200vs2 42
「やめろ…貴様…」
「おや?昨日貰ったばかりなのに
やけに思い入れをしちまったな。」
「バァ~カ、
俺の流派じゃ初めて与えられた真剣は
自分の命より大切にしなきゃならねぇんだよ!
テメェみてぇな刀をオモチャみたいに使う奴には
分かっても欲しくねぇがな。
だからその刀を下ろせ。」
「フッ、良いこと言うね~。
命より大切か…」
トラヤヌスは銀色に輝く刀を見つめる。
「なら持ち主が命を捨てれば
こいつは誰のものでもないよな?」
「は?」
トラヤヌスは刀を持ち直しヤイバに突進した。
グサッ…
硬い物を貫く重い音がした。
ヤイバの背中からは鋒が飛び出た。
刀はヤイバの体を貫通し、
血がダラダラと垂れる。
「ヤイバ~!!!」
「おいおい、初期防衛もしてねぇのかよ。」
刀はゆっくりと抜かれ、刃は血で滲んでいる。
「蜘蛛の巣、解除。」
綱はふっと引き付く力を失い、
地面に落ち、一緒にヤイバの体も投げ出された。
「ボス、片付きました。
長らくお待たせして申し訳ありません。」
「他の奴らが厄日だっただけだ。
気にするな。」
「有り難きお言葉。
続いてはボスの番です。
まぁマルクスがかなり痛めつけましたから、
あまり手応えは感じられないと思いますが…」
「いやいや、構わん。
むしろ我が社の名を汚した奴らを殺せるし、
ワインからの依頼も達成できるし、一石二鳥だ。俺は満足だ。」
「ならば光栄です。」
トラヤヌスは倒れたヤイバに近づいた。
「持ち主を失った刀、
このトラヤヌスが頂いてやろう。」
ヤイバの腰に下げられた
銀色に装飾された鞘に手を伸ばした。