表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/21

8 親友

ここより視点・十朱になります。

(な……つぐ)





(……七嗣)



懐かしい顔。



やっぱりお前は……








ここは某進学校、そこには

一学年にそれぞれ一組だけ特殊な組があり、

全ての学費が免除。

制服も他の生徒とは区別されていた。


その他、別のクラスからは嫉妬とも

羨望ともとれる破格の特別待遇が用意されている

成績重視の超特進組、


“AA”というクラスが存在した。


その特別なクラスの中において

級長は立候補とかでは無く

成績トップ者が自動的に選ばれる。


他の学年の級長は一か月毎の編成試験で

結構変わってる様だが、

俺達の学年に限って、この三年間

一度たりとも変わった事がなかった。


なぜなら我が級長は全国模試でも常に一位という

驚異の頭脳持ち主だったからだ。



しかもその級長を女子曰く、

栗色の髪で背は高いわ、カッコいいわ

運動も出来て、頭も抜群で

家柄も申し分ない、全てにおいて完璧。


……との事らしい。



当時、まだ男女共学だったこともあり

女子からの人気は絶大で、

本人が意図してなくても

級長と校舎ですれ違う度、

いつも女子が騒ぐ姿を真横で見ていたから

俺はそういう感覚は麻痺していた。


そこまで完璧だと結構中身、最悪のパターン

とかのオチなんだが。


ソイツは鼻にかけるどころか、目立つ事自体

好まず、かとって人付き合いも

ソツなくこなすから男でも表立って

悪くいう奴も聞いたことが無かった。



学校も開校以来の至高の生徒と称する




それが、七嗣―――俺の幼馴染だった。













「七嗣、昨日も彼女と一緒だったのか?」


「ああ」


「仲良いよな~お前ら」



とある昼下がり、教室移動の為、

廊下を歩くその隣の親友に殊更

周りに聞こえるように話しかけた。



