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004:イズミ

 朱雀ダンジョンの近くにある『イズミ』の村に戻り、ドロップアイテムなどをいつも通りにオークションで分け、余った物はチャイムが店売りする。


「先輩」


 ヒリュウが愚痴りたそうにリードに話しかける。

 二人はとある人物の教え子で、ヒリュウからすればリードは先輩の弟子にあたる。

 リードからすれば弟弟子の様なものだ。

 二人とも召喚士と言う事も有りよく話す間柄でもあるのだ。


(ヒリュウはショックだったようだな)


「愚痴か?」

「なぜ僕は選ばれなかったのでしょうか」

「やはりか、実は朱雀にも聞いてみたが、ヒリュウには敵意が有ったらしい、私は特に敵意を感じなかったと言っていた」

「う」

「だから何度も言うのだが、そう簡単に敵意を持つのはどうかと私は思うぞ」

「反省します。でもちょっとショックです」

「まあ感情だからな、こればかりはレドの薬品でもどうしようもない」

「修行に付き合ってください」

「好いだろう。バッシュ、チャイム、話がある」


 二人の仲間に伝えて了解を得てから、レドにも話した。

 召喚士の二人が一時的に抜けるので、戦力としては8名も抜ける計算だ。

 レドもヒリュウの悩みには、理解できる分野でもある。

 平常心で居ろと言われても、人はそう簡単行かないのがどんな世界の人にも通じる事だ。

 結果としては恐れを抱かない、敵対心を持たない、そんな心を持つことが望ましいという教えは何処にでもあるのは、それがかえって安全だからでもあるのだ。

 ヒリュウにはこれが足りない、本人も自覚している様だが、兄弟子のリードから見ても今後の事が少し心配でもあったらしい。

 ゲームから知れないが、このままでは先が詰むと。

 ハッシュ、チャイムが加わり、PT名はそのままの<十字星の記録>に固定する。

 最大人数23名から、8名が抜けた最大15名に下がる。

 従者系スキルを持たないウルカ、ユウヤ、ツグミの三名。

 三名には戦闘系、ダンジョンでのサポート役の二種類の役割を担う。

 常に二体を従えるアリサ、バッシュの二人にはレギュラー(常に居る従者)の事も考えた、フィールド、ダンジョンでの戦闘メインの役割だ。

 レギュラーが一人のチャイムには元素魔法による後衛火力役だ。

 レドに関していえばねピローテスと共に重武装の壁役だ。


「おうし。イーニャに帰還するぞ」


 レドが二足歩行の騎獣の陸鳥に跨る。

 習うようにピローテス、ウルカ、ユウヤ、ツグミの四人も跨る。

 背丈の低いドワーフのチャイムには従者のホウヅキが手伝って乗せ、従者が二人いるアリサ、バッシュの二人は直ぐに騎乗した。

 直ぐに村を出発し、『イーニャ』を目指し北上する。

 片道2時間の旅を行うが、どうせならと素材を集める為に寄り道し、採集系の採取、伐採、採掘、狩猟をメインに構成しながら、採取者の心得も取得し、素材を集めていた。

 一つの素材の採集ポイントでは15分程度留まり、フィールドにある草などの薬草系、フィールドに時々ある壁のような地形には鉱石などの採掘系ポイントがある、木材などの伐採箇所、エネミーではない動物などの狩猟も行い、魚を取る為の釣りも行った。


「兄ちゃん。さいしゅうけい、ってなんだ?」

「そうだな。上げるのなら」


 生活スキル系の採集系

 採取:小さな植物などを取る

 伐採:樹木などの大きな植物を取る

 採掘:岩石、鉱物などの石材、金属に関わる物を取る

 狩猟:エネミーを除く動物を狩る

 釣り:魚類を取る、主に釣り具を使う


「こんな感じのモノだ」

「へー。色々と」

「レドさん、ツグミも疑問です」

「なんだ?」

「心得系って何ですか」

「俺も思う。あれを入れると違うとかよく聞くけど」

 

 補助スキル:

  才能系:魔法才能などの使用する魔法に才能LVごとの補正を与える

  心得系:生産者の心得など対応するスキルに補正を与える

  身体強化系:ステップ、剛力等プレイヤー能力に補正を与える唯一の系統

  視覚系:視覚内に対応するスキルの情報を出す

  レーダー系:索敵などの、エネミーなどに対応したレーダーが使える

  増加系:HP・MP・TPなどのゲージに補正を与えるなど地味な系統


「こんな感じだ」

「へー。色々と有るのか」

「一番多彩な系統が補助系スキルなのですね。でも魔法に関して言えば、瞑想とか、魔法制御とかもありますけど」

「瞑想とか、魔法制御とかは、強化系に属するものだ。身体強化には入らないがプレイヤーに唯一影響を与える系統だ。かなり重要な系統だな。詳しくはわかっていない、このゲームも正式に行われ初めて二日目だしな」


 二人も納得し、採集系スキルを取得し、採集者の心得を取る。

 スキル枠+40の二人には悩むこともなく6つのスキルを取得できた。

 スキル枠が50の自分と、ピローテスの二人だけだが、これでスキル枠の最大の数値は50と言う事が判明したのも得られる情報の価値は高い。

 そんな採集をしながら、片道2時間の旅をさらに増加さて進み、丁度の中間地点にどこかのキャンプが張られていた。

 その近くまで走り、速度を徐々に落としてから、キャンプの近くに歩く。

 このキャンプ代表者なのか、白い髭を生やした渋めの男が視線を合わし、作業から手を離してこちらに向く。


「あんたら冒険者か?」

「あんたらも冒険者だろ?」


 質問に質問で返すレドに、男は気を悪くしたわけでもなく頷いて同意した。


「冒険者なんだがな、村を起こそうと思って、ここに決めたわけだ」

「そりゃあ有り難い」

「そう言ってくれると、少しは安心するな」

「商売もあるが、どっちに転んでも発展しそうだな」


 レドの言葉に男が小さく頷く。


「もしかしてだが、素材の買取とかないか?」

「ありはするが、そう高くは設定できない、何せここら辺は素材アイテムの宝の山だ。どうしても値段が下がる」

「だが、イーニャ、イズミの二つには物を運ぶのだから、当然の様に湯水のように必要になる物もあるな」

「かもしれないな」

「陸鳥の餌、水、陸鳥の獣具これを支える為にはかなりの資源が必要だ。これらの開発もしなければならない、陸鳥を運搬用に使う、人も陸鳥に乗るなら大量の食事、飲み水、薬、エネミーとは戦闘しないとしても、随分な物だ」

