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しょうかん

 学校指定のブレザーを着てマフラーを首に巻いた黒髪の少年が、十字路で白い息を吐きながら信号を待っている。

(最近寒くなってきたなぁ……母さんは今日も遅くなりそうだし、コンビニ寄っていこうかな)

 どちらかと言うと少食の少年だが、彼の家は両親ともに働いており夕食が遅くなりがちだった。学校が終わり家へと帰る予定であったが、小腹を満たす為に寄り道をすることにした。

 目的地を少年の目が捉える。

(肉まんあるといいなぁ……)

「わぁっ!!」

 唐突に、少年の足元の地面が消える。

 少年は咄嗟のことに何も出来ず真っ黒な穴に落ちていった……。




 魔方陣が光り輝き、レンガできた飾り気のない室内を白く染めていく。

 光が収まった時、魔方陣の上には尻もちを着いた一人の少年がいた。

「いたたっ…………くはないな?」

 穴に落ちていたはずだが痛みは少年の考えに反してなかった。

 尻もちを着いたまま、周りを見渡すと全身鎧を着た数人の男性が少年を取り囲むように槍を構え立っている。

「いたたくはないと思ったけど、やっぱりいたたた!」

 訳が分からないが周りの金属鎧は明らかにピリピリとした空気で槍を構えてる。虫の息の少年を槍で突っつかないだろうと思い、無理やり痛がる振りを少年はした。

「我々の呼び出しに応じて頂きありがとうございます。……勇者様」

 金属鎧で見えなかったがどうやら少女がいたらしい。そしてアドリブは効かないタイプみたいなので痛がる振りを止めて、金属鎧をかき分けて近くに寄ってきた少女を観察した。

 少しくすんでいるが癖がないストレートの金髪の髪。あと数年成長すれば美人になる素質を持った幼さの残る整った顔立ち。

 あとドレス着てた。古臭いボロボロの本持ってた。

 じっと見ていると少女は顔を赤らめた。

「呼び出し? 勇者様? なにを言っているの?」

 少女の台本なら、僕はこう返すだろうと思い返事を返すことにした。

「……自己紹介が遅れましたが、私はこの国の王女です。魔王に侵略されている我が国を救ってもらうべく異世界からあなた様を召喚させていただきました。来て早々で何なのですが、謁見の間で王がお待ちです。詳しいことは向かいながらお話いたしますので」

 少年はあまりにチープなテンプレ回答に心の底から驚き固まってしまったが、周りの金属鎧たちに押し出されるように王女と一緒に謁見の間へと向かわされた。

  


 この世界では人と魔物は境界線を保ち生活している。しかし稀に人の世界へと境界線を飛び越え侵略をしてくる魔物の集団がある。その魔物の集団のことを魔王軍と呼び、統率している魔物のことを魔王と呼ぶ。

 この国には異世界の人間にしか抜けない伝説の聖剣があり、伝説の聖剣を使い魔王を倒す為に少年はこの世界へと召喚された。

 ……などという古臭すぎて逆に真新しい話を、途中聞かされて石化を自己回復できた。

「元の世界に帰ることはできないのですか?」

謁見の間へと着き、道すがら王女に説明を聞いた少年は質問をする。王女の隣には意匠を凝らした豪華そうな椅子に王冠を被った中年の男性が座っている。

「召喚の儀が記された書物は、我が国にあるのですが……返還の儀が記された書物は過去に魔王に侵略されたときに盗まれてしまいまして……申し訳ございません」

 王女の話を聞いて少年は

 むしろ、魔王が先に盗むのは召喚の方なんじゃねーの。と思ったが追求しても答えのでない問題なのでスルーして合わせることにした。

「じゃあ魔王を倒せば、元の世界に帰ることができるのですね……分かりました。僕が魔王を倒します!!」

「ありがとうございます。勇者様! あっお名前も聞かず申し訳ありません」

 恥ずかしさからなのか、顔を赤くしながら王女は感謝を伝える。

「謁見の間に来た意味なくね? 王様一度も喋ってないじゃん」

(僕の名前は、立石勇。これからよろしくお願いします)

「えっ? 何とおっしゃいましたか? 勇者様?」

「失礼、僕の名前は立石勇。これからよろしくお願いします」

 勇は表と裏を間違えた。



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