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034:学府 其の2

 初級Lv1№2に入る。

『初級Lv1№2を解放します。PT星空の記録+犯罪者+探偵を確認しました。NPCネズミの要請で、こちらにも進出しますが、出会えば支援する程度です。訓練を開始します』


 最初の広場、近くには草木が生い茂り、緑豊かな場所には何かの瓦礫があり、参謀コンビが近づく、ただ慎重に動き足元の草なども調べていた。


「騎士、分析などは可能か?」


 ジョーカーがレドに尋ねると、レドは首を傾げると、ジョーカーが草の一つを取り渡す。

 レドはこの草をじっと見る。


「普通の草だな。状態はそれほど良くない、むしろ悪い、所謂の乾燥し掛けた枯草に近い状態だ、色合いも悪いし、他の要素も悪い、食べたら不味くて吐くし、この点から言っても薬品には使えない、まあどうしても食べたいというのなら別に良いが」

「なるほど、つまりここはそう言うダンジョンか」

「錬金術師にとってみれば居心地の悪い場所だな」

「小石の方はどうする」

「拾うのさよいのさ。貰う訳にはいかない時もある、何せ世界は広い、どんなものがどんな文化に引っかかるから分からないからな」


 ジョーカーも頷いて小石を拾い渡した。

 レドもこの小石を調べ、軽く叩いてからアケチを呼ぶ。


「アケチ。鑑定を頼む」

「あいよ」


 鑑定してから伝えると、単なる小石だ。

 これにウルカが喜び、錬金術師達も喜ぶ。


「小石というものは基本的にはバフ効果を持つ塗料となる。魔法鉱石の欠片なんだ」

「なるほどね。砕いてからの薬品化か?」

「ああ。コマリに任そう、こう言うのは得意だ。賢い子だからな」


 呼ばれたコマリが受け取り、砕くための道具を取り出してから砕き、調合のレシピスペメルでの液体を創り出して薬品を作る。


「よい薬、効果はDEF+1、発見と言うべきAGI+1」

「ティアとコマリには助かるな」


 コマリがレドの足を蹴る、ティアは近くの石を投げていた。

 レドが小石を集めさせ、コマリが砕いてから薬品化していた。


「濃縮化は可能かコマリ」

「父さんなら可能でも、コマリには難しい」

「調合用の生産関係品はまだ解放されていなかったか」

「うん」

「単純な二重混合の同族のみ、濃縮化はまだ不可能、その他もまだか、全員に配ってから」

「不味い」

「・・薬だろ?」

「とても不味い」

「おいおいコマリ、これは薬品だ」

「父さんのは美味しい」

「分かった」


 レドが小石を砕いてから製造し、他の者に配り、レドの薬品を知る参謀の二人は直ぐに飲み、DEF+1、AGI+1、味わい+31、香り+31と言う非常に美味しい飲み物となっていた。他の追随を許さない飲み易さなのだ。


「ティアとコマリは、ジャンプしてくれ」


 二人がジャンプする、レドも、ジョーカーも、アケチも驚くような顔だ。

 二人の体力は低く、運動神経も酷い、この為に姉は、一生懸命にこれを改善させるために頭を使っていたし、そんな姉でも、二人の能力が中々に成長しない事には悩んでいた。

 実に喜ばしいとピローテスは判断した。


「うむ。小石は大量に貰って行こう、二人とも可能なだけ貰うぞ」


 クールに長女が言うが、双子は顔を見合わせてから溜息を吐いて拾う。

 ジョーカーも、アケチも察して拾う、何せ自分達の負担が減るのだから喜ぶ事なのだ。

 他の四名は周囲の警戒を担当していた。


「も、もう無理」

「重い」

「ふむ。適当な物でも」

「危険思想禁止!」

「姉さん重いわ。重過ぎるわ」

「大丈夫だ。これで体力がつく」

「よし行くぞ。」


 広場より進むと直ぐにエンカウントした。

 現れたのは精霊系のエネミー、このサラマンダーだ。


「召喚士はサラマンダーを召喚、これに防御させよ」

「「了解」」


【召喚:タイプ従者召喚:サラマンダー】によって現れた召喚物のサラマンダー、対峙するエネミー型のサラマンダーがブレスを吐く、これに味方のサモン型従者の三体が防ぐ。


「コマリはヒールを担当、ティアは継続型HP回復、ピローテスは継続型MP回復。開始」

「「了解」」

「前衛は戦闘開始だ。ウルカ、サクヤ、ヒリュウ、アリサはエネミーを殲滅せよ」

「「了解」」


 前衛の4名が飛び出し、サラマンダーと戦い始める。

 参謀の二人はこれを観察していた、何せ知的労働担当であるし、武器スキルも魔法スキルもないからで、攻撃も何もできない。

 レドの方は自警細剣を抜き、地面に突き刺し、アイテムボックスから投擲用薬品瓶を取り出していた。

 サポートを開始する最後尾の後衛に、サラマンダーは猛烈な勢いでヘイトをむき出しにと突撃しようとするが、前衛がこれを妨害、サラマンダーの攻撃には、従者がこれを受けて防ぐ、それでもレドは安心せず、突破を図るエネミーを警戒していた。


