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町へ 19
江口は逃げていった2人を追おうともせず、
また何処かに姿を消そうとした。
だが、ヤイバは江口を呼び止めた。
「おぃ…ばぁさん!」
江口はヤイバに曲がった背を向けたまま
立ち止まった。
「何じゃい?」
「あんた…一体何者なんだ…」
江口はヤイバに首を向けた。
シワの寄った顔でニヤリと笑って言った。
「はは~ぁん。
お主、ボーンと関わりがありそうじゃな。」
「まぁ、世話になってるが…
どうして分かったんだ?」
「意識じゃ…と言いたいとこじゃが、勘だよ。」
と言うと何故か寂しそうな表情をした。
「むかしが懐かしいの~。
解散以来忘れる約束じゃったが…」
ヤイバはさらに尋ねた。
「ばぁさんはボーンと
どんな繋がりがあったんだ?」
江口の顔にはシワが寄った。
「はっはっは、
ボーンと一緒に居ればいずれ分かるじゃろう…
ワシらももうそろそろじゃろう…」
すると、江口はふいっと向きを変え歩き始めた。
そして、藪の前にまで歩き、ヤイバに言った。
「ワシらは精鋭百隊。覚えておきな。」
と言って藪をぴょんと飛び越え何処かへ消えた。