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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔の森で勇者拾いました!

作者: 繪人

深夜に暇潰しで書いた作品

「うぅ…ひっく。ぐすっ…」


うーん……むにゃむにゃ…。


「ひっく……ひっく。」


………んー?


「ぐすんっ…うぅぅ」


…なんだ?……子供の泣き声…?


「うっ…うわーん!」


…人の家の前でうるせぇ。人が気持ちよく寝てる時に…。


「………誰だ…?そこで泣いてるのは。」


「ひっく。…おかあさま?」


「…誰が母親だ。声からして男だろうが。」


「うわーーん!!!」


「……泣くな。喧しい。」


「だ、だって。…ひっく。おかあさまぁ!」


「……お前、その母親はどうした?」


「ぐすっ。おそらにいなくなっちゃった…。もうひとりのおかあさまはボクはわるいコだから、いらないコだって。わらべのコは"けがらわしい"んだって……。だからいいコになるまでこのまのもりではんせいしなさいって。」


「…お前、義母に捨てられたんだろ。」


「ち、ちがうもん。いいコになったら、おむかえがくるもん!」


「………はぁ。」


「おかあさまぁ…!うぅっ…」


「…ならここでいいコになるまで暮らすか?」


「…え?」


「……だからここで暮らすかって聞いてんだ。」


「ほ、ほんと…?」


「…あぁ。」


__これがあいつとの出会いだった。__














「レーーイ!!ただいま!辺りに魔物は居なかったよ。で、ご飯まだー?」


「……あと少しだ。騒ぐな喧しい。」


「だってお腹空いたし。それにレイのご飯が一番ウマイしさー。」


「…出先でくらい静かにできんのか。」


「出先だからこそでしょ!せっかく引きこもりのレイがオレに付き合って外でたんだよ?そりぁ、はしゃぎたくなるよ!」


「……好きで付き合っているわけではない。面倒な事に巻き込まれやがって…。」


「えー。それオレの意識関係ないじゃーん。」


そう。こいつはこの十数年で忌々しい事に俺の身長を抜き、イケメンに成長しやがった。

それだけでも苛立たしいのに、街に所用で出掛けた際に少し目を離したら聖剣なんぞ抜いて勇者認定されるという面倒事をおこしてくれた。

そのおかげで魔王率いる魔族と戦争中のお国から呼び出されわけだ。

そもそも嫌ならついていかなければ良い話だが、そうはいかなかった。

出会った当初、こいつは魔の森の瘴気に当てられ普通では助からないほど弱っていた。

そんなやつを助けるため高位精霊だった俺は契約をした。

俺からは魂の欠片を与え、体内の瘴気を浄化する力を。

やつからは上質な魔力(精霊にとってのご飯)の補給を。

そんな訳だが魂の欠片は大元の魂からある程度離れると消滅していってしまう。

長年魂の欠片を取り込んでいたためか、やつから欠片がなくなると命の危険があることがわかった。

そのため勇者の呼び出しに精霊の俺も巻き込まれ、今現在王都へ向かう旅路の途中なわけだ。


「えっと…どうしたの?そんなにオレの顔見つめて…」


「……いや。考えごとをしていただけだ。」


「そう?ま、いいや。にしても、後どれくらいで次の街につくのー?」


「…あと3日はかかる。」


「えー!野宿疲れたー!!レイ。ぎゅーってしてオレを癒して?」


「………。ほら、飯できたぞ。」


「あ、無視した。でもご飯は食べるよ。」


「…さっさと食べてさっさと休め。」


「レイってさ、辛辣だけどいつも根のところはオレに優しいよね。そういうとこ好きだよ。」


「…意味のわからないことを言うな。最近のお前はおかしいぞ。」


「昔っからの想いに最近やっと気づいたんですぅ。耳赤くしちゃって可愛いーな。」


「…うるさい。」


「オレに照れ隠しは通用しないよー。素直になればいーのに。」


「だからうるさいと言っている!俺は先に寝る。」


「ふふっ。はいはい。お休みなさーい。」


「フンッ」


本当にこいつは…。一々癪に触ることを言いやがって。

この先の旅が思いやられる…。

……………疲れているようだし明日、あいつの好きな果物でも出してやるか。




「やっっと街についたーー‼」


「…うるさい。叫ぶな。」


「ごめん。ごめん。でもやっとお風呂に入れるよー。」


「…それは同意だ。」


「レイはお風呂好きだもんね。それじゃ早速宿を探さないとだねー。」


「…あぁ。」


本来精霊は寝食も要らず、また体が汚れることもないため風呂も不要なのだがこいつと生活しているといつの間にか人間の生活に慣れてしまった。

その中でもあの湯につかる風呂はお気に入りだ。

湯の中で翅を伸ばすとても心地が良いのだ。

だが最近こいつが風呂で翅に触ろうとしてくるのが困る。

翅は精霊の性感帯で触るなといっているのだが…

まあ風呂の魔力の前では些細な事だか。今から楽しみだ。


「…レイったらご機嫌だねー。っと、宿みっけ。ここで良い?」


「…風呂があればどこでも。」


「じゃ、ここで。ごめんくださーい。」


__チリンチリン__


ドアのベルが鳴る。


「はーい。いらっしゃいませ。宿泊のお客さまでしょうか?それともお食事のお客さまでしょうか?」


「宿泊で。」


「ありがとうございます。それでは、台帳に名前と人数の記入をお願い致します。何泊のご予定で?」


「はい。…買い物もあるからー……。2泊で。」


「では2泊2名様で銀貨5枚となります。…はい。確かに。お部屋は205号室。2階向かって左突き当たり右の部屋となります。お出かけの際はフロントに鍵をお預けください。お風呂は地下となります。深夜1時から5時までご利用出来ませんのでご注意下さい。ご退室の日は10時までにご退室ください。こちらが鍵となります。ご不明な点はございますでしょうか?」


「いえ。ご丁寧にありがとうございます。それでは。……お待たせレイ。行こっかー」


「…あぁ。」


「………ここだね。…ふぅ。いやー疲れたー。…レイこっちきてー?」


ベッドにどっかり腰掛けたあいつが呼ぶ


「……なんだ。」


「よっと…」


「う、わ…!?」


あいつに腕を引っ張られその胸に倒れこむ。

完全に倒れこむ前にあいつの逞しい腕に支えられ、体の向きをかえて膝の上に乗せられる。


「っ…何をする!?」


「んー?レイ成分補給中ー。…すんすんっ。レイって良いニオイだよね。同じ石鹸使ってるはずなのに。」


「おぃ…やめろ。ニオイを嗅ぐな。離れろ。」


あいつが首筋に顔を埋める。はっきり言って亜麻色のさらさらした髪が当たってくすぐったい。…ッ!?