「アケチ、楽器が出来たか?」

「考える事はわかるが、難関らしいぜ」

「指揮を執る」

「しゃあねぇな。ギターかバイオリンだな」

「ああ」

「レド」

「厳しい精霊系には様々な能力があるが、その中でも最も厳しいのは物理耐性だ」

「前衛殺しか」

「ガンナーにとっみれば天敵だな」

「アーチャーなどもに厳しい、魔法使いも居るな」

「コマリに取ってもらうのが良い」

「無理だ。MPが足りない」

「前衛から減らすのは賢くない」

「騎士には無理だ。相性が悪い」

「残るは俺達か」

「いや騎士、薬品でどうにかできないか?」

「ああ。手はなくはないが、援軍というものも居たな」

「ああネズミ達だ」

「後退し、援軍を探そう」

「よし、一度後退、前衛はそのまま残れ」


 一度後退し、直ぐにレドが判断し前衛達も後退を開始する。

 広場まで押し戻されるが、エネミーのサラマンダーは敵意が失せて消える。


「アリサ」

「なに」

「ネズミ達は呼べるか」

「ええ」

「後ろは危険なので横を取らせてくれ」

「仕方ないわね」

「召喚士たちはネズミ達への被害を減らせ、今回の主力は彼らだ」


 三名が頷く、アリサがネズミ達を呼ぶ。

 ネズミのキューが戦闘になり小さな穴から現れてくる。

 ティアが喜んで挨拶し、アリサも手を振る。

 キューが代表して話す様だ。


「どうされた」

「家のリーダーが我儘を言ってね。困った事になったのよ」

「そのような方ではない」

「そうでもないわ。何せ精霊を倒そうとしているのだから」

「あの火トカゲを?」

「ええ」

「難しい」

「そうなのよね。これを我儘と言わずなんて言うのかしら」

「安心しろ、ちゃんと策はあるさ。ただ手持ちの武器が効かなくてな」

「どうすればいい」

「左右を取ってからの召喚で叩いてくれ、前は開けておくと倒し易い」

「分かった」


 ネズミ達が左右に分かれてから、エネミーのサラマンダーの近くに召喚した。

 レド達の従者も左右に分かれてエネミーのブレスを防ぎ、一行が進み、直ぐに最後尾の後衛が動き、前衛達4名も突撃する。


「貴重なアイテムが、仕方ないよな」


 レドが投擲用薬品瓶に薬品を入れる。

 製造された魔法属性の冷気が濃縮した、濃縮冷気薬品入りの瓶を投擲した。

 前衛達が苦戦するようなエネミー、このHPゲージが一撃でレッドゾーンに入る。


「おしもう叩いていいぞ」


 《アーツ:タイプ忍者刀:烈火突き》による光剣の突き刺し《アーツ:タイプ槍:裂空》による光槍の一撃、《アーツ:タイプ大鎌:アサルトタップ》による大振りの一撃の多段HIT、《アーツ:タイプ斧槍:ヘビーグラビティ》による荷重力の一撃。


「減らん」


 強力なアーツによる、4連撃を受けても、エネミーは生きていた。

 参謀コンビは困った顔で、このしぶとい精霊型エネミーを見る。

 ネズミ達も気を利かせ攻撃魔法による攻撃はしない様子だ。


「ウルカ、ちょっと来い」


 ウルカが前列から離脱する、レドか説明した。


「手裏剣の加工か、ふむ」


 取り出した手裏剣を二人に見せ、二人が受け取ってすぐに加工し始める。

 魔法属性によるダメージであるのなら、炎を除けば効く事はわかるので、液体窒素入りカプセルを取り付けていた。

 アケチが渡し、受け取ったウルカが使う。

 《アーツ:タイプ手裏剣:高速撃ち》により、攻撃を受けたサラマンダーは消滅した。


「ありがとうな」


 ネズミ達が頭を一斉に下げてから去る。

 ジョーカーと、アケチがウルカより受け取った手裏剣と、手持ちの素材を使い生産し、これを渡した。


「最近の男子は何かと便利だな」


 ウルカがそう呟くが、コンビは何も言わなかった。


「おし進むぞ」


 次にエンカウントしたのは、従者達とは相性の悪い、精霊型エネミーのウィデーネで、主に火の攻撃を防ぎ、火に特攻を持つ水を操る、逆にサラマンダーに水の攻撃を防ぎ、水に特攻を持つ火を吐く。

 しかしブレスによる有効射程と、ウィデーネの水の有効射程は二倍の差があり、近付くまでに撃破される憂き目に遭うのは目に見えていた。

 水の攻撃が効きにくいというが、特攻はこれを破る効果を持つ。

 つまりサラマンダーを易々と倒す精霊なのだ。


「ちわー」


 ヒリュウが直ぐに話しかける、ウィデーネは動かずに漂い、ヒリュウの出方を待つ。


「最近の調子どう」

「何が言いたい」

「こんな物でも食べて話さない」


 ヒリュウがすかさず料理を出した、このような精霊型の好む食べ物だ。

 ウィデーネはこれを受け取り、匂いを嗅いでから機嫌がよくなって食べ始める。


「ひとまず一名確保、あーやっと増える」


 ヒリュウが次の料理を出し、参謀コンビにはとても真似できない手懐け方だ。

 精霊型エネミーのウィデーネと契約したヒリュウ、この145cmの召喚士が同じ召喚スキルを持つ二人を見て手招きする。

 二人もよく分からないが近付くと、料理を渡された。


「今のようにすれば増えるよ」

「了解した」

「分かった」

「ベターなのは料理、次に宝石類もよいよ。特に確に召喚可能な奴との最初の交渉が肝要だし、初めて遭遇したらひとまず挨拶から」

「了解した」

「分かった」


 次に遭遇したのは見るからに愛らしい子人、しかも鍬を持つ人だ。

 すかさずにヒリュウが挨拶。

 鍬を持った子人は動きを止め、ヒリュウを見る。


「やあ元気そう?」

「ああ」

「ひとまずこれでも食べて一息入れようよ」


 出された弁当に子人は直ぐに鍬を置いてから受け取り、匂いを嗅いでから食べ始める。

 次には飲み物、これを飲んだ子人はヒリュウと契約した。

 ▽

 プレイヤーネーム:ヒリュウ 日本名:桜木このは

 クラス・学科:召喚士

 [装備]

 自警斧槍 召喚士の制服 ゼロ組バッジ

 [スキル]

