悪役令嬢の最後
誤字脱字の方を直しました。
『さようなら、殿下。』
…やはり、出来ませんわ。
自分の周りだけ、真っ赤な薔薇が咲き広がっていく。
私のお腹辺りから、どんどんと激痛が広がっていく。
っ〜、痛い‼︎
あまりの痛さに叫びそうになるが声は出さない。
自分の体はその場で倒れる。貴方は悲しい目で
私を見つめていた。
…あぁ 、辺りが暗くなる。
徐々に辺りが暗闇へと化していく。
さようなら、殿下、私は殿下のことをお慕いしていました。
フラッシュバックのように今までの記憶が駆け巡る。
あぁ、どうしてこうなったのだろう。
…殿下と出逢ったのは、私が7歳だった頃。
◆ ◆ ◆
「マルデラ、お前はエルフォレスト殿下の婚約者になった」
お父様に教えてもらった。
最初は王子と聞いて優しくて、かっこいい王子様のような方だと
思っていた。
「こちらがエルフォレスト殿下だ。ご挨拶を」
光り輝く黄金の髪に、空のように綺麗な水色瞳の持ち主。
とても神秘的で、天使のような方に、一目で恋をした。
「わたくしは、エメリアル公爵家の一子、マルデラ・エメリアルと申し
ます、以後お見知り置きを。」
『……………………あぁ。』
殿下は、無愛想で私のことが嫌いなようだったそれが、
貴方との最初の出逢い。
最初、話すことも出来なかったけど、
私が積極的に沢山話し掛けたら、打ち解けて沢山話せるようになった。
そして、沢山話して、遊んで月日が経った。
◆ ◆ ◆
『マルデラ、婚約破棄をしてくれないか?』
17歳、学園に通い始めて2年が過ぎた頃。
その頃から、貴方は変わった。
平民上がりのアリーナという少女といることが多くなった。
アリーナという少女は桜の花のような淡いピンクの髪に、
ルビーの瞳と、私とは真逆の容姿をしていて天使のよう。
私のことをよく人は、全てを飲み込んでしまう漆黒の髪に、
血のように真っ赤な瞳でとても不気味な容姿だと。
そのせいだろうか?
「婚約破棄ですか!何故ですの⁈わたくしは嫌ですから、では‼︎」
その時から、私も人が入れ替わったかのようにアリーナに物凄い嫉妬心
を抱き、さまざまないじめを殿下にバレないよう沢山しようとした。
だけど、殿下には最初からバレていて、私は自宅での数ヶ月の謹慎を
言い渡され、その間に殿下とは婚約破棄され、その代わりに
あの平民のアリーナが殿下の婚約者になった。
私はその事実を知った途端、ショックで1週間、寝込んだ。
それからと言うもの、学園を休みがちになり、ついには、部屋に
引きこもるようになっていた。
「っ、なんでなんでなんで、なんで‼︎殿下は、どうして‼︎あの女を、
選んだの…っ、うえ〜〜〜〜〜ん!!
……………………っ、もういいわ、何もかも、もういい‼︎」
それから、しばらくして、私は学園を退学した。
そして、アリーナが侯爵家の養子になった。
◆ ◆ ◆
それから、3年が過ぎ、王太子殿下とアリーナの婚約式のパーティー
が行われる。
国中のお貴族の元に招待状が届いた。
そして、私のもとにも、招待状が届いた。
私は何かを決意し、速攻行くと決めた。
「エルフォレスト王太子殿下様と王太子婦人? アリーナ・エナメル侯爵
令嬢様の入場!」
そこには、白で統一されたタキシードを着た殿下。
白のレースドレスに王太子婦人の証拠である殿下と同じ瞳のネックレスを
しているアリーナ。
2人はこちらに向かっていき
『…マルデラ、久しぶりだな。このブローチを君に』
アリーナ!憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い…
私は一目散にアリーナの側に行き、隠し持っていた短剣を刺そうと……。
私は刺す寸前で手を止めた。
殿下の手にはアメジストとアマゾナイトというブルーグリーンの珍しい
宝石で作られたブローチ。
この2つの宝石の意味
…心に希望を抱かせる
…あぁ、見捨てられていたと思っていたのに、
っ、今になってどうして!
殿下、アリーナ、お幸せに。
『さようなら、殿下』
今までもこれからもお慕いしています。
アリーナ、立派な王妃になってくださいませ。
今まで、ごめんなさい。
お父様、お母様、今でありがとうございました。
…みなさん、さようなら。
お腹に短剣を刺しその場に倒れた…。
読んでいただきありがとうございました。m(_ _)m