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第1話-4 もー、勝手にやっといて

漸く今回で会長さんの学校(案内)漫遊記が終わりそうです。前置き長いなー。

 食堂に行ってみると、ガラス張りで明るく広い場所に、土曜日だというのに結構な数の生徒が食事を摂っていたり談笑したりしてる。


「ウチの学校、寮生も結構居るからなー。

 あ、ここ支払いがちょっと変わってるから今日はオレが払とくな~。

 また今度にでも教えたげるから」


 と、会長さんはスタスタ先に行ってしまう。


「え、あ、すいません。後で金額教えてください!」


 慌てて追い掛ける。追いついた所で会長さんが教えてくれる。


「今日は土曜日やから、メニュー表の黄色い紙に書かれてるやつしか注文出来へんねん」


 指さされた先には、確かに黄色とピンクの2色に別れたメニュー表がある。

 そ、それにしても……すごい数。和・洋・中、色んな料理名が書いてある。

 生徒数が多いのは知ってたけど、食堂も色々凄くて、何だかちょっと圧倒されちゃう。


「んー、何喰うかなぁ……。あんまり喰うと眠たなるしなぁ。

 今日は流石に寝ぼけてたら、卿夜(きょうや)にシバかれそうやし~」


 メニュー表と睨めっこを始める会長さんに習って、私も見上げる。

 本当に凄い数のメニューがある。ふと目についたのは……。


 チャーハンにしようかなぁ。麺よりはゴハン食べたい気分かも……。

 後は何かスープみたいなのがあれば―――。


「おおッ!? 桜庭(さくらば)ぁ!! 久し振りだなッ!!」


 考え事をしていたら突然、背後から大きな声がっ。

 ああ、ビックリした!


「―――久し振りて……。何ゆーてんねん。

 一昨日も()ぅたがな、千種(ちぐさ)たん」


 渋~い表情で振り返った会長さんの前に居るのは、いかにも体育会系っぽい筋骨隆々で紺色ジャージの男子生徒。

 確か、学年でジャージの色が違うから、紺色は2年生だったっけかな。


「あ、こらッ、桜庭、お前! ”たん”は止めろ、”たん”は!!

 最近、他の奴までマネし出してるんだぞッ! どうしてくれるんだ!!!」


 本当にイヤなのだろう、顔を真っ赤にして会長さんの口を塞ごうとするけれど


「”たん”呼び止めて欲しかったら、一回でもオレに勝ってから言うてー」


 飄々と、そして易々と躱してしまう。


「うぬぬ……ッ!!」

「か、会長さん……この方は?」

「この人は、千種(ちぐさ) 凌平(りょうへい)て言うて生徒会の体育会系部副代表、そんで男子寮の副寮長でもあんねん。

 ちなみに、普段は柔道部で、レスリング部と、空手部とウェイトリフティング部の助っ人掛け持ちしてんねんで」


 わあ~、想像通りと言うか、何というか。


「千種先輩、もう止めましょうよ~」

「そうですよ、蓮会長には何やっても勝ててないんですから……」


 後ろに付いていた赤色ジャージが二人、千種氏のジャージを掴んで引き摺って行こうとして居る。


「千種、一年坊主が言う通り、時間のムダだ。―――止めておけ」

「あ、里中しゃん。

 この間の試合、おめでとうさんです。対抗戦、3連勝ですやん」


 次は剣道の胴着を着た人が。とっても姿勢のいい人だなぁ。


「……はぁ。

 蓮、せめて試合の時だけでも良いから剣道部に入って貰えないか?

 我が剣道部の誰よりも強いのだぞ? 全く、俺でも勝てんのだからな。

 生徒会活動だけでは勿体ないぞ! 宝の持ち腐れだ。嘆かわしい」

「本当にな。蓮、是非とも俺達と甲子園を目指さんか?

 お前なら入部即エースで4番確定だぞ?」


 お次は野球部?


「いやいや、桜庭にはウチのファンタジスタになって貰いたい!!」


 サッカー部?


「何を言う。そんな事よりオリンピックで世界新を……」


 陸上部……?

 本人そっちのけで言い合いを始める運動部のお歴々に、会長さんはげんなりした様子で厨房の受け取りカウンターの方へ歩いて行く。


「もー、勝手にやっといてちゅーねん。昼メシもゆっくり喰われへんやん。

 おばちゃーん! 豚生姜焼き定食ちょーだい!」

「あ、私、チャーハンとたまごスープで!」


 すかさず私も注文する。でないとタイミング? が良く分からないし。

 するとすぐに白衣のおばさまがひょっこりと顔を出した。


「はーい! あら、会長くん。カワイイ彼女連れてる~。

 しかも、相変わらず人気者だわね~」

「こんな人気やったら要らんし! 鬱陶しいだけやんか~。

 てか、生徒会だけで充分忙しいねんで? 卿夜にコキ使われてるんやから。

 何でか知らんけど、みんなしてオレに二言目にはヒマやろって言うけどさ~」

「ていうか、一体何をどうしたら、あんなに体育会系の人達にモテモテになっちゃうんですか?」


 はーい、お待ちどぉ~というおばさまのやけに朗らかな声と共に定食とチャーハン他を受け取り、空いてるテーブルを探して歩き出す。


「なんか間違ごぅて生徒会の選挙受かってしもてな?

 ―――アレは絶対卿夜が悪いと思うねんけど、会長やらされるハメになって。

 んで、オレは高校編入組やから、各部活と委員会回って挨拶しようって事になってん。

 したら、行く先々でお手並み拝見みたいな流れになったんやがな。

 ちゅーか、オレも調子乗ってやり過ぎたっちゅう反省は一応あるねんで?

 あ、あそこ空いてる」


 それにしたって凄くない? 運動部総ナメって感じだし。


「あ、そう言えば……副会長さんは?」

「ん、卿夜? 卿夜なら先に生徒会室寄ってそれから生物室行くと思うで?

 卿夜は色々準備もあるし」


 準備? って何の?

 そもそも、今日の集まりは何をする予定なのかも聞いていないような?


「会長さん、今日ってこれから生物室で何をするんです?」

「あれ、たまちゃんには言うてなかったっけ? 今日は、『ゴーストバスターズ』やで」


 ニカッと笑ってそう言う会長さんは、なんだかとっても楽しそうで。

 でも、ゴーストバスターズって……もしかして、映画でも見るの?

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