 斧槍Lv20 召喚Lv2→Lv3 料理Lv25

 従者:サラマンダー、ウィデーネ、ノーム

 ▽

「はい三体目、やっとLv3か。召喚スキルは召喚可能な従者によってLvが上がるんだ。まあ一体でも上がると言えば上がるけどね。全く意味はないけど」

「なるほど、勉強になる」

「次はシルフとかならよいが」

「二人の方にも挑戦はしないと、出会ったら挨拶これが基本」


 二人が頷いて、再び移動する。

 次にエンカウントした精霊型エネミーのウィデーネに、ジョーカーとアケチが挨拶したが、興味を示したのはジョーカーの方だった。アケチの方は失敗したらしい。

 直ぐに料理を出し、次にも料理、これで契約した。

 アケチの方は納得が全くいかないらしく、次に遭遇したノームに二人で挨拶したが、興味を示したのはアケチの方で、何やら釈然としないが料理を出して契約した。

 四種類目にはシルフ、これには三人で挨拶したら興味を示したのはヒリュウ、これとも契約し、次にはシルフが現れるが興味を示したのはジョーカー、アケチは納得がますますいかない、次に遭遇したウィデーネとも交渉し、やっとの事で契約し、次に遭遇したシルフとアケチが契約、ノームの方はジョーカーと契約したが、かなりしぶられた。


 精霊との契約を済ませ、ボス戦となる。


「あー。景気良く燃えているね。もったいないな」


 広場の中央にいるのは一体の巨人、燃え盛る体を持つ炎の巨人は、見た目の方はまるっきり太った巨漢で、動く度に燃えている。


「召喚の方は相性の良い物を一体」

「相性?」

「うん。まあ男性型に好かれるかとか、女性型に好かれるとか、精霊の好かれるとか、獣型に好かれるとか、運が悪ければアンデットとか、色々」

「なるほど」

「納得がいかねぇな。なんでノームなんだよ」

「さぁ」

「相性をどうすればいい」

「召喚の特技、召喚スペルとかアーツとかあるけど、一番は無差別召喚、相性が最も良い物が現れるから安心だよ」


【召喚:タイプ従者召喚:無差別召喚】によりヒリュウの前にはウィデーネが現れ、ジョーカーの前にはシルフが現れ、アケチの前にはサラマンダーが現れる。


「よし召喚完了だよ」

「・・・まあ別にいいけどよ」

「頼むぞシルフ」


 ジョーカーの言葉に、シルフが頷く。


「姉妹はいつも通りだ。従者により攻撃を火力とする、前衛は攻撃より防御と攪乱と妨害を行え」

「「了解」」

「お待ちください」


 ウィデーネが何故か制止し、これに全員が注目し、ヒリュウが代表して話を聞く為に促す。


「私のような水の精霊には攻撃は不得意です」

「え?」

「代わりに回復や治療が得意です」

「あっなるほど納得。じゃあ得意な物を頼むよ」

「はい」

「シルフは」

「攻撃は可能ではあるも、主に支援を得意とし、次には防御を得意とします」

「わかった。支援を行いつつ防御を行え」

「サラマンダーは攻撃特化か」

「ああ。だが炎の攻撃は緩和するな」

「分かったあのデカ物の攻撃を防げ、攻撃はこちらで考える」

「了解した」

「聞いての通りだ。予定変更、前衛が叩く事になった。俺は主に薬品の攻撃に徹しよう」

「工作で支援する」

「同じく」

「おし怪我をしない程度に頑張るぞ」


 全員のやる気が起きない、気の抜けた理想だった。


 レドが直ぐに薬品を投擲し、炎の巨人にダメージを与える、レドは鼻で笑ってから剣を取りながら進む、巨人が向かってくるが易々と避け、細剣で切り裂いてダメージを与え始める。

 他の前衛も攻撃を開始する、工作担当の二人は近付くわけにはいかないので、ひとまずは観察していた。


 タゲを取ったレドは一切のダメージを受けずに全て回避し、時々薬品攻撃をしながら誘導し始める、ヒーラーの二人、バッファーのシルフ、歌と踊りの二人、サラマンダーはレドの近くでの攻撃への妨害、前衛は攻撃を行う。


