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ちょうしょく

 朝、城の客室で勇は目を覚ます。まだうつらうつらとした頭で昨日のことを思い出していった――。


 謁見の間で自己紹介を失敗した勇は、その後、城の内部を案内してもらった。まだ勇にはここが異世界なのかRPGなのかは分からないが、日本から遠く離れていることは分かった。

 召喚される前にいた日本の季節は冬で寒かったが、ここに召喚されてからは暑くなりマフラーを脱いだ。

 今の四季を確認しようと勇は尋ねてみたが、そもそも四季という言葉自体が存在していなかった。

 この国は日本で言う春に近い気温を年中保っている様だ。


 城の案内が終わり、そのまま食堂で夕食となった。

 豪華な夕食がテーブルに並べられる。この食事だけでも、どれだけ異世界から召喚された自分が、この国から期待されているかが伺えた。

 豪華な食事に目移りしながらも、比較的食べなれたシンプルなステーキを切り分け口に入れた時、勇はその美味しさに目を丸くした。

 口に入れた瞬間に脂が雪の様に溶け、噛む必要もないくらい柔らかい。味は牛とも豚とも似ていた。

「このステーキ、凄く美味しいですね!! 何の肉なんですか?」

「オークの肉です」

 この世界では魔物の肉も食べられるみたいだ。でもオークって豚の顔をした人型の魔物じゃなかったかな。

 少し気持ち悪いな……

 そう思いながらも、勇は夕食に舌鼓を打っていった――。


 昨日の夕食を思い返しながら、身支度を整えていると部屋のドアがノックされる。

「勇者様、もうお目覚めでしょうか? お目覚めでしたら王女様と朝食をご一緒にいかがでしょう?」

「はーい、今行きます!!」

 ドア越しにメイドへと声をかけ、準備を整え食堂へと向かっていった。


 勇が食堂へと入ると、すでに席に座り王女が食事を取っていた。

「勇様、おはようございます。食事を取りながら本日向かう神殿と聖剣についてご説明させて頂きたいのですが……」

「おはようございます、知らないことばかりなのでよろしくお願いします」

 朝の挨拶を交わし、王女の向かいの席へと勇は座る。長い食卓の一番奥の上座で王冠を被ったおっさんが黙々とパンを千切っている。

 食卓に並べられた料理は、昨日の豪華な夕食とは違いパン、ベーコンエッグ、コンソメスープ、サラダといった軽めの食事が用意されている。

 朝から、昨日みたいな豪華な食事だと重たいし、これくらいがちょうどいいな。と勇は思いつつパンに手を伸ばす。

「今日は、朝ごはんを食べたら神殿に向かうのですか? 昨日の話だと神殿にある伝説の聖剣を抜いてほしいってことでしたね」

「はい、我が国に古くから伝わる伝説の聖剣は台座に突き刺さった状態で神殿に祭られています。……もう少し正確に言いますと、誰も聖剣を台座から動かすことができないので、聖剣を管理する為に後から神殿を作ったのですが……」

「台座から動かすことができないってどういうことですか?」

「国としても聖剣を城内で管理できた方が安全なので、過去、何度か移送しようとしたのですが……聖剣が突き刺さった台座は長い年月で地面と一体化してしまっていて動かすことができなかったのです」

(いやいや、聖剣を大勢で引っ張って抜くとか、周りの地面ごとくり貫いて持ってくるとかあるじゃん)

「過去には、聖剣に縄をつけて100人で引っ張ってみたこともあるのですが少しでも動くことはありませんでした。周囲の地面も運べるくらいの距離だと異常に固くなっており掘ることすら叶わなかったそうです。」

 勇の考えを読んだかのように、先に王女は答えた。

「……伝承によると、人々が魔王の脅威に曝されたとき、異世界から召喚された勇者だけが、台座から聖剣を引き抜くことができるようです」

「異世界の人以外は使えないってことなんですね……それで僕が呼ばれた訳ですね。でも普通の人に抜けないなら盗賊に盗まれたりしないし、ある意味安全ですね。」

 王女は花が咲いたように笑いながら答える。

「ふふっ、そうですね。盗人の方たちにとっては抜けないのですから、神殿でも城内でも変わりないのかもしれません」


 その後、勇はこの国のことを聞きながら王女と和やかに朝食を食べた。チラチラとこちらを見ながら、たまに口を開こうとする王冠を被ったおっさんが印象的だった。

 朝食にふさわしい軽めの食事だと思っていた勇だが、ベーコンを口に入れた瞬間に驚いた顔をした。

 そのベーコンは口に入れた瞬間に脂が雪の様に溶け、噛む必要もないくらい柔らかい。夕食にメインで食べてもいいくらい素晴らしい。味は牛とも豚とも似ていた。

 勇はまた食べたいと思い、メイドに何の肉を使っているのか聞いてみた。

「このベーコンすごくおいしいですね!! 何の肉を使っているんですか?」

「オークの肉です」

 ムカついたから、王様にマフラーをぐるぐる巻いた。

 ついでに解けないように固結びしてやった。


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