あおいとりをさがして
先ほど引っこ抜いた伝説の聖剣を担ぎ、大通りをフラフラと歩きながら女戦士は、馴染みの宿へと帰っていった。
宿に戻り、まだ残っていた朝食のサンドイッチとゴロゴロと肉団子が入ったスープを平らげ、女主人に話しかける。
「こんな時間にすまないがお湯をもらえないか?」
「あらあら、うふふ、今日は朝帰りですものね。お疲れでしょうに、すぐに用意してくるわね」
女主人は食器を片付けながら、笑顔でそう言ってくる。
「ああ、流石に一日寝ないと疲れる。今すぐにでも寝たいくらいだ」
「うふふ、お盛んですこと」
女主人が用意してくれた桶を受け取り、女戦士は2階へと上がり部屋へと戻っていった。
部屋に戻ってきた女戦士は、すぐさまマントとビキニアーマーを脱ぎ捨て布を桶の中のお湯につけ絞る。
少し暖かい布を絞り、体を丹念に拭いていく。
一日中、外にいて埃まみれになり輝きを少し失った赤い髪を丁寧に拭いていく、一度桶のお湯に布をつけ直しまた絞る。そしてどこからそんな力が出てくるのかと人が見たら思うであろう、きめ細かく白い肌をした腕を拭いていく、両方の腕から肩を拭き終わり、胸へと布を持っていく。色素が薄いといえばいいのだろうか、形が良く人並みよりも少し大きい胸を丹念に拭いていく女戦士。徐々に拭く箇所は上半身から下半身へと近づいていく。そして……
「おやすみなさい」
……朝、ベッドの上で大きく伸びをする。
ベッドから抜け出し、昨日の疲れが取れたことを確認する。
お金も底をついているし、手に入れた聖剣の試し切りもしたいな、ギルドに行き良さそうなクエストを探すか。
そう思い女戦士は、身支度を整えていった……
城下町は昨日までの喧騒は消え、日常を取り戻している。
祭りが終わったのだろう。
そう思いながら、ギルドへ向かっていった。
女戦士が昨日、人形を握りつぶした木の下を通りかかった時、辺りをキョロキョロと見回している昨日の女の子を見つける。
「昨日ぶりだな、どうした? そんなにキョロキョロとして探し物か」
少女は女戦士の方を向き、嬉しそうな笑顔を浮かべながら話しかけてくる。
「あっおねえちゃん。昨日はマッスルロマンスちゃんを買ってくれてありがとう!!」
多分、買った人形のことだろうと思い話を合わせた。
「…………ああ、気に入ってもらえて何よりだ。それよりも探し物か? キョロキョロしていたようだが?」
「うん……飼っている鳥さんが見つからないの。おねえちゃん、青い鳥を見なかった?」
「見かけていないな」
女戦士が呟くと、女の子は泣きそうな顔になる。
それに気づいた女戦士は慌てて話かける。
「そうだ!! 一緒にギルドに行くか? ギルドならば鳥さんの目撃情報もなにかあるかもしれない。私も向かうところだったのだ」
そう聞いて、女の子の顔に笑顔が戻る。
「うん!!」
女の子と手を繋ぎ、ギルドへと歩いていった――。
ギルドに到着し、二人は受付に尋ねる。
「すまない、少し尋ねたいのだが?」
「はい、どういたしました?」
受付嬢に笑顔を向けられながら、女戦士は話し出した。
「昨日からこの子の飼っている鳥が行方不明らしいのだ……青い鳥なのだが、何か目撃情報はないだろうか?」
「青い鳥ですが……珍しい色の鳥ですし。なにか目撃情報があるかもしれません、調べてみましょう。少し時間がかかりますのでお待ちください。」
女戦士は受付嬢にそう言われ、時間を潰す為、隣接する酒場へと移動していく。
席に座り、お茶と少女用に果実水を頼み一息つく。
注文を終えた後で、女戦士は気づく。
(あっ!! しまった……私はお金がなくてクエストを探しにギルドに向かっていたのだ。飲み物代すら持っていない)
宿は数日分前払いしてあるから問題はなかったのだが……
今更注文を取りやめることもできないし、女の子に出してもらうのも大人としては恥ずかしいだろう。
そう思い、女戦士が腕を組み悩んでいると大声が聞こえてくる。
「おう、綺麗な姉ちゃん!! こっちに来て酌でも注いでくれやっ」
「うるさいっ!! 私は今考え事をしているのだ。邪魔をするな」
女戦士がそう答えると声の主は怒ったような怒声を上げながら近づいてくる。
そこで初めて考えを止め、近づいてくる輩を女戦士は視界に入れた。
(ああ、なんだ酩酊オークか……)
酩酊オーク。他の人を襲うオークとは違い、主に街中を活動拠点としており、ある程度だが人の言葉を話すことができる。平常時はおとなしいことが多く酔った時のみ気が強くなり人に迷惑をかける。主に迷惑をかける者には若い女性や綺麗な女性が多く。女性からは侮蔑の目を向けられる。
酩酊オークは、退治しても罪には問われない。むしろ女性の場合は自己防衛の為に見かけたら即、攻撃していいことになっている。
(そうだ!! このオークにここの支払いを任せよう)
そう思い女戦士は立ち上がり、オークを殴りつけて昏倒させた。
「マスター支払いはこの倒れているオークが払う」
「あいよ」
マスターの言葉を聞き、安堵しながらまったりと少女とお茶を楽しんだ……
「すみません、目撃情報を調べては見たのですが青い鳥を街中で見かけた人はいませんでした」
その言葉を聞き、女戦士と少女は落胆した。
その様子を見て少し慌てた様子で受付嬢は話し出す。
「町中には目撃情報はありませんでしたが、外は別です。門番ならば何か知っているかもしれません」
「そうだな……鳥だし行動範囲は広いだろう。町の外にいかれてしまっては探すのが厄介だが門番の所に行ってみよう」
「うん!!」
女戦士は少女を連れて門番の所へと向かっていった。