 問題もあったが、戦闘能力は確かだった。

 ウルカも背後から手裏剣攻撃を行っていた。

 タイプにもよるが、人型は主に背後などの他にも、首や頭など弱点補正は高く、首や心臓などの、即死に値する攻撃判定の無いボスには効果的な物だ。

 ただ人型の最大の特徴は、武器を持つ事だ。この道具を使う知性が、厄介な物だ。


 リーダーがタゲを取るので、回復担当は暇だ。

 炎の巨人の腕が動き、炎の剣を創り出した。

 ヒーラーの二人が動き、サラマンダーも防御と妨害を行い始める。

 他の前衛も攻撃は、主に左右から攻撃、タゲ取りのリーダーは、薬品での攻撃を行いつつ、炎の剣を避けてはカウンターの一撃を与える。


 他の前衛の特にサクヤの攻撃は確かで、見事な槍を操っての一撃を次々と与えていた。

 アリサ、ヒリュウは攻撃するも、個人的な技量が及ばずにダメージは低い。

 ウルカは手裏剣攻撃を行うものの、ヘイトを稼ぎ過ぎないように調整していた。

 そんな攻撃が続く中、ついにボスの炎の巨人がアーツを使う。

 大振りの一撃、これをレドはあっさりと避け、カウンターの一撃も入れた。

 続いて二つ目のアーツを使い、横に振るが、レドは前に進んで避けてのカウンターを入れて離れ、ステップして避けていた。

 三番目のアーツを使い、突進してきた炎の巨人の攻撃を、サイドステップして避けてからカウンターの一撃を入れ、薬品を投げつけていた。


 味方からしても話にならない、剣士としての技量の格が違うらしい。

 一撃も受けないが、炎の巨人はサラマンダーに攻撃するも、サラマンダーも攻撃を受けそうになったら回避するが、掠りはするのでヒーラーによる回復も始まる。


 時折シルフからの攻撃も受け、炎の巨人は動きを止め、耐えるような動きをする。

 巨人の攻撃はレドに掠りもせず、レドにも余裕で相手をしていた。

 炎の巨人のHPゲージがついにイエローゾーンに入った。


「・・・・!?」


【召喚:タイプ従者召喚:ヘルハウンド】

 現れた炎を纏う大きな犬、前衛の三名が直ぐに動き対応した。

 参謀の二人も動き出し、レドのステップのタイミングに合わせて、工作用の銃を使い足場を作り補佐を開始する。


 ウルカの方も動き、炎の巨人の他にも、召喚された従者達ヘルハウンドに手裏剣攻撃を行う。

 必然的にヒーラーの二人も忙しく前衛達に回復を行う。

 継続型HP回復を行うティア、継続型のMP回復を行うピローテスは特に狙われる。


「犬風情がぁ」


 サクヤの槍がヘルハウンドをついに貫く、そのまま他の前衛ではなくボスへの攻撃を行う。


「サクヤ、遅いぞ」

「年取りたくないわい」

「狙う個所は足だ。特に間接な」

「了解じゃ」


 攻撃が集中し始める、近接ダメージディーラーのサクヤが攻撃する事で、ダメージが飛躍的に増え始め、ウルカの的が減る事で攻撃がし易くなる。

 ヘルハウンドとの戦いを行うアリサは苦戦していた。

 獣とは思っていない、炎を放つサラマンダーと同じように、獣型の従者らしく絶え間なく炎を吐き、近付けば炎で妨害する、攻撃を与えても、自然回復率が高いらしく直ぐに回復していく、これが苦戦する最大の理由だ。


「レド!」


 リーダーにヘルプする、レトが見てから直ぐに察したらしく、薬品を投擲しヘルハウンドのヘイトをかき集めた。

 直ぐにスタミナ回復薬を飲んでから、ヒリュウの援護に駆けつける。


「ヒリュウ援護するわ」

「これしぶといよ」

「自然回復率が高いのよ」


 攻撃してきたヘルハウンドの攻撃を弾き返し、会話を続ける。


「他にも斬る事に強い耐性が有るわよ」

「あちゃー。それは不味い」

「あたしにとってみれば天敵のような奴らよ」


 再度攻撃されるも、ヒリュウは冷静に突いてからダメージを与えた。


「だからサクヤは直ぐに終わったわけ」

「なるる」


 二人が連携を取り攻撃し始めた。

 一方、タゲを取るリーダー、槍使いのサクヤの攻撃も決まり続けるも、レドへの負担は二倍となり、炎の巨人の攻撃、ヘルハウンドの攻撃を避ける、それでも薬品での攻撃を行いタゲを取り続けた。

 工作担当の二人も支援し、レドの足場を絶え間なく作るも、次第のエネルギーが危険数値に近付き、アケチにマガジンを渡した。


「シルフMPは」

「可能です」

「俺の足のみを特化してくれ出来るか」

「可能です」

「なら頼む」


【スペル:タイプ支援:クイックアップ】による足が強化されたジョーカーは駆け出した。

 アケチは相棒の考える事が分かる為に舌打ちした。


「サラマンダー!ジョーカーを守れ!」


 サラマンダーが防御をジョーカーに変更した、これにより炎の巨人はサラマンダーに攻撃するか、それともレドに攻撃するかを迷うように見る。


「やれ!」


 ジョーカーが駆け、スキルを使う。

【アーツ:タイプ盗み:スチール】

 炎の巨人の剣を盗む、全員がビックリの行動だ。

 直ぐにジョーカーは逃走した。

 巨人の方は茫然とジョーカーを見る。

 他の者もジョーカーを見ていた。

 相棒のアケチが、直ぐに足場を作り、上空へと逃走した。

 その上空でジョーカーはボスに手を振っていた。


 ボスは激昂し、ジョーカーの足元に来るが攻撃が届かない、ヘルハウンドたちも集まるが攻撃が届かない、後は前衛達がボスを叩く。


「中々いい宝だ」


 地上の方では激高し続けるボス、ヘルハウンドたちも集中的に狩られていた。

 ジョーカーは余裕綽々で、上空の足場に座って品定めをしていた。

 攻撃手段を失ったボスは、単に激昂するだけで、前衛達に容赦なく狩られた。


『初級Lv1№2。ボス戦完了。VIPはジョーカー、ラストアタックはサクヤ、指揮はレド、詳細は後ほど、お疲れ様でした』


 戦闘終了、全員が決め動作を行う、要するにやったーのような物だ。

 帰還するダンジョンの入り口、本日2度目のダンジョントレーニング成功なのだが、直ぐに二人は離脱した。


「ようやるよ」

「悪くはないバカだ」

「まさかのVIPとはの」


 □


 プレイヤーネーム:ジョーカー 日本名:―

 クラス・学科:妖盗

 [装備]

 妖盗の制服 ゼロ組バッジ 携帯工作セット

 [スキル]

 召喚Lv1→Lv4 盗みLv1→Lv2 工作Lv1


 プレイヤーネーム:アケチ 日本名:―

 クラス・学科:魔偵

 [装備]

 魔偵の制服 ゼロ組バッジ 携帯工作セット

 [スキル]

