだけどな。

 シューティングゲームはあいつがダントツで上手いが、落ちゲーだけは俺も自信がある。


「……ところで、あんたは俺が仕事する間もついてくるのか?」

「はい」

「じゃあ、邪魔だけはしてくれるなよ?」

「重々、承知しております」

「ならいい」


 割って入られて万が一殺してしまっては、目覚めも悪いからな。


「……ついでに聞くけど、ハンター協会の場所とかって……」

「教えません。襲いに行く可能性が十二分にもありますので」

「ですよねー……」


 まあ、いざという時はこいつ使えばいいか。


「ほら、良い子はもうおねんねの時間だ」

「ですから……!」


「いいから、今日は寝とけ。俺は今から仕事に行かなきゃならんのだ」


 鳩尾に打った拳を抜き、そのままベルを肩に担ぐ。

 こいつ、疲れが相当溜まってるっぽかったからな。

 目の下に隈も出来てたし、睡眠時間も削っていたのだろう。

 ……ここにいる以上は、快適に、だ。

 ハンター協会からあらぬ疑いをかけられたくはない。

 ……そしてついでに。


「じろじろ見てんじゃねえぞ、ごみ共が」


 バチっと音を立て、隠しカメラと盗聴器が壊れた。

 少しの間は泳がせておいたが、流石に四六時中生活を覗かれるのは気分が悪い。

 まったく、いつの間にこんな数隠したのやら。

 ベル、こいつを放っておくと、やばいかもしれないな。


「ほいよ、おやすみー!」


 その辺の部屋にあったベッドにベルを寝かせ、そのまま俺は書斎へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