プロローグ『蕾』
『ルピナス』
第1章
平穏な高校生活を1年以上送り続けていた。
高校入学を機に1人で上京したので最初は大変だった。けれど、友人に家事などを教えてもらって、今では身の回りのことを難なくこなせるようになった。
特待生として入学したことに恥じない成績も取れている。部活には入っていないけれど、趣味もそれなりに楽しむことができているから、満足のいく高校生活を過ごすことができていると思う。
けれど、高校2年生になってすぐ。とある後輩の女の子と一緒に住み始めたことでがらりと変わった。
四六時中、彼女が俺の側にいるようになったのだ。
一緒に住んでいるのだからそれは当たり前だと思うかもしれない。ただ、彼女の場合はそれでは収まらなくなっていた。
俺が離れれば、彼女は離れた分以上に近づいてくる。執拗に体を密着させてくることもあって。そうするのは、彼女が俺のことを好いているからだろうか。
ただ、俺にとっては後輩の女の子でしかない。俺が彼女との距離を一定に保とうとし続けた結果――。
彼女はいつしか、俺を束縛したがるようになった。