「あんた、もしかして経験でもあるのか?」

「いや。必要になる物を考えてみた。まっそんなところだ。どころで、休憩施設はもう使えるか」

「中央の場所にある。もし生産所を使うのなら代表に話を通してくれ」


 男の言葉にレドも頷き、残る12名もゆっくりと中に入る。


 □


 中央のテント前、モンゴル人の使うようなゲルを巨大化させたような作りの物だ。

 テントの前には騎獣の世話をするまだ幼い、ユウヤ、ツグミよりも年下な少年たちが騎獣を預かっていた。


「冒険者さん。用かい?」


 リーダーらしい少年の問いかけに、レドは頷く。

 これを見て少年たちの名前を呼ぶ。

 一人で13騎も預かれないのはよくわかる。

 騎獣から降り、レドも含める13名は内部に入るために、ゲルの前に立ったところ、一人の少女が挨拶した。


「この店を利用するのなら武装を解除してください」

「分かった」

「後。従者に関しては武器を使わないことが条件です」

「了解した。他には」

「後は騎獣の方ですが。餌、水の料金なんかもかかります」

「了解した」

「最後に、メニューを受け取ってください。武器のみお預かりします」


 武装を解除し、武器などは外して店側に預ける方式らしい。

 武器を預けて中に入る。

 内部は意外にも隙間からの太陽光、二つの柱を中心とした円形の建物、内部には質の良さそうで、上品そうな、清潔感が感じられる物が多くを占めた。

 新しい物が多い空間が広がる。

 中央の大きめなテーブルの近くに座り、大雑把乍ら決まったので、他のメンバーも座る。メニューを開けば肉料理がメインらしく、何の肉であるのか、何の香辛料が使われるのか、どのような料理法か、細かく記載され宗教や、主義、思想にも配慮されていた。だが一つの項目の料理の数はそれほど多くはない、定食が2個、軽食が3個、飲み物・サイドメニューが4個程度だ。

 注文すると、作り始め、いい香りが漂い、メインの料理の前の前菜としてキムチが出された後、程よい辛味が良いが、直ぐな水を出され三番目に鶏ガラスープが出る。

 キムチの辛味、鶏ガラスープのうま味から、メインに来る肉料理が非常に楽しみになる。

 到着した肉料理のジャンボ焼き鳥が届く。

 食事中は静かにする性格のレドなので、無言で黙々と食べる。

 食べ終わってから、『イーニャ』に向かう頃に、町や村ではないキャンプ場で、狩りをしてみるのもいいかもしれないとなり、クエストの予感がする代表と話す。


「君達が噂の冒険者一行か」


 赤髭によく手入れされた赤毛の男性フェルパーが話す


「それで何の御用かな」

「集めて素材を買い取ってもらう事とです」

「なるほど、取引の事か、この村、今はキャンプ場だが将来的には村になるのだが、依頼を受ける気はないかね」

「内容次第ですね。どうせなら専用の施設でも作ってみればどうです」

「専用の施設がいる程大変でもないしな。また今度と、依頼の内容は簡単な物だ」


 内容はいたって簡単、☆+1の基礎級エネミーのプリン、ボア、ウルフのどれかを狩ることだ。まずは実力検査らしい。


「狩りの他にはありませんか」

「採集系もあるが、今の所は必要がないな」

「生産活動に関しての事はありませんか」

「生産か、ふむ。もし生産を行いたいなら施設を貸し出すが、後だが生産の依頼などもあるぞ。」

「つまり狩りの依頼、生産の依頼、採集の依頼の三つがある訳ですか。仲間内で話してみます」


 この事を話すと裁縫、革細工のウルカ、裁縫、装飾のアリサ、調合、細工のバッシュ、鍛冶、商売のチャイムの4人は生産系を行うのもよいが、生産スキルに合う依頼なのかがわからないので、生産系は遠慮したいという。

 ユウヤ、ツグミ、従者の6名も生産系はスキルがないので、悩みながらも遠慮を申し入れた。

 こんなことになり、狩りを行う事になった。

 プリン、ボア、ウルフのどれかPTメンバー分の13体を狩る。

 手頃なのはやはりプリンだが、ボア、ウルフの二系統の素材アイテムも十分魅力がある。

 弓の使い手はバッシュ、ウルカの2人なので、陸鳥に乗っての騎射で狩る。

 弓系統のスキルを持たないアリサ、ユウヤ、ツグミ、チャイムの四人。

 弓系統のスキルを持つレドも居るが、弓は得意ではないために辞退した。

 従者達はそれぞれ主人と行動を共にするから不参加だ。

 草原に散って一人プリンを一匹狩る。

 これだけで代表の元に行き報告、その証拠の素材も提供し、キャンプ場の武具屋、道具屋、素材屋、騎獣屋、宿屋の五つの立ち入り許可が下りた。

 生産系に関していえば、共同生産所の使用許可は、別個にあるクエストを攻略する。


 ◆◇◇◆


 リアルの10時にログアウトした。

 それから夕食、シャワー、家の掃除、食器洗い、一人でクラス分なのでそれ程の労力はない。

 二時間ほどで終え、そのまま就寝。


 □


 5時間の睡眠後、朝早くからトレーニングを積む。

 小学校の頃にやり始めたVRMMOは客観的には同じでも、ヴァーチャルの世界で過ごした時間の長さが違い、一日3時間の増加で人より8分の1ほど長く感じ取った。

 これは長期間続けるのなら多くの場合で幸福とは呼べないことに陥る。

 人より多く時間を過ごすのはそれだけ精神の成長を意味し、となるのなら老化現象でもあるのだから、一日が24時間ではない時間を過ごす危険性は今や現実に近付く。

 昔あったゲームの精神と物質のはざま、そんな事と近い仮想と現実のずれによる時間のずれの問題だ


 朝の訓練を終え、シャワーに入り、清潔にしてから朝食を食べる。

 買い物に行くのが億劫な為に朝食、昼食、夕食は簡素な物だ。

 朝方の9時にログインした。

 始まりの町の<イーニャ>、朱雀ダンジョン近くの村の<イズミ>、この町と村の中間にある湖畔に大量のゲル(テントのような物)を設置したキャンプ場がある、ここの住民はここを村と呼ぶが、遊牧民の村と言えば納得がいく。