「い、ったい…何してんだ…」


「うーん。…よしっ。出来たー。何って虫避け?」


「…虫?」


「そ、虫。レイったら自分の容姿に無頓着なんだもん。何で精霊って中性的な絶世の美人さんが多いかなー?」


「……意味がわからない。何でって精霊は生まれた頃は性別がないからだろう。何を今更。」


「そーなんだけどさ?やっぱり男女構わず視線かっさらうのはどうかと思うんだよね。だからお風呂行く前に牽制ー。」


「…話が飛躍してないか?」


「してないよ。この話は終わり!お風呂入り行こー?」


「………。そうだな。」




__ガラガラッ__


「あれ?…他に人居ないみたいだね。良かったー。」


「……あぁ。翅が伸ばせる。」


「話がビミョーにずれてるなぁ…。ま、いいか。…久々に見たな。レイの髪を下ろしてるとこ。綺麗な銀髪なのにいっつも三つ編みしてるんだもん。」


「…腰まであると普段は邪魔なんだ。魔法を発動するには精霊は長い髪が媒体で必要だから切れなかったしな……。あと、湯に浸かる時は纏める」


以前髪を切ろうとしたら他の高位精霊にかなりの剣幕で叱られた…


「ぇ。髪切ろうとしたの!?そんな綺麗な髪切ろうだなんてとんでもないよ!!レイは長い髪が一番綺麗だよ。」


「………そうか。」


「あ、耳赤いよー?」


「…気のせいだ!」


「…うん。そっか。そっか。そうだね。気のせいだねー。」


「…何だその言い方は?」


「いーえ。レイが可愛いとか全然思ってないよー?」


さっきから棒読みじゃないか!!それに可愛いとか…


「………。湯に浸かってくる…」


「あ、オレもー。」


「…ふぅ。………ん………んぅ…は、ぁ。」


「………。レイ…。あのもうちょい翅伸ばすときの色気どうにかならないです?年々色気増してない?」


「……?色気?何の事だ。」


「あ、モウイイデス。」


「…?そうか。…んっ。お、おい。ぅあ…。さりげなく翅をさ、触るなぁ…。離、せ…っ。」


な、さわ…触りやがった…!ちょっ…手が、翅の先から一番感覚の鋭い根元に…!!


「ちょっとくらい良いでしょー?レイ。はっきり言って誘ってるようにしか見えないんだよねー。」


「さ、そう…?」


「そ、誘う。まぁ、今日はこの辺で勘弁してあげるー。」


「っ……。はっ…はぁ。…なに、がかんべ、んだ…。はぁ…。…先に上がる。」


「うん。これ以上は逆上せちゃうからね。上がってー。」


「っ…誰のせいだ!誰の…!」


本当に何なんだこいつ…!腹のたつっ…!!


