エピローグ
掃除屋会が終わったのは花火も終わった時刻だった。だからこそ驚いた。居るはずのない翡翠がこの場所にいたのだから。
「快〜!!」
「翡翠!? お前なんでこんなとこに来てるんだ!?」
「おじ様に飛ばされたの〜!!」
翡翠は涙目である。無理もない。ここは辺鄙なところにあるのだから帰る術は車か時空間移動のみである。翡翠はその両方を持っていない。
「全くあのバカ親父は……、翡翠帰ろう……、いや、待て」
何やら快は考え始めた。翡翠をここまで飛ばしたのは間違いなく義臣が詫びを入れるために違いない。
「快?」
「翡翠、花火みるか? 約束したもんな、治療兵の合格祝い」
翡翠はパッと明るい表情になった。快が約束を覚えていたからだ。
「うん! だけど、花火はもう……」
「ああ、夏祭りの花火は終わったがな。だが、ここで見せてやるよ」
快は翡翠を抱えると空へと飛び出した。そして召喚する!
「召喚、夢花火!!」
次の瞬間、無数の花火が間近で打ち上げられた! それは、翡翠が夢に見ていた思い出の花火……
「綺麗……」
「ああ、すげぇな」
快自身、この召喚は初めてだった。義臣がからかい半分で教えてくれたものはこれほどまで幻想的だったのである。
「快……、ありがとう」
「泣くな、一度しかやってやらねぇからさ」
ぶっきらぼうに言うのは少し恥ずかしいから。その分だけ快は優しいと翡翠は知っている。
「うん、来年は一緒に夏祭りに行こう!」
「そうだな」
今日だけは心行くまで花火を堪能する二人であったが、翌日、この状況で全く進展しなかった二人に多くの批難が寄せられたのは言うまでもない……
夏祭りの話はいかがでしたか? 「THE TEAM!(2)」もよろしくお願いします☆