 召喚Lv1→Lv4 鑑定Lv1 工作Lv1


 □


 帰宅する前に部活に出る。

 運動系の剣術部、主にレドが指導する部活だ。

 バカ二乗は捕獲されて近くで監視を受けていた。

 忍者達もちらりと見ていたが、逃げる為の準備はまだしていないらしい、逃げたら捕獲しなければならない為に忍者達にとっては辛い。

 部活を終えてから帰宅する。

 バカ二乗はロボットに捕獲されて輸送された。


「アジトはここだぞ?」

「つい条件反射で」

「癖」

「夕飯になるから終わったら上がってこい」


 二人も解放されてからアジトの方に向かう。

 養女の姉妹達も、風変りプレイヤーには吃驚だ。

 仲間達も夕飯時の為に帰宅し、主にリーダーの自宅での夕飯なる。


「金銭的な価値はない」

「なんせ等級が高すぎて金にならん」

「品質☆×3、等級は伝説級だ」

「良かったじゃないか、お宝第1号だ」

「ああ。効果の方は辛いほどだ。等級こそ高いが、強いて言うのなら炎を吐き出す火炎放射器だな。しかも性能は酷い、こんなものはあまりな」

「全くだ。もう少しまともな物を装備してもらいたい、鑑定した時に泣きそうになったぞ」


 かなり自由な性格の二人の為に、仲間の方も何といえばよいのかが分からず、姉妹の方はやはり変人だと納得していた。

 風変りの二人が追加されたことで、主にウルカの修行は大変になり、双子の方もひたすら体力訓練を受け、ピローテスがせっせと応援する。


 そんな夜時の、自警団の合戦訓練。


『トレーニングプログラム起動、タイプ合戦、地形草原、対戦相手はゴブリン・コボルト同盟軍、指揮官タイプは召喚士、全体指揮はゴブリンシャーマン、訓練を開始しますか』

「YES」

『トレーニングを開始します』


 いつも通りではなく、話が通っていたので機甲兵達も参加する、2mはある全高の巨人に乗るパイロット達、手には1mほどの棍棒、新しく盾が追加された。


「おーし。いつも通りの陣形を行った後に指揮官はこちらに集まれ」


 陣形を整えてから、それぞれの指揮官が来る。

 参謀の二人が地面に地図を描く、


「拠点は二つ、直線にあると思われ、前方、後方の二つだ」

「機甲兵と偵察部隊はセットでの後方に当たってもらう、敵への情報収集こそが最大の狙いで、攻撃はする必要は皆無だ」

「了解した」

「偵察部隊に関しては指揮官はウルカではあるが、対応するのは風魔小太郎にする」

「了解」

「偵察後に離脱、これだけで十分、そちらが見えれば遊撃が対応し支援を開始する、なお密集をするしかない地形の為に直射部隊に関しては敵への狙撃、主に前方への狙撃に徹してもらう」