 プレイヤー達による一つの集団、ギルドとも呼ばれる組織は正式にはないために、現在の所は特に束縛もない固定PTが主流の組織の単位だ。

 同じくしてログインしてきた6名。

 従者の6名も宿から現れる。


「よし。今日1日は自由行動、色々とやりたいことも見つかったと思うしな」

「質問だ」

「バッシュか、なんだ?」

「他所の村や町の居住地に行くのはどうなる?」

「一日の範囲で許可するが、入ったら一言位メールをくれ」

「了解した」

「他にはないと思うが、ダンジョンなんかは一言メールをくれ、こんな具合だ」


 誰も異論がなく、そのままになる。

 ゲルの村での生産活動の許可を取り、それと同時に素材系の依頼も許可される。

 生産系のスキルにセットする。

 魔法スキル:付加、錬金術

 補助スキル:生産者の心得、錬金術師の心得

 生産スキル:調合、錬金、分割、計量、記録

 これらを基本に構成し、向かった素材屋でとあるアイテムを発見した。


「なんだい坊や、こんな物に興味があるのかね」

「興味があるから見ているのさ」

「精々☆+1程度の調合士がねえ」

「全くだ」

「つまらない少年だねえ」

「返す言葉がないのが辛いところだ」

「ならその本を買っていくかい?」

「ああ。買わせてもらうさ」

「メモ帳の方はいいのかい?」

「そっちは持参している、慣れた物が一番だから」


 素材屋の女主人は、本を渡し、レドも対価の支払いを済ませ、共同生産所に入る。

 一つのゲルを借り受けて行うが、基本的には〖イーニャ〗の共同生産所に近い設備だ。あそこでは個人的な物作り為に基本的に一人部屋だ。ここは違うらしく宿屋のような設備に、緊急セットのような医療アイテムに、生産プレイヤーには嬉しい高品質の水が手に入る他にも素材屋の近くの為に場所的にも程よい。


 二つの素材を混ぜる二重の調合、三重の調合より手軽で安全の為に、調合の基本は二種類からの二重混合らしい。この場合はランクは同等の物と混ぜるのが良いらしく、上位の物と混ぜるときにはかならずランクは合わせる事と有った。

 また自分の実験での知識である☆+2×1、☆+1×1のランクの違いからなる混合も一つの手法らしい、記載もある。

 ☆+2までの事は乗っているが、☆+3の分野はない。

 基本的な調合の方法、基本的な調合素材の扱い、基本的な平原での採集出来る素材の扱い方などだ。

 今の所作れる物は薬品であるHP・MP・TPの回復系、自然回復力向上系、最大値の増加の増加系、攻撃力・防御力・速力向上などの強化系、染料、塗料などの何らかの製品の素材になる中間素材系、食料品などにも使う食品系、飲料系、餌系なんかもある。農薬にも利用される農薬系などもあつたりする、この他にも毒物系、攻撃系、弱体化系などもある。

 初心者の初と書かれた書物のレシピ通りに行う。


 □□□□□□□□□□

 名称:HPポーション

 素材:薬草、水

 品質:☆+1

 耐久度:10/10

 効果:HP少量回復

 備考:極普通のポーション

 □□□□□□□□□□

 名称:ポーション

 素材:薬草、水

 品質:☆+1

 耐久度:10/10

 効果:MP少量回復

 備考:極普通のポーション

 □□□□□□□□□□

 名称:TPポーション

 素材:薬草、水

 品質:☆+1

 耐久度:10/10

 効果:TP少量回復

 備考:極普通のポーション

 □□□□□□□□□□

 この☆+1のポーション同士混ぜる。

 □□□□□□□□□□

 名称:HPハイポーション

 素材:HPポーション、MPポーション

 品質:☆+2

 耐久力:20/20

 効果:HP中量回復

 備考:普通のハイポーション

 □□□□□□□□□□

 名称:MPハイポーション

 素材:MPポーション、TPポーション

 品質:☆+2

 耐久力:20/20

 効果:MP中量回復

 備考:普通のハイポーション

 □□□□□□□□□□

 名称:TPハイポーション

 素材:TPポーション、HPポーション

 品質:☆+2

 耐久力:20/20

 効果:TP中量回復

 備考:普通のポーション

 □□□□□□□□□□


(どうやらこの三竦みがあるようだ)


 書物に乗っているHP→MP→TP→HPの順で、素材の優越を実際の体験した。

 ☆のランクが上がる。染料、塗料などとは違いランクが上なほど良い。


(しかし)


 ランクを上げるには、同じ物を10個集め、錬金での強制強化もあるが、この方法はあまり良くない。それは耐久力が最高値の物同士しか無理だからだ。


(なるほど)


 耐久力の分、分割できるスキルも取得していたので、耐久力20/20を20個に分割した。☆+1の20個に錬金での上位互換をする。

 これによって☆+1の耐久度1の物をランクを上げ、☆+2の耐久力10/10を作った。

 この耐久度10/10を耐久力1/1に分割し、同じく錬金を行う。


『成功です』


 □□□□□□□□□□

 名称:HPメガポーション

 素材:HPハイポーション

 品質:☆+3

 耐久力:10/30

 効果:HP大量回復

 備考:よく使われる手法での品

 □□□□□□□□□□


 この錬金でのやり方でさらに上を目指す


 □□□□□□□□□□

 名称:HPエクスポーション

 素材:HPメガポーション

 品質:☆+4

 耐久力:10/40

 効果:HP特大回復

 備考:考えようによれば、とてもお手軽な物

 □□□□□□□□□□


 生産した☆+1~☆+4のポーション、この時に魔法スキルの付加のスペルを使いあげた、アタックポーション、プロテクトポーション、スピードポーションの三種類を生産し、弱体化はスキルにないので後回しだ。