__ピシャッ__


勢いよく浴場の扉を閉める。早く部屋に戻りたくてささっと服に着替え部屋へと戻る。




「あー…。レイ。あれはかなり怒ってるなー。軽く理性が飛んでしまった…。部屋に戻ったら謝らないとだ…。」




「……はぁ。…まったくあいつは。」


部屋へと戻り椅子に腰掛け落ち着く。

…本当は気づいてるのだ。あんなやつの想いくらい。

ただ、精霊は何千年と生きる生命体。

生命体ゆえにやつと子どもなど作れないし、人間でいう結婚というものがない。

人間の法でもそうだ。人間と精霊は結婚できない。

どれだけ想いを通わせようが、繋ぎ止めるものがない。

それに勇者となってしまった。これからあいつには勇者にふさわしい人間が現れるだろう。

そんな人間を前にあいつを繋ぎ止めるものがない小心者の俺が戦えるはずがない。

そして…一人が怖いのだ。もしあいつと結ばれたとしても寿命であいつは俺を一人にする。

だから…だから俺は気づかないふりをする。あいつと心通わせる者が現れるまでずっと…。


「……ふぅ。思考が暗い方に向かってしまって敵わんな…。……ん?っ!?」


ガッ


ふと何かを感じ急いで椅子から飛び退ける。

すると間髪おかず、椅子のちょうど心臓があった辺りにナイフが刺さった。


「………。王族の狗が何の用だ。我々はそちらの要望通りに王都に向かっていたはずたが?」


「……」


音もなく黒ずくめの男が現れる


「…だんまりか。」


「…」


__カカカッ__パキパキッ__ドッ__


話かけている途中にもナイフが飛んでくる。それに応戦して空中に適当に氷の槍を作って飛ばしてやる。


「…さて。どうしたもんか。」


__ゴッ__ドガッッ__


「…うん?外が騒がしいな…?」


「……?」


__バンッ__


勢いよく扉が開き亜麻色の髪の勇者が入ってきた。


「レイっ!無事っ!?」


「…シリウス?」


「…っ!?」


「っ…殺気に反応して来てみれば!お前、レイに何してる‼」


「勇者殿…。部屋の前の部下たちは如何しましたかな?」


「そこで伸びてるよ。」


シリウスが顎で示した先には黒ずくめの男たちが数人伸びていた。


「流石は勇者殿です。それと我々は勇者殿とは戦う意思はございません。」


「レイに手をだしておいて…?」


「…そんなにそこの男が大事ですか。」


「だったら…?」


「ますます生かせておけません、ね!」


「っレイ‼」


男が俺の心臓目掛けナイフを投げる。

シリウスが叫ぶが位置的に間に合わない。



__そして俺の心臓にナイフが刺さった__



が、死なないがな。


「………え?」


「レイー!何で避けないの!?肌に傷が残ったらどうするの!!」


「え?勇者殿…?」


「…何を言っている。精霊がそんなやわな訳ないだろう?」


「え、え…?精霊?」


「だからってそれはないよー。」


「あ、あの…」


「……どうやらそこの男と話のすり合わせをしなくてはいけないようだな。」


「みたいだねー。」




「たいへん申し訳ありませんてしたっ!!」


「ま、そうなるよねー。人形をとる高位の精霊。し·か·も·闇の精霊王様を殺そうとしてたんだからさ。」


「はい…まさか精霊王様だとは存じ上げず…数々の無礼を。お望みであらばこの命をもってしてお詫び申し上げます…!」


「…そんなものはいらん。それより主に本当の事を伝えろ」


