表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/23

あんこくの襲来


プニーの騒がしい声で目が覚めた。


ビシャッ! ビシャッ!


水の跳ねる音が聞こえる。


「何だ? どうした? プニー?」


眠たい目をこすりつつ起きて「光」を放出してみると……。



「うわっ! 何だこれ? 黒い……液状スライム?」


家の中を蠢く「黒い物体」。

それはヘドロみたいな真っ黒な液状の物体だった。窓やドアの隙間からにじり寄るように家の中に侵入している。


そして光に照らされると蠢いていた物体が少し引っ込んだように見えた。


「ニュー! ニュー!」


プニーが自分の体液をそいつに向かって飛ばす。


ビシャ! ビシャ!


それが当たると「黒い物体」はさらに引っこむ。そのおかげで黒い物体は家の外へ出て行ったようだ。なんだなんだ、こいつは?



「これがこの森が「あんこくの森」と呼ばれる所以ね。これは「あんこく」よ。」


サリュが教えてくれた。


「あんこく? 何だそれ?」

「夜になるとこの森を「覆う存在」らしいわ。ちょっと外にも「光」をいくつか出してみて。」

「わかった。」


サリュに言われた通り外にも光を出す。そして外に出てみると……。


「うわっ!」


そいつの大きさに驚いてしまった。光に反射されてテラテラと黒く光る巨大な液状の存在が家の前に数メートルの高さで鎮座していた。


「これが「あんこく」? 何ていうか巨大なスライムみたいな?」


しかもウチからどの方角を見てもその「黒い壁」が見える。


「ウチを取り囲んでいる? いったいどんだけデカいんだよ。」


周りに「光」を放出しながら確認する。そいつは「光」を出すと避けるような動きをした。光が苦手なのかな?


「ちょっと上空から確認するね。変形。」


そうサリュが言うとバイクが変形を始めて人型になった。


シュゴーーー!!!


バーニアをふかして垂直に高く飛んで……ドスン!! と降りてきた。


「やっぱり、この場所以外、森全体がこの「あんこく」に覆い尽くされてるわ。センサーの異常じゃない。」


まじか。


「ニュー! ニュー!」


プニーも外に出てきた。何だか怒っているようにも見える。プニーは体液を飛ばすとあんこくは避けるように体を引っ込める。


だけど引っ込めきれずに体液がかかった部分はジューッと音を立てて分断されて動かなくなりそこには黒い物体が残った。


「ふーん、光だけじゃなくてプニーの体液も苦手か。」

「正確には神水の効果ね。たくさん飲んでたでしょ。」


なるほど。確かにプニーの体全体が神水じゃないかってくらい飲んでた。


「あんこくって結局いったい何なんだ? なんかイヤな感じはするけど。」

「触れるとあんこくに侵されるみたいね。侵されると吸収されてあんこくの養分にされるみたい。」


……養分かよ。とりあえずあんこくには近づかないでおこう。でもなんだかにじり寄ってくるみたいだし何かでせきとめないと。


あっ、採取は出来るのかな? と思い手をかざしてみても採取は出来なかった。ただ神水がかかって動かなくなったやつは採取できるようだ。


(闇 24個を回収しますか? Y/N?)


闇か。なんか怖い。闇を放出するとどうなるんだろう? という確認は後回しにしよう。



その後、色々試してみた。


衝撃をぶつける→ボヨンと言うだけで全て衝撃は吸収された。しかも衝撃を受けた所が少しだけ大きくなったように見えた。


音や熱をぶつけてみても同じような感じ。


とりあえずわかっているの一つに「光」と「神水」が苦手な事。


こいつの対処法は……堀を神水で満たそう。周囲をそれで囲えばあんこくはこの拠点に入って来れなくなる筈だ。


「そうね。私もそれに賛成。じゃあ私と合身する? そうした方がやりやすいわよ。」


「合身?」


と、サリュの人型バイクが各パーツ以上に分解を始めた。そしその部品が俺の体の周囲をグルグルと回ったかと思えば……。


カシャン! カシャカシャン!


「おわっ! びっくりした。」


俺の体にバイクの部品が集まって「鎧」となった。俺の体全体がバイクの金属部品で覆われている。頭部を除いて。


「はい、頭はこれ。」


自分の手にフルフェイスのヘルメットが飛んできた。


「頭は普通のヘルメットか。」


しかしヘルメットを被ると、目の前には高度や各部位の耐久値が映し出されたディスプレイ。ただのヘルメットじゃなくなっていた。


「背中のバーニアも「意志」で使えるから。」


ふむ。意志とな。


「あと落下時はオートで姿勢制御するからあまり無理な体勢とっちゃダメよ。まあ、大概の衝撃は吸収しちゃうんだから。」


なるほど。


こうしてサリュ(バイクモード)と合体して鎧をまとった俺の夜通しの水通し作業が始まった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