 ☆+5を錬金で作ろうとしたが、なぜか失敗し、無制限に作れるわけではないらしく、アイテム解析には何もないが、ひとまず失敗だ。

 調合スキルのみでの作り。

 ☆+1の薬草に☆+2上質な水で混ぜ、これで☆+2を作る。これと同じくし要領で☆+3の高品質な水を混ぜる。そうすると☆+3のポーションが作れる。


 1回目の1次混合ではランクが上昇し、2回目の二次混合では下がるらしい。

 水+1+薬草+1=☆+1ポーション。

 水+2+薬草+1=☆+2ポーション

 これらは1次混合での上昇だ。

 水+1+ポーション+2=☆+1

 水+2+ポーション+3=☆+2

 これらは二次混合での低下だ。

 1次混合の場合は高いランクに合わされる。

 2次混合の場合は低いランクに合わされる。

 素材の優越の場合はランクが上がる。

 また。

 ランクによって受け入れられる混合も増加する。

 ☆+2×1+☆+1×1=☆+2×1

 ☆+3×1+☆+1×2=☆+3×1

 これらの組み合わせではランクが必ず高い方に合われる。

 ポーションの法則通りなら低下する筈の、ランクが高い方に合わされる。この混合の場合。

 ポーション同士の素材の優越、調合済みの涙のみの混合では高い方に合わされる。

 よってとあることが予想できる


(複数の法則に乗っての物なのか)


 これらにアタックポーション、プロテクトポーション、スピードポーションをポーションの素材の優越通り調合した。


 □□□□□□□□□□

 名称:ハイアタックポーション

 素材:アタックポーション、プロテクトポーション

 品質:☆+2

 耐久度:20/20

 効果:二段階の攻撃力全般が上昇

 備考:品質がそこそこのお手軽ポーション

 □□□□□□□□□□

 これらの調合からアタックはプロテクトを優越し、プロテクトはスピードを優越し、スピードはアタックを優越する事が判明した。

 そこで同じ品質通り回復ポーション、強化ポーションを混ぜる。

 □□□□□□□□□□

 名称:HP増加ポーション

 素材:ポーション、アタックポーション

 品質:☆+1

 耐久度:10/10

 効果:HP最大値が増加、効果は一時的

 備考:増加する便利なポーション

 □□□□□□□□□□

 この他にもプロテクト+MP、スピード+TPのように調合しても増加ポーションばかりが出来た。

 MP+アタック、TP+アタック、HP+プロテクト、TP+プロテクト、HP+スピード、MP+スピードの組み合わせの調合でも、増加ポーションしかできなかった。

 増加ポーションの一つを分割と錬金で底上げし☆+4を作る。


 回復ポーション、強化ポーション、増加ポーションの三種のポーションが出来た。

 今度は☆+4と☆+1を分割で小分けしてから調合した。

 ☆+4の増加ポーションが出来る。ただし耐久度はⅠ+1だったので2だ。

 これをさらにもう一度行う。

 ☆+4×1、☆+1×2

 これで☆+4が作れる。

 ☆+4×1、☆+1×3

 これでも☆+4が作れる。

 □□□□□□□□□□

 名称:HPエクス増加ポーション

 素材:HPエクス増加ポーション、MP増加ポーション

 品質:☆+4

 耐久度:2/2

 効果:HP+4増加、MP+1増加

 備考:よい組み合わせのポーション

 □□□□□□□□□□


 これを一時保管し。


 □□□□□□□□□□

 名称:HPエクス増加ポーション

 素材:HPエクス増加ポーション、MP増加ハイポーション

 品質:☆+4

 耐久度:2/2

 効果:HP+4増加、MP+2増加

 備考:よい組み合わせのポーション

□□□□□□□□□□

 名称:HPエクス増加ポーション

 素材:HPエクス増加ポーション、MP増加メガポーション

 品質:☆+4

 耐久度:2/2

 効果:HP+4増加、MP+3増加

 備考:よい組み合わせのポーション

 □□□□□□□□□□

 名称:自然回復力向上エクスポーション

 素材:HPエクス増加ポーション、MP増加エクスポーション

 品質:☆+4

 耐久度:2/2

 効果:HP/MPの自然回復率向上

 備考:性能の良いポーション

□□□□□□□□□□


(なるほど、確かに混合の基本通りならこんな感じか)