「うん。オレもいらなーい。にしても…。まさかレイが人に化けた魔族と勘違いされていたとはねぇ。」


「はっ!必ずやお伝え致します。」


「もう用はないから下がっていいよー」


「ではこれにて失礼します。」


「うん。主さんによろしくー。」


男は現れた時と同じように音もなく消えた。


「いやー。嵐のようだったねー。」


「…あぁ。そうだな。」


「さてと。レイ。服脱いで?」


「………。…は?」


何を言っているんだこいつ??


「だ·か·ら·服脱いで?傷ついてないよね?」


「…あぁ。そういうことか。」


「そういうこと。……。うん。傷はないみたいだね。」


ペタペタとシリウスが胸元を触る。


「…んっ。くすぐったい。シリウス。」


「……。ねぇレイ?レイってオレの気持ち気づいてるよね。それでこんな無防備でいいの?」


そう言い俺をシリウスの逞しい腕に抱きこんだ。


「っ…。なんのことだ。」


「……。ねぇレイ。オレはさ、レイが怖れているようにいつか寿命で死んでしまうよ。」


「…!?………、あぁ。」


いつ、気づいたんだ。隠せていると思っていたのに。


「でもさこうゆう噂知らない?聖剣をもつ勇者は竜人や獣人みたいに番をもつことが出来るって。」


「…。話だけなら。なんでも初代勇者は寿命の関係で叶わぬ恋をして生涯を独身で過ごしたと。そのため次代からは番を選ぶとその種族の寿命まで勇者の寿命伸びるとかいう眉唾ものの…。」


「そう。その眉唾ものの噂。オレってばその噂信じてね。初恋の精霊王様と共に生きていけるようについこの間聖剣抜いてきたんだ。そしたらさ、女神様を名乗る女性に会ったんだよ。」


「…は、初恋……。あ、それは女神クリスティーネか?」


「そう。それで女神様は言ったんだ。その噂は本当なんだって…」


「え…。確かに寿命を番に合わせる魔法はあるが、とっくの昔に廃れた魔法だ。まさか未だに存在していたのか…?」


「みたいだね。もうレイが悩んでた事は解決したんだ。だからさ…。」


そう言いシリウスは俺と目を合わせる。


「闇の精霊王レイファーノ。愛してます。オレと番になってくれませんか?」


「お、俺で良いのか?俺は口が悪いし愛想も悪い。こんな…」


「レイファーノ。君がいい。君じゃなきゃダメなんだ。どうかオレと共に生きてくれないかな。」


「……。っ…ぁ。あぁっ!俺も。俺もシリウス。お前を愛しているっ。喜んで!!」


あぁ。こんな事があるなんて…まるで奇跡みたいだ。


「あー…。可愛い。もう我慢できない。ねぇ。レイ。寝室に行こっか。」


「…え?」


「よいしょっと。」


「うわぁ…!?……な、なんで抱き上げるんだ。ちょっと待て、おい。おい!?」







「…………。起き上がれないんだが…?」


「えーと。レイが可愛い過ぎてヤりすぎちゃったー。ゴメンね?お詫びに今日はオレが看病してあげるね。」


「…いらん。明日からはまた旅なのだからさっさと足りない物買い出ししてこい!」


魔法を使い部屋からシリウスを追い出し鍵もかける。


「ちょっと?レイさん?レイさーん。今度から優しくするから‼鍵開けて!ねえ。お願いー!!」


ドアを叩く音がするが、気のせいだ。寝不足だし少し寝るか。


「レーーーイーーー!!」


「……少しは反省しろっ!」

あれ?書くのに7時間かかってるーww

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