「了解」

「曲射に関しては遊撃の後衛として動いてもらう」

「了解」

「今度より新設された盾部隊に関しては、アーツがまだ?」

「ああ。まあやってはいるがなかなか条件が難しい」

「引き続き盾アーツの取得に励んでもらいたい、これがあれば戦力は上がる」


 全体指揮:レド

 副官:ウルカ

 相談役:サクヤ

 参謀:ジョーカー、アケチ

 本隊

 刀剣部隊の指揮官にはビルド

 盾部隊の指揮官にはアシル

 鈍器部隊の指揮官にはチャイム

 長柄部隊の指揮官にはヒリュウ

 直射部隊の指揮官はツグミ

 攻撃部隊の指揮官にはアプリ

 妨害部隊の指揮官にはジェネリック

 回復部隊の指揮官にはコマリ

 支援部隊の指揮官にはフレグランス

 防御部隊の指揮官にはシェル


 機甲兵部隊の指揮官にはスカル

 偵察部隊の指揮官代行は風魔小太郎

 格闘部隊の指揮官には我王

 曲射部隊の指揮官にはバッシュ


 □


 機甲兵部隊に輸送されての偵察部隊、これを見送った後に、前方への陣形を整終え直し、再び現れ敵を見てば逃走。

 これを繰り返し偵察+機甲兵部隊より連絡が入る。


「なるほど参謀の予想は当たったか」

「バカ二乗だが頼りになる」

「ああ。よし殴り返すぞ」

「本隊攻撃準備、遊撃囮準備」


 攻撃に移る。

 盾部隊と長柄部隊が中央に配置され、囮となる。

 いつも通りに減らしていると部隊が戻ってくる。


「偵察が戻って来たぞ」

「そうか。遊撃と合流させてくれ」

「了解した。今なら安心だ」

「そうだな」

「騎兵が欲しい」

「贅沢は敵だ」

「了解した」


 偵察部隊の指揮官代行の風魔小太郎が報告し、参謀達が作った地図に印をつける。


「規模は砦だそうだ」

「攻めて叩こう」

「ダメだ」

「何故だ騎士」

「攻城兵器がない」

「・・・」

「急ぐな、また訓練中だ」

「火矢も可能だ」

「機甲兵への負担が多過ぎる」

「しかし」

「今回は様子見だ。一つ一つ学ぼう」

「分かった」

「敵さんは元気が好いなどちらも元気だ」

「やはり大砲が足りないが、こちらは機甲兵に期待するしかない」

「何れは攻城戦も有るし、こいつは大変だぜ」


 戦闘も続き。


「報告する、本体前方の敵を倒した、長柄だ」

「遊撃の支援に入るぞ、参謀」

「・・魅力的な話だ。横から叩くので十分だ」

「一つの前衛は予備だな」

「長柄は休ませ、残りは横から叩かせろ」

「了解した」


 遊撃の方は激しく戦うも、機甲兵部隊が奮戦し、味方への被害を減らしていた。

 長柄部隊を除いた本体も、準備を整えて、後ろの敵の横から叩く。


「順調だ。全てにおいて順調だ」

「危惧する事はない」

「ああ。機甲兵部隊の装備の一つ程度は買ってやりたいものだ」

「きっと喜ぶぞ」

「全くだな」


 後方も叩き終える。


『トレーニング終了。ガーディアンに帰還します。詳細は後に程送信しますのでご心配なく、VIPは長柄部隊、ラストアタックはヒリュウ、全体指揮官はレド。疲れ様でした』


 帰還した後、指揮官達への話を行い、各自の話を聞く。

 機甲兵クラスのプレイヤーは、武器スキル1個、補助スキルの操縦1個、生産スキルの整備1個だ。

 その他に色々と話をし、話を聞いてから自警団の訓練は終了した。


 □


 職員室でレッドより人材の話を聞いた。本当に色々な所からあり過ぎて困るほどだ。

 全部丁重に断ってから翌日となる。


 6月2日木曜日。

 朝方の自警団訓練を行う前に、自警団専用の装備を購入する話し合いを持つ。

 特に機甲兵達の指揮官のスカルは、嬉しそうに話を聞いていた。

 自警団の専用装備は、攻撃性能より防御性能が高い、特に防御兵器とは相性は抜群だ。

 副官のウルカ、参謀のジョーカー、アケチが予算の事から話し合う。

 指揮官達も話し合い、レドはピローテスの淹れた紅茶を飲む。


 ▽装備変更


 全体指揮:レド

 副官:ウルカ

 相談役:サクヤ

 参謀:ジョーカー、アケチ

 本隊


 刀剣部隊の指揮官にはビルド

 自警系刀剣系+1に装備更新


 盾部隊の指揮官にはアシル

 自警系盾系+1に装備更新


 鈍器部隊の指揮官にはチャイム

 自警系鈍器系+1に装備更新


 長柄部隊の指揮官にはヒリュウ

 自警系長柄系+1に装備更新


 直射部隊の指揮官はツグミ

 自警系銃器系+1に装備更新


 攻撃部隊の指揮官にはアプリ

 自警系杖系+1に装備更新


 妨害部隊の指揮官にはジェネリック

 自警系魔導球系+1に装備更新


 回復部隊の指揮官にはコマリ

 自警系杖系+1に装備更新


 支援部隊の指揮官にはフレグランス

 自警系魔導球系+1に装備更新


 防御部隊の指揮官にはシェル

 自警系魔導球系+1に装備更新


 機甲兵部隊の指揮官にはスカル

 自警系片手系武器+1に装備更新。


 偵察部隊の指揮官代行は風魔小太郎

 自警系片手系武器+1に装備更新。


 格闘部隊の指揮官には我王

 自警系格闘系武器+1に装備更新。


 曲射部隊の指揮官にはバッシュ

 自警系弓弩系武器+1に装備更新

 ▽

「旧装備に関しては各自に任す、ただ今後の事が有るので売却は一時保留だ」


 各指揮官達が頷く。

 相談役のサクヤもよい方に流れているので言う事はない。


「後だが、今回は直ぐに前方の敵本拠地を叩く、所謂の攻城戦だ」


 浮かれていた指揮官達は黙り、参謀の二人が頷く。


「まだ訓練すべきと私は思う」

「俺も、悪いな」


 参謀の二人の意見にレドは考え、二人に質問した。


「何が足りない」

「敵からの攻城兵器の反撃が怖い」

「なるほど、俺も失念していた」

「納得してもらえてうれしいぞ騎士」

「俺は一つの事を懸念している。レトの言う贅沢な装備、即ち罠だ。これに機甲兵は非常に弱い」

「つまり攻城兵器による反撃、取手周辺に作られると思われる罠、特に落とし穴がとても怖いと私は判断した。幾つかの偵察から敵は用意が良過ぎる。もっと怖いのは召喚物による攻撃、これは私の最も恐れるものだ」

「何らかの対抗策が無ければ、断固として反対するって訳」

「分かったがウルカ」

「騎兵が欲しい、とても欲しい、絶対欲しい」

「今後の期待しよう。敵本拠地近くに行っても調査は」

「それなら問題はない」

「ああ」

「なら決まりだ。各自予備訓練を開始せよ。ウルカ頼むぞ」

「了解だが、1に体力、2に逃げ足と言うのはどうにかならんか」

「ならん」

「むぅ格好悪い」

「美しく戦って討ち死にするのが楽しいのか」

「そうではないが、分かった」


 □


 自警団の団員同士でも戦い、体力と逃げ足が低い者は、特別特化訓練が課せられひたすら訓練だ。

 特に後衛達の、体力が酷く、逃げ足も遅い、この為に訓練は主に欠点の克服だ。

 体力自慢の前衛達は、欠点の防御技能を鍛えていた。

 機甲兵達の方は自分達での模擬戦を行い、ひたすら訓練を行う。

 歌の出来るティア、踊りの出来るピローテス、この二人の事もありジョーカーがスキルポイントブックを使い、指揮を執った。

 この指揮は、歌、演奏、踊りの三つの効果を飛躍的に高めるスキル効果があり、一番ヘイトを稼ぐタイプのスキルだ。

 アケチの方も何処からか手に入れたらしく、演奏と楽器の二つを取得していた。

 ▽

 プレイヤーネーム:ジョーカー 日本名:―

 クラス・学科:妖盗

 [装備]

 自警指揮棒 妖盗の制服 ゼロ組バッジ 携帯工作セット

 [スキル]

 指揮棒Lv1 指揮Lv1 召喚Lv4 盗みLv2 工作Lv1


 プレイヤーネーム:アケチ 日本名:―

 クラス・学科:魔偵

 [装備]

 自警ギター 魔偵の制服 ゼロ組バッジ 携帯工作セット

 [スキル]

 楽器Lv1 演奏Lv1 召喚Lv4 鑑定Lv1 工作Lv1

 ▽

 予備訓練も続き、オーケストラの指揮はジョーカーが行い、これによりバフ効果を生む歌、演奏、踊りは飛躍的な効果を生む、しかもジョーカーの指揮棒は特に有効範囲の増加を考えたタイプらしく、高い範囲を持ち、他にも色々と工夫したらしい。


 副官のウルカは様々な事、特に予算との格闘である、更に今は金庫の中身が心もとない、サクヤと相談しては計算機と睨めっこだ。

 団長のレドは別に暇ではない、各指揮官達からの報告書に目を通し、各所からの意見も聞き、これらに対応した言葉を送っていた。

 朝方のこの時間は特に忙しい。

 ティアのボディガードのユキカゼも、スキル調整が終わりいる、レドのお目付け役のルリもいる。

 ▽

 NPCネーム:ユキカゼ 日本名:―

 クラス・学科:ティアのボディガード

 [装備]

 ゼロ組バッジ

 [スキル]

 氷吐息Lv1 踊りLv1 人言語Lv1 衛生Lv1 体力強化Lv1


 NPCネーム:ルリ 日本名:―

 クラス・学科:レドのお目付け役

 [装備]

 ゼロ組バッジ

 [スキル]

