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裏社会 26
ヤイバはまた後ろに下がり、距離をとった。
「無駄だ無駄だ!
この剣はどこまでも追うぞ!」
ヤイバは刀を振った。
キィィィィィィ~ン
鼓膜が破けるほどの高音が鳴り響いた。
(何故だ…曲なのに伸びている。おかしいぞ。)
またサンソンはヤイバに追撃を与えた。
キィィィィィィィ~ン
またもや鋭い音が鳴り響いた。
ヤイバは受け流すように刀を振った。
(ん?待てよ…まさか…)
ヤイバはふと思った。
そして、切っ先をサンソンに向けた。
「どうした?」
「いいや。
解けたかもしれねぇな。こりゃ。」
ヤイバはそう言うと
サンソンに向かって走り出した。
「自棄になったか…、アナコンダ!」
サンソンも負けじと剣に意識を使った。
ヤイバはサンソンのすぐそこで刀を交えた。
ギィィン
刀が合わさる音がした。
(やっぱりな…)
ヤイバが確信を得たその時、
ヤイバの背中にサンソンの切っ先が刺さった。
「イテェ!」
「はっは、油断しただろ!」
サンソンは剣を元の長さに戻した。
すると、ヤイバは後退りし、
サンソンとの距離を先程と同じくらいとった。
「覚悟しな。テメェの意識見破ったぜ!」