 回復ポーション、強化ポーション、増加ポーション、自然回復力向上ポーション。

 これらの四種類の物が出来る。

 ランクの最大値は☆+4だ。


 これらのポーションを混ぜた。

 ベースとなるのは回復ポーション+4、残りが+1だ。

 これらの調合を行い。

『調合成功』

 □□□□□□□□□□

 名称:蘇生薬

 素材:回復、強化、増加、自然回復率向上ポーション

 品質:☆+4

 耐久度:1/1

 効果:どんな物も蘇生する

 備考:よく考えたほうが良い薬。ある意味危険すぎる薬物。

 □□□□□□□□□□

 今までのメモは記録してあるが、破棄すべきか悩むも、いずれ必要になるのかもしれないと判断した。


 ◆◇◇◆


 ポーション作りの後は染物と塗装の二つを考えた。

 染料に関していえば素材屋で購入した染物用の素材と、中間素材の原液を混ぜて作る。これは塗装の方も同じように作り、☆+4の染料、塗料の二つが出来る。

 ポーションから、ペットフードと混ぜた薬用品のペットフード造る。むしろエネミーが好むようなペットフードと、ポーションなどの薬物との混ぜ物を終えた。

 飲料水との調合も行い、普通に作れたのはスキルLVが高いからだろう。


 正式サービス3日目の5月23日、1時間が過ぎた午後1時。

 生産を楽しんだ後は運動と判断し、騎獣のビーアに跨り、このキャンプ場の内部を見て回る。

 最初に会ったのはウルカだ。


「ようウルカ」


 レドの言葉に、ウルカが振り向く。

 珍しく忍び頭巾を外した素顔でいた。相変わらずに凛々しい風貌の和風美人だ。


「むう。レドか、その様子だと生産は終えたようだな」


 ウルカの言葉に、レドは頷き、新しいポーションなどを見せた。


「むう。さすがはPTの回復役」

「ヒーラーには負けるが、貴重なMP・TPの回復薬も作れたぜ」

「何かと重宝するなお前は」

「びでえな。俺は携帯性抜群のテントかよ」


 この冗談にウルカは薄くだが暖かく笑う。


「でも、テントを作ってみたいものだ。野営は辛いし」

「お前でも辛いのか、ギター片手に演奏していたが」

「楽しむはするさ。ただ雨や冬は辛い」

「しかし。テントなんて作った者は居ないと思うぞ」

「そこは裁縫師の腕前次第ではないのか」

「まあ作れるではあるが、大所帯だからな」

「男性が少ないのが俺の悩みだ」

「贅沢を言うな」


 二人が会話し、ウルカの不機嫌そうな声から少しは改善されたようだ。


「で、ウルカ」

「む」

「何が不機嫌の元なんだ」

「ああ。実はな、まあ両親が高校に入ったら結婚しろと訳の分からないことを言い始めた。凄く迷惑だ」

「年齢的に言って無理じゃないか」

「私なりに調べたが、やはり高校生での結婚は無理らしい。小遣いで弁護士と話したが、そちらも法的には不可能ですと言われた」

「だろうな。高校は寮暮らしだったか」

「ああ。何故知っている?」

「おいおい。自分で引っ越しが忙しいと言ったのは誰だ」

「だった。そこから予想するのは確かに容易いな。でお前は寮暮らしなのか」

「いや。自宅から通う。何かと便利だしな」

「そういう面もあるのか、実家から出たかった私からすれば考えられない事だ」

「更に言うのなら、トレーニング用品や、訓練などの道具の輸送が、不可能だったからだ」

「ふむ。と言う事は、毎日トレーニングを積むのか?」

「ああ。毎日欠かさずに、もう10年近くなる」

「乗馬もか?」

「乗馬の方は田舎にある」

「もしかしてと思うが、どこかの金持ちなのか?」

「そいつは、まあいいか。母方の爺さんがそこそこの金持ちなんだ。ちなみに父方の爺さんの方もそれなりの金持ち、両親ともに駆け落ち同然で結ばれたから昔は色々と有ったらしいと、泥酔しながら話していた」

「何故か真実味を感じない」

「やはり。真面目な時と不真面目な時があるから読み難いのは当たり前だ」

「まあそんな訳で、金持ちの両親の両親方、一般市民の方々が両親だ。そして俺の場合に限り一般的な学生だ」

「一般的な学生、か。あれほどの前衛が一般、か」

「スキルに助けられているのさ。それに最近は狩りも殆どないのが困る」

「お前がリーダーだろ」

「という訳で代わってくれ」

「嫌だ。私は脇役好みなんだ」

「渋い立ち位置を好むな。俺もリーダーはあんまりなんだよ」

「昔になんかあったのか?」

「とあるVRゲームでな、ギルマスやったが、上手くいかず空中分解してな。それからはリーダーはやらないで、現場指揮官や参謀なんかを行っていた。そっちの方が適正が有ったらしく、一人前程度にはなれた」

「そのゲームは、軍事的な教育ゲームなのか」

「似たようなものだな。一人の騎士として戦場を生きるナイツ・オブ・ナイツと言うゲームだ。中世の騎士だな」

「それで、慣れていたのか。」

「そんな事も有ってかな。決行なガチ勢だったな」

「エンジョイ勢だったら特に秀でる事もなかったようだな」

「何事も経験さ。んじゃあ。俺は他の奴を探してみる」

「了解だ。」


 次に会ったのはチャイムだ。ワンコの様な獣耳、尻尾、150㎝の低身長、ウォーハンマーを傍に置いて露店を開いていた。

 暇そうにしている様子から、売り上げは厳しい様子がうかがえる。

 騎獣のビーアがトコトコと歩き、露店の近くまで来た。


「ち~す。レド~何が買っていって~いって~」

「商品がないぞ」

「ふっ。甘い~大甘だ~」

「まさか個人情報?」

「違うのだ~鍛冶の商品だ」

「といと技術?」

「でもなぁ~い」

「じゃあなんだ」

「鍛冶の依頼受け付けます」

「なるほど、あの片手剣の物か」

「そうそう。あんな感じ物が作りたいけどね。でもでも、依頼がなかとです」

「じゃあ。☆+1での高性能品とか、それに使うならよい材料があるぜ。こいつだ」


 露店の代の木箱に小さな小瓶の塗料を置いて見せる。

 直ぐに眼力系の鑑定スキルで調べ、価格査定スキルでも調べていた。


「お~う。こいつは力作だぁ~」

「大量には作っていないので、レシピだけは伝えるぞ」

「う~ん。レシピですか~ち~とす。無理です。リードより釘を刺されていますから」

「彼奴も成長したな。良い傾向だ。んじゃあ。手伝うのなら報酬として出すのは」

「了解です。この塗料製作を行うたいと思います」


 共同生産場で製造し、これを鍛冶職がどのようにしてもらうかも教えてもらってから、塗料を製作し、調合で作られた塗料はやや品質が低い感じもするが、初めとしてはよい方だ。しかも素材と塗料材料を混ぜるだけだ。非常に簡単なのだ。