 制裁Lv1 炎息吹Lv1 踊りLv4 人言語Lv1 飛行Lv1

 ▽

 レドの近くにルリが来る、そしてレドの足を軽く蹴る、痛みを覚えたレドが顔を向けた。


「・・・(こくり)」

「・・・なんで来るんだよ」


 思いっきり蹴る、かなり痛いレドは黙ってからルリの為に食事を準備した。


「良かったのかよルリ、やっとの事で静かな生活だろ」

「・・・これでよいのだ」

「そうかい、好きにしな」

「・・・(こくり)」


 団員達も、ルリの事は知っているというより有名過ぎるレドのお目付け役なので、特に言わなかった。ただティアのボディーガードのユキカゼは絶大な人気を誇っていた。


「予算が足りない、うむぅう」

「辛いのう副官は」

「そうだバカ二乗の装備を削ろう」

「そうするとバフ効果が減るのぅ。必然的に支援が途切れやすくなり、自然の流れて苦戦する様になる、こうなると苦しい戦いを団員たちは強いられる」

「むぐぅぅ」

「生徒会に頼るかえ?」

「う、うむ。しかし、いやだが、しかし」


 相当な葛藤があるらしく、サクヤはこれ以上は言わなかった。

 そんな所に生徒会より連絡が入り、暇なサクヤが対応した。


「朝早くからすまない」


 生徒会長のギルドマスターだ。


「忙しい事なのだが、そちらの事を知りたい、報告書を至急送信してくれ」

「分かったぞえ。レドに送らせよう」

「すまん。兎に角に時間が無さすぎる」

「朝だからのぅ」


 通信が終わるとサクヤがレドに伝える、レドは直ぐに報告書用のデータを送信した。


「よし合戦訓練の時間だな」

「待て、もう少し予算との」

「今回の戦いで予算も増える」

「そうすると計算が」

「金庫と計算」

「・・・金庫だ」


 心得た団長の為に直ぐに説得し、準備を整える為にウルカが走る。

 各指揮官達による報告ですぐに準備が整う。

 コンサート練習中の四人も動きを止めてから準備していた。


「本日もお日柄がよく」


 レドの言葉にルリが蹴り、制裁スキルの為にダメージより痛みに比重が置かれるために痛いのだ。


「あ、挨拶だルリ」

「嘘だな」


 中々誤魔かせないのが困るレドだった。

 ウルカ、アリサ、ヒリュウは喜んでいた、やっとの事でルリが戻ってきたと。

 これでリーダーに悩まされる事がなくなる、素晴らしいと。

 ルリの同僚のユキカゼはあまり攻撃は、と控えめに言うが、ルリは特に何も言わない。


「じゃ、本日の合戦訓練だ。怪我しないように行こう」

「「はーい」」

『トレーニングプログラム起動、タイプ合戦、地形草原、対戦相手はゴブリン・コボルト同盟軍、指揮官タイプは召喚士、全体指揮はゴブリンシャーマン、訓練を開始しますか』

「YES」

『トレーニングを開始します』


 現れた草原、直ぐにウルカの指示が飛び、陣形を整える。

 ウルカが報告を受け直ぐにレドに伝えた。


「準備は完了」

「悪くない数字だ。何より直ぐに動いた良い傾向だ」

「偵察行為は終わっている。どうする?」

「砦周辺まで偵察する、慌てるなと言えよ。被害だけは減らせ」

「了解した。ジョーカー、アケチ、言う事は有るか」

「ない」

「同じく」


 ウルカが伝え、前衛の長柄部隊、盾部隊の二つが前進を開始し、次鋒の刀剣部隊、鈍器部隊も動き、遊撃担当の機構兵部隊、格闘部隊、偵察部隊、遊撃の後衛担当の直射部隊、曲射部隊も動き、後衛達も動く。


 暫く歩き、警戒任務中の機甲兵指揮官より報告が入る。


「草原に大木?」

「ああ」

「偵察部隊に調べさせろ、ただ機甲兵は近付くな、どう考えても臭う」

「分かった」


 直ぐに停止し、偵察部隊が調べる、主に棒などで調べへこむ等があれば近付かない。

 調べ終えた指揮官代行より報告を受けたウルカが、直ぐに指示を出し詳しく範囲を調査させ、レドにも中間報告を行う。


「罠だ。範囲はまだ不明だ」

「・・・このやり方、後方にはあったか」

「報告書には記載はなかった」

「何故ない、同じ指揮官だろ、気に食わんな」

「参謀の意見を聞こう」

「ああ。二人とも」


 ジョーカーが直ぐに地面に地図を描く、後方にある砦、前方にある砦、大木のある地点、これらの予想から一つの事を伝えた。


「指揮官傾向が違う、コボルトは背後を好み、奇襲などを好む、ゴブリンは真正面を好み、罠も好む」

「好い訓練にはなるが、下手したら、機甲兵を引っ張りださなくてはならなくなる。罠に落ちた機構兵をロープをつけて綱引き大会だ。恐らく前衛はこれにかかる、しかも俺達の戦力は低い、つまり非常に効果的な罠と言う事になる」

