少年と少年と少年の物語
今回急遽BL作品を書くことになりました
BL作品を書くのは初めてなので温かい目で見てくれると幸いです
街行くランナーたちは何をおもっただろうか
犬の散歩をしているそこの涙ほくろが印象的な大学生風な
お姉さんは何をおもっただろう
少年のその苦悩に満ちた
そして哀しみに溢れた叫びを聞いて
これは少年と少年と少年の物語である
時は遡ること三日前
シックないでたちの木造の建築
少し開きにくいドアを開けると
カランカランという乾いた鐘の根
それと共に少し苦味を感じるコーヒーの香りと
心安らぐボサノバの音楽
が少年ラオスはそんなことを感じていられる
余裕はなかった
今日は日曜日、朝愛用のアンドロイドが一つ通知を届けた
びっきぃ
ラオス、今日暇だったら一時に
family cafe にきてくれない?
相談したいことがあるんだ。
少年はパステルカラーで良質な睡眠を促すと言われている
ベットから飛び降りるとすぐさまに返信をした
それもそのはず同級生にしながら同姓であり
そしてひそかに恋心を抱いている相手から
相談とは名ばかりのデートに誘われたのだから
「遅れてごめんなー!お待たせラオス」
「あっ全然まってないよ」
そう急にしおらしくなる
実は楽しみにしすぎて一時間前から来ていたのだ
family cafeの店員たちの間では
一時間もの間コーヒーだけで
下をむいてニヒニヒとわらっている少年を
どうしようかとヒソヒソと話されていた
「ねぇりむさんあの人ちょっとやばない?」
「いやぁねふわちゃん、人間いろいろあるからねぇ」
「えぇ、うるさんえぬさんどう思うん?」
「「人間いろいろあるからねぇ」」
店員たちの会話は密かに厨房で行われていた
「でさ、相談なんだけどさ、あのー言いにくいんだけどさぁ」
「なになに!?」
やや食い気味で返答する
「一番心許せるお前だから言うんだけど、、、、」
「うん、、、」
緊張のあまり心臓の音がびっきぃにまで聞こえてしまいそうだ
ゴクッつばを飲む音がやけに響いた気がした
「俺、まっつんのことがすきなんだ」
その言葉を聴いた瞬間なにがなんだかわからなくなった
とにかく平静を保つのが精一杯で
話の内容はあまり頭に入ってこなかった
家の重々しいドアを開け
足取りもおぼつかない様子で
自室へと向かい
深くベットに沈みこむ
「今日の晩御飯なにかな・・・・」
そう小さくつぶやいたのだった
時間とは残酷なもので朝がやってきた
今日は月曜日で学校もある
一瞬休もうかと考えたけどそうもいってられない
教室のドアを開けると
皆いつもどおりだった
「おはよーラオス」
そうまるで幼女かと思うその声
クラスではなぜか犬扱いされているその少女
犬といっても勿論の如く癒し系の方だ
「おはよー悠」
「元気ないねー」
「まぁーね」
昨日のことがあってか
どうしても返事がなおざりになってしまう
その日授業にはいまいに身が入らず
時は矢の如し
もう放課後だ。
「ラオスーーーー!」
聞こえていたのは優しい声と若干のハスキーを混ぜた
そんな声だった
間違うこともないっびっきぃの声だ
周りの女子たちは一斉にひそひそし始めた
それもそのはず甘いマスクに優男
校内では知らない人はいないってくらい
モテモテだ
だが女子の皆残念だったね
びっきぃはゲイだ
「おい、ラオス!」
「あぁごめんごめん」
こう一言二言かわしているだけで
女子からの憎悪の目線がすさまじい
特にこのクラスの委員長且つびっきぃファンクラブ会長様からの
煮えたぎるような視線が・・・
「あのねラオス、昨日は相談のってくれてありがとう!」
「おう”友達”だからな」
「それでさ、俺告白しようと思うんだ。気持ち悪がられるかもしれないけど、がんばるよ!」
「そっか!応援してる」
「でさ、そのー明日の放課後一緒についてきてほしいんだけど」
「うん、まかせろよ!」
「じゃあとりあえず明日の作戦を練りながら帰ろう!」
次の日は時間が経つのがやけにおそく感じてしまった
授業中もびっきぃがまっつんに告白する
そのことで頭がいっぱいだった
このまっつんという男は軽音部に所属しており
一年の文化祭で歌ったのがきっかけで校内で一気に有名になった
端正な顔立ちと爽やかな振る舞いそしてだれもが聞きほれるその歌声
もてないわけがない
しかし、告白は何度もされているものの彼女は一切つくらない
キーンコーンカーンコーン
学校の終わりを告げるその鐘と同時に
教室のドアが開いた
女子たちがざわつく
まだなにもしていないのに会長様は
こっちを鬼の形相で睨み付ける
「ラオス、い、いこう」
「う、うん」
あまりに気が早すぎるんじゃないかそう思ったが
口には出さないでおいた
待ち合わせ場所の体育館裏
ポツンと少年がたっている
他の生徒はまだだれもいない
「ラオス、ここで待っててくれ」
そういって覚悟を決めて進む少年
二人を見ていると
どうも胸が騒ぐ
会話は聞こえないが表情は見える
丁度今告白したのだろうか
まっつんの顔が驚きを物語っている
間髪いれずに抱き合う二人
おれは静かにその場を立ち去った
おかしいとおもったんだ
まっつんは何十人にも告白されている
学園のマドンナって呼ばれている子からも
悪い予感ってのは当たるものだな
校門をでると
押さえつけられなくなったその感情
とにかく走るしかなかった
ついたのは河川敷だった
街行くランナーや犬の散歩している大学生風のお姉さん
そんなの俺には関係なかった
「俺は案外NTR属性なのかもーーーーーーー!!!」
そういままさに結ばれようとしている二人を見て胸がざわついた
最初どうしようもない失恋の感情かと思った
だけど走っている内に気づいた。いや、気づいてしまったのだ。
この妙に高ぶるこの感情
全身の細胞からつたわるこの興奮
どうやら俺はNTR属性のようだ。
~fin~
最後までご覧頂きありがとうございます。