 素材の方も粉末、刻み、すり潰し、遠心分離器にかけるなどの多様なやり方があるのだが、手っ取り早いのは刻みの方が簡単だ。

 共同生産所の正面で別れ、小腹がすいたので休憩所に行く。

 この道の途中で白と黒のコントラストのワンピース、この服装のハーフエルフの少女には見覚えがあるので声を掛けた。


「ようアリサ」

「おっ。レドじゃない」

「何してんだ」

「う~ん。特に何もしていないけど、まあどんな音楽が合うのかなと」

「おうおう。音楽好きだな。」

「レドは好きじゃないの?」

「好きではあるな。ガキの頃に親戚から習った程度だが、まあ長年練習してきた功のようなものかな」

「あたしの場合は両親からなったけどね。音楽が趣味の家庭なのよ」

「共通の趣味があると話が盛り上がる物だ」

「そうなのよねえ。でレドは何をしているの」

「小腹がすいたから休憩所に向けて歩き」

「ビーア~♪」


 アリサがビーアに餌を出す。陸鳥のビーアはそれをハムハムと食べる。

 美味しいらしくビーアは暫く食べることに夢中だ


「手懐けたな」

「獣は可愛いわよ。特にこの陸鳥の子達は、皆が愛嬌があるわ」

「本当に天職だな。召喚系なんかは取得しないのか」

「そうね。召喚系は好きじゃないからかな」

「人それぞれだな。そう言えば従者の面々はどうした?」

「あの子達なら近くの狩場に向かったわ。他にも採集とかもするらしく、です」

「よい影響が与えあっているのもよいのだが」

「おや~」

「なんだよ」

「まるで教育者の様な台詞よ」

「つまり教師のような物か?」

「それに保護者の様ね。まるでユウヤ、ツグミの時と同じよ」

「まあ何かの役に立つさ。そう言った保護者のような言葉も含めてな」


 レドの言う事をアリサは直ぐに理解し挨拶して去った。

 四番目にはバッシュがハーモニカを吹いていた。

 金髪のショートに長い耳、レドの様なダークエルフではなく、極普通のエルフだ。

 演奏する曲名は紙飛行機だ。

 懐かしい時代を思い起こさせる演奏に、レドは聞きながら懐かしむ。


「上手い物だな」

「子供の頃に聞いたものだ」

「前々から疑問があるが、いいか?」

「俺も疑問があるので良いぞ」

「バッシュは弓が巧みだ。しかも双小剣も巧みに扱う、投擲ナイフも十分達人級だ。何処で習った」

「随分と高く評価されているようだな」

「ああ。変だったか?」

「いや。昔教わったことが有って、それも中学の頃の三年間みっちり鍛えられた。レドがゲームで覚えているなら、俺はリアルで鍛えられた。いまでは学校の弓道部の部員だ。結構役立つ」

「なるほどねえ。俺の場合は小学、中学のVRゲームだが、バッシュはこのゲームが初めてなのか?」

「ああ。」

「歳の事は聞いてもよいか」

「今度高2に上がる」

「一つ年上か、俺は今度高校に上がる頃だ」

「よく試験が受かったな。ゲーム漬けの毎日だろ」

「ゲームの世界は小学校が二倍、小中学は三倍、普通の学生より長い間勉強していたのさ。リアルではがり勉、それはゲームをエンジョイするためには必要な妥協と判断していた」

「別にゲーム時間を勉強に使うわけではないのでギリギリ合格だな」

「ゲームで勉強するとかマジ勘弁」

「しかし。このゲームは面白過ぎてついつい部活をさぼりそうだ」

「そういう意見もあるな身を壊さない程度にやるべきに1票」

「確かに同意見だ。そういえば部活とかは考えるのか」

「今は無理だな。ゲームの為に勉強するのが俺のポリシーだ。ゲーム時間を一分でも多く得ることが俺の人生の目標であり、重要な事なのだ」

「がり勉なのか、それともゲーマーなのか微妙だな」

「しゃあないじゃないか。リアルでは狩りとかできないし、色々と出来ないことが多すぎるし、更に言うのならリアルの付き合いがあるように、ヴァーチャルでも付き合いはあるが、リアルに比べ物にならないほど居心地が良いからな」

「そればかりではいけないとも思うが」

「ああ。それは分かっているが、実力を出し切る場所も必要だろ」

「気持ちはわかる」

「なんせ全力で喧嘩したら相手が死ぬからな」

「物騒な台詞だぞ?」

「分かっちゃいる。本気で喧嘩する相手がいないのはつまらないのさ。そして現代じゃ役にも立たない武って奴が俺の得意分野だ。そも格闘じゃない。刀剣などを使った戦いだ」

「レド、部活を作るのはどうなのだ」


 バッシュの提案に、レドは思案した。


「悪くないな。それはむしろこう不都合だ。バッシュありがとよ」


 レドの荒んだ顔から笑顔になり、バッシュもホッとした。

 本音を話してくれたが、このままではこの友人がダメな道に行きそうでかなりテンパっていたが、提案もよくよく考えれば、非常に合理的だ。

 まず学校での部活動で訓練ができ、それらは学校側も評価に入るかもしれず、しかもレドの腕前から相当なことになるだろうし、何よりレドが学校に対する考えも多少は変わるのかもしれないとも思え、自分の考えが丁度良かったことに安堵した。

 寄り道ばかりの休憩所の前で止まり、騎獣から降りる。

 この騎獣のビーアの綱を渡したのが見覚えのある少年、ウルフマンのユウヤだ。


「ん~と。アルバイトって奴」

「そうか。なるべく失敗しろよ」

「え~と。普通成功じゃないのか」

「失敗からしか学べないからだ。なんてな。」

「兄ちゃんの不真面目は初めてだよ」

「気楽にいくのもよいモノなのさ」


 そう言ってレドは手を振って中に入る。

 こちらではウェイトレス、ウェイターの担当の少年、少女、店の奥では連結された厨房がある。

 何故かウェイトレス姿のツグミがメニューと水を持って現れる。


「ユウヤと同じ」

「ゲームでバイトとか、よくわからない事だな」

「生産を取るのはポイントが減るので、バイトしてみよという事になりました」

「なるほど。ユウヤも同じく、か。忙しくなくてよかったな」

「です。暇すぎるのも変な話ですが、暇すぎて嫌です」


 メニューを受け取り、水も受け取ってから軽食のラムケバブサンドを頼む。

 そんな食事中に点と似一人の男が入ってきた


「兄さん暇か」


 話しかけてきた男の方に振り向く。

 どうやらPCネーム表示がないので、NPCのようだが、どうもこのキャンプ場の人々は違うような服装に、特徴的な馬上弓を背負っていた。


「何か用か」

「いや~今ね。ゲームイベントを開くので参加しないかと」

「ゲームイベントと言うと?」

「騎射は知っているか?」

「ああ。と言う事は騎射の成績を競うゲーム?」

「そうそう。経験者だったりするのかな」

「いやまあ。昔習ったことがある程度、使い物にはならなかったが」

「なるほど、だから最初に弓を見たのか、この村でも娯楽が少ないから騎獣を使った賭博や遊びを考えてね。その参加者を募っている」

「面白そうだ。参加するぜ」


 NPCの男は礼を述べて挨拶した。レドも挨拶を行い、キャンプ場にいる仲間の6名に声をかけ、暇人の4名が参加するので、結構な観客も集まる。

 騎獣を使った幾つかの娯楽、平凡な速力を競うレース、障害物を超えるレースこの二つは基本的にどこでもできるものだ。騎獣に乗っての騎射を競うもの、槍の騎獣戦のジョストのこの二つは珍しさもあり、多くの観客が集まる。

 タイムレース、障害物レース、騎射、ジョストの四項目だ。

 この四項目の内、タイムレースは騎獣の関係から、身軽になるためにアイテムボックス、武器、防具などの武装も預ける。


「選手は並んでください」


<十字星の記録>の5名の他にも地元の人も参加する。


「ようい」


 旗が振られ、全速力でダッシュする。

 騎乗スキルしかないが、レドは逃げ切るために全速力でひたすら加速。

 他にも同じ選択を取ったアリサのティーアは少しずつレドより先頭に出る。

 これに他の騎手も速度を上げる。

 レドは速度を落とし、アリサの後ろにつく。

 アリサは首位に立つが、全速力で走っていたツケが回る。

 速力が落ち始めたアリサの騎獣に、レドは内側によって加速する。

 そこに後ろから、一番軽い体重の、チャイムの騎獣が、後方につく。

 速力を上げるチャイム、レド、速力が落ち始めるアリサ、三名の駆け引きとは別に、外側ではウルカ、バッシュの二人が接戦を行う。

 地元の人々も追いつこうとするが、体格が立派な者が大半を占め、結果としてはレースに不利な体格の者ばかりだった。

 荷物は軽い方が良いのがレースという物だ。

 レドの騎獣も頑張ったが、序盤での飛び出しに対し、中盤から体力を温存しても後半にはビーアはばてていた。アリサのティーアも、同じくバテており、二人が脱落寸前で、ゴールが見終え始める。

 あと少しと言うところで体重の軽いチャイムがついに先頭に並ぶ。

 カーブに入り、見え始めたゴールに向け、内側を取るレドは遅れをし取り戻すべく加速した。

 しかし。外側での二人の熾烈な戦いも、下手な争いに入らなかった戦術が功を奏し、有り余る体力で加速する。

 外側の二人、内側のレド、その中間アリサ、先頭から伸び始めるチャイム。


 結果的にはチャイムが優勝した。

 騎獣に回復ポーションを飲ませ、レドが全員分に提供し、息を整えてから次の障害物レースに出る。こちらの方は体重の重い体格の立派なバッシュ、やはり長身の分類には入るレド、女性にしてはやや大きいアリサ、平均的な身長のウルカ、一番小柄なチャイムの5名のレースとなり、結果としてアリサが優勝する。


 三番目にレドの得意分野のジョスト。

 特にルールなどないのだが、中央には木の板の柵が出来る。

 レドの自身から全員との戦いを求める。

 これにレドが優勝する筈もないと思われて成功しなかったが、それでも見事な騎士槍を使い対戦相手を一撃で落とす。

 他の者が失敗する中、レドは必ず一撃で落とすので、当然の様に優勝した。

 四番目にバッシュ、ウルカが得意とする騎射だ。

 ジョストですさまじい強さを誇ったレド、レースで優勝したチャイム、障害レースを単身で勝ち抜いたアリサ。

 騎射は10本の矢を使った物だ。

 定められた的を射る。

 5m、6m、7m、8m、9m、10m・・・14m

 騎獣も操縦しつつ、的も射る。

 動かない的の為にまだ簡単かもしれないが、一般的には当たらない物だ。

 先頭のバッシュは全部的中し10ポイント先制、ウルカも同じく10発的中し10ポイント、次にはレドが挑戦し当たりはするが的のギリギリの場合も多い9発だった。

 チャイム、アリサの2名はこれを辞退、新しくスキルを取るのを辞めた。

 他の選手もいたが、最初の二人が見事な騎射を見せたので、観客も複雑そうに眺める。

 優勝に関しては一つの記録が決め手になる。

 騎射の時にタイムだ。早く的確にいることが望ましいという言い分で、ウルカが優勝する。

 四種目を終え、他のプレイヤーが動画撮影をしていたらしく、放送されていた。

 特に騎獣に乗る者にとってみれば一つのイベントでもあるので、ミニゲームとしてはよい活気だ。

登場人物紹介<PC>編。

レド:

種族:ダークエルフ

性別:男

ジョブ:錬金術師、騎士

クラス:調合士、暗黒騎士、聖騎士

身長:177㎝

瞳色:黒

髪色:白髪に近い銀髪

肌色:褐色の肌

主要武装:片手用暗黒騎士剣、片手用暗黒騎士槍、暗黒騎士盾、暗黒防具一式

衣類:騎士装束

騎獣:ビーア(二足歩行の陸鳥)

備考:

先行プレイの始まりの七日間イベントの間は戦闘・生産兼任プレイヤーだった。特にコーティング剤を作る唯一のプレイヤーでもあったこともあり、エネミー将軍を直接倒したわけではないが、それに至るまでをアシストした戦闘・生産プレイヤーとして知られる。

スキル構成

武器スキル:剣、片手剣、騎士剣、暗黒剣、槍、騎士槍、暗黒槍

防具スキル:布製、盾、騎士盾、暗黒盾

装飾スキル:アクセ

魔法スキル:付加、弱体化、暗黒魔法剣

補助スキル:魔法才能、魔法剣才能、眼力、索敵、両手利き、両手持ち、身軽、敏捷、使役才能

生活スキル:同時使役

固有スキル:闇の木香

      暗黒剣

      神聖剣

      騎乗

生産時のスキル

生産スキル:調合、錬金、分割、計量


ウルカ:

種族:ヒュム

性別:女

ジョブ:忍者、侍

クラス:戦忍者、剣舞士

身長:160㎝

瞳色:黒

髪色:黒

肌色:乳白色

主要武装:忍者刀、手裏剣、巻き菱

衣類:忍者装束

騎獣:疾風(二足歩行の陸鳥)

備考:

<星空の記録>の偵察、索敵要因ではなく、忍法に依るダメージディーラー、火力に関しては高くはないが弱点を突く方法でPTの火力役となる。

レドのおふざけに突っ込みコンボを入れるのを密かに楽しむなど、突っ込み担当でもある、格闘能力なども高く、この身体能力を基盤にした接近戦も強い、レドに負けないプレイヤースキルを持つ。

スキル構成:

武器スキル:刀、片手刀、忍者刀、手裏剣、弓

防具スキル:布製、革製。忍者装束

装飾スキル:アクセ

魔法スキル:忍法、付加

補助スキル:忍法才能、忍術才能、魔法才能、眼力、発見、看破、索敵、両手利き、

      敏捷、軽業、身軽、ダッシュ、ステップ、ジャンプ、

生活スキル:

生産時スキル

裁縫、革細工


アリサ:

種族:ハーフエルフ

性別:女

ジョブ:獣使い

クラス:森獣使い

身長:165㎝

瞳色:銀色

髪色:白髪に近い銀髪

肌色:乳白色

主要装備:大鎌

衣類:お洒落なワンピース、装飾品

騎獣:ティーア(二足歩行の陸鳥)

備考:

前衛火力を担う腕利きの大鎌使い、特に関節部の隙間に刃先を入れて切り落とすなど優れた前衛であるも、防御力には難があり、火力のウルカ、器用貧乏なヒリュウの二人役割とは違う、前衛火力としての役割を持つ。

本人は自覚しないが、冷たい印象を与える表情のない美人の為に大鎌使いのイメージと遭うという事で人気が程々にある。

スキル構成

武器スキル:長柄武器、大鎌、

防具スキル:布製

装飾スキル:アクセ、ピアス、ネックレス、ブレスレット、リング

魔法スキル:

補助スキル:眼力、索敵、両手持ち

      捕獲才能、調教才能、使役の才能

生活スキル:捕獲、調教、使役、同時使役

生産時のスキル

生産スキル:細工、装飾


ユウヤ

種族:ウルフマン

性別:男

ジョブ:侍

クラス:双剣士

身長:145㎝

瞳色:ハシバミ色

髪色:はちみつ色

肌色:ベールオレンジ

主要装備:双刀、十文字槍、手裏剣

衣類:侍装束(着物、羽織、袴)

騎獣:ななし

備考:

ツグミの弟、正式サービスから参加する来月から中学生に上がる12歳、姉のツグミと一緒にログインし、直ぐにレドと会う

スキル構成

武器スキル:刀、片手刀、双刀、両手刀、長柄武器、射撃武器、投擲武器

防具スキル:布製、革製、金属製

装飾スキル:アクセサリー

魔法スキル:

補助スキル:侍の心得、侍の素質、双剣士の心得、双剣士の素質

      両手利き、両手持ち。ダッシュ、ステップ、ジャンプ

生活スキル:

生産スキル:

固有スキル:体力強化:ウェアウルフの固有スキル、一時的に体力強化

      騎乗:侍の固有スキル、馬などに乗れる

      心眼:双剣士の固有スキル、一時的に攻撃の軌道が分かる

ツグミ

種族:フェルパー

性別:女

ジョブ:武道家

クラス:格闘士

身長:145㎝

瞳色:ハシバミ色

髪色:はちみつ色

肌色:ベールオレンジ

主要装備:格闘武器、薙刀、ダーツ、巻き菱

衣類:現代風武道家服(胴着、ミニスカート)

騎獣:りんご

備考:

ユウヤの姉、正式サービスから参加する来月から中学生に上がる12歳、姉弟のユウヤと一緒にログインし、直ぐにレドと会う。

スキル構成

スキルLv:ALLⅠ・Ⅱ:全スキルⅡまで成長

武器スキル:格闘、拳、脚、格闘武器。長柄武器、投擲武器

防具スキル:布製

装飾スキル:アクセサリー。

魔法スキル:氣功才能

補助スキル:氣功才能、フェルパーの心得、武道家の心得、格闘士の心得

      両手利き、両足利き、両手持ち

      ダッシュ、ステップ、ジャンプ

生活スキル:騎乗

生産スキル:

固有スキル:五感強化:フェルパーの固有スキル、感覚の鋭敏化

      破邪:邪な物に追加大ダメージ

      息吹:呼吸法により能力を高める

バッシュ

種族:エルフ

性別:男

ジョブ:獣使い

クラス:猛獣使い

身長:185㎝

瞳色:碧眼

髪色:金髪

肌色:白色

主要装備:狩人弓、双小剣、投擲ナイフ、革製の防具一式、

衣類:狩人服一式

騎獣:アイアン

備考:

前衛物理アタッカー、前方に出て後方を叩くなど攻撃的な弓使い、双小剣使いでもあり優れた戦闘能力を持つ、皆から頼りにされるサブリーダー的な役割を持つ、レドとは馬が合いよく二人で話す。

本人は自覚しないが、極めて珍しい役割を持つ前衛遠距離アタッカーである。

スキル構成

武器スキル:弓、狩人弓、小剣、双小剣、投擲ナイフ

防具スキル:布製、革製。

魔法スキル:付加。治癒

補助スキル:魔法才能、捕獲才能、調教才能、使役才能

      眼力、索敵、両手利き。

生活スキル:騎乗、捕獲、調教、調教、使役、同時使役

生産スキル:調合、細工、商売


チャイム:

種族:ドワーフ

性別:女

ジョブ:商人

クラス:行商人

身長:150㎝

瞳色:チャ眼

髪色:栗毛

肌色:ベージュ

主要装備:ハンマー、革製防具一式

衣類:鍛冶服

騎獣:ランラン

備考:

前衛も後衛もサポートも出来る万能型のスキル構成の鍛冶商人。

よく間延びした言葉をするが、真剣な時は普通に変わる。PTの財政を担当し、本人も優れた鍛冶職であり、また商人としても知られる。PT内の調整役のようなことも行い、皆からの信頼が厚い、本人としては楽しむのがモットウなので、いつも余裕を崩さない。

一番の楽しみは作った武器(主にハンマー)でエネミーを叩き潰す事

スキル構成

武器スキル:ハンマー

防具スキル:布鎧、革製

装飾スキル:アクセ

魔法スキル:元素、治癒、付加

補助スキル:魔法才能。捕獲才能、調教才能、使役才能

      眼力、索敵、両手持ち、

生活スキル:商売、鑑定、価格査定、騎乗、捕獲、調教、使役、同時使役

生産スキル:鍛冶、商売

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