「地雷などよりよほど効果的だ。下手な兵器も要らないが、非常に賢い選択だ」

「近付くわけにはいかせない理由があるのだな、特に機甲兵などの兵器を、なるほどそれでこんな変な所に置いての進軍妨害を行うか、なるほど」

「ポーション説明しろ」

「機甲兵の恐ろしさ、それで大抵の物をあっさりと壊せる力だ。ゴブリン砦は恐らく脆い、攻めらると直ぐに陥落するような脆さを抱えている様だ」

「だから罠を使い、足止めか」

「罠を破壊して進むぞ」

「罠の近くに罠を張るのは確率的に低い、効率的ではないからだ」

「警戒もおこなせた方がいい。罠には警報をつける知能はある恐らく」


 ウルカが伝え、偵察部隊の者は渋る、何せ自分達が罠に引っかかるのが最優先のような話だ。

 これには副官のウルカも言い分には理解を示し、困ってからサクヤに話した。


「そうじゃの、土でも盛ろうかの、ノーム共がおったの」

「うむ」

「のうレド」

「・・・仕方ないか、召喚士たちに従者を召喚させて罠を壊せしてくれ」

「了解だ」


 精霊型が主力ではあるが、中にはスケルトンに好まれる奴も居たために、土木作業をさせていた。そんなスケルトンに好まれる奴は、死霊使いと呼ばれるタイプの召喚士だ。

 こんな作業中のユキカゼが罠に近付き、獣使い達が止めるが、ちゃんと説明し、水で満たしてから氷息吹のアイスブレスで氷漬けにし、その上に土で固めた。


 この為にユキカゼのような、リトルフェンリルの子犬が欲しい、と思う獣使い達は多い。


「阿保」


 ルリが不機嫌そうにレドに言う


「飛べるぞ」

「あ~なるほど、頼めるかルリ」

「・・・(こくり)」


 ルリが羽ばたいて飛ぶ、上空を舞い、周辺を偵察、その後に前方にも進み偵察を行う、これらが終わってから戻ってきてレドに伝えた。


「ゴブリン共が向かってくる、数は不明、こちらよりは多そうだ」

「よし陣形を整える、前衛達は罠を盾にしろ、それだけでも十分有利だが、贅沢な物もある精霊型従者達に上空から攻撃させよ」

「了解だ」

「他の従者達は休ませろ。被害を受けたら直ぐに癒し、倒される事だけは回避せよ」

「了解だ」

「直射達は相手の狙撃を行わせろ、曲射は状況による遊撃として動く事になる」

「了解だ」

「よし、指揮者はコンサートを開け」

「分かった騎士」


 陣形を整えてから、直ぐに始まる迎撃に、ゴブリンとコボルトの軍と激しくぶつかる。

 遊撃担当の機甲兵達は、直射部隊の足場となって、狙撃への支援を行い、偵察部隊、格闘部隊は左右に展開し、次鋒の打ち漏らした敵への妨害を行う。

 遊撃の実質的な指揮官のバッシュは、報告を受け直ぐに副官のウルカに報告した。


「不味い、相手軍に増援が来る、規模不明、武装は不明、恐らく弓を使う部隊も混じる」

「分かった。レド」


 報告を受けたレドは厳しい顔で頷き、ルリに頭を下げた。ルリは珍しく機嫌よくで受け入れ、飛び上がってから増援への偵察と火吐息による攻撃も行う。

 相手軍の増援はルリの妨害に無視しては進まず、ルリ一匹に足止めされた。


「さすがはルリ、彼奴は出来た鳥だ」

「主にレドの頼みしか聞かぬがの」

「私の頼みも聞くぞ」

「見所があると判断したのじゃろ」

「そうか、うむ。後で服でも作ろう」


 前衛達から報告が入る。


「前衛指揮官のヒリュウより通達、敵側指揮官を打ち取ったとの事だ」

「了解した」

「ルリの攻撃中の敵に襲い掛かるぞ、ただし罠の確認はしておけ、後機甲兵には後方への警戒を集中させろ」

「了解した」


 前進し、ルリ攻撃中の敵側の増援に襲い掛かり、前衛の攻撃により敵側増援は崩される。

 精霊型従者達の攻撃にもあり、敵側の中間指揮官なども倒されていく。

 朱雀のルリの火吐息は強烈で、このファイアーブレスにより敵側や焼かれ尽くされ、特に指揮官たちは集中的に焼かれていた。

 この結果、ルリは特に間接攻撃を行う者達から凄まじい人気を獲得し、特に弓使いやガンナーなどからは、組まないと言われるほどだが、直ぐに蹴って追い払う。


「ルリご苦労、まずは世界級の薬から飲め」

「良いのか?」

「ああお前には救われたな、こんな物で良ければ幾らでもやるよ」

「やはり見所がある、ダメな所も多いが」


 世界級の薬を飲ませ、ルリは珍しく美味しい薬を飲み、しかも香りまで良いという二つの特典付きだ。つい癖になりそうな自分を抑えた。


「警戒中より定期連絡、後方より敵影は確認されず、なお左右よりの攻撃もなし異常は確認されず、以上だ」

「回復、休憩、なおMPに関しては集中的に癒すために後方に下げよ」

「了解した」

「盾の方は」

「まだだそうだ」

「そうか。難しいのだな」

「難しい、防御系の中ではもっも困難なものが盾アーツだ。回避系はまだ容易いそうだ」

「そうか、アシルには苦労を掛ける」


 ウルカが指示し、ルリとしても色々と不出来な奴ではあるが、こう言う見所のある奴でもある。


「偵察より報告、敵砦を確認、ゴブリン軍を確認、砦前に布陣を確認、他の兵器は確認されず、長距離攻撃は確認されず、障害物は確認されず、簡単な土での土嚢がある程度だそうだ」

「そうか。近付いての反応を見よう、今回は遊撃に貧乏くじを押し付ける事になるな」

「仕方あるまい」

「後衛からの回復と妨害を後ろに、精霊型従者を上空に着けてやってくれ」

「了解した」

「偵察には防御を掛けた後に、動かせてくれ」

「了解した。やはりお前は見所がある」

「そうか?」

「ああ」


 準備を整えてから動く、遊撃が慎重に近付き、近くへの罠等の確認の他、進軍のルート確認、他の相手側の情報収集を行う、味方からの攻撃はせずに、従者達も攻撃はしないで、両軍とも睨み合う。


「どうだバッシュ」

「レド?」

「何暇だからな」

「良くない報告も多い」

「控えめに言うな」

「落とし穴が多数報告されている」

「やはり一筋縄ではいかないな」

「その他のトラップとしても色々と見付かった、特に草を弄って作った奴などは見つけにくく、また効果的だ」

「分かった、これ以上の偵察はもうよい、退却するぞ」

「了解した」


『トレーニング中断、VIPは無し、ラストアタックは無し、全体指揮官はレド、お疲れ様でした』

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