第一話
降り止まない雨の中、傘をささずに歩く一人の少女。
すれ違う人達の視線など気にすることなく少女は歩みを進める。
いや、焦点の定まっていない目でフラフラと進む彼女の視界には、自分を見ている者たちなど映ってすらいないことだろう。
ふと、少女が足を止めた。視線の先には交通量の多い道路。
ぼんやりと行き交う車を見ていた彼女が足を進めようとした所で小さな声が耳に届いた。
吸い寄せられるように向けた視線の先には、横断歩道の真ん中で転んでしまったであろう少年の姿。通り過ぎて行く大人たちは、可哀想にという視線を向けながらも助けようとはしない。
涙を溜め、今にも泣き出しそうな少年に、少女は自然と足を向けていた。
少女が横断歩道に差し掛かった所で、大きなクラクションが鼓膜を震わす。
まさかと思って向いた先には、突っ込んで来る一台のトラック。
少女は考えるよりも早く、少年に向かって駆け出していた。トラックを見て、驚きと恐怖で動けない少年を抱き上げ、自分より小さな身体を守るように強く抱きしめる。
「あ・・・」
「大丈夫、絶対に守ってみせるから」
不安で瞳を揺らす少年に、微笑んでみせ、少年の頭を抱え込んだ。
次の瞬間、少女の身体に衝撃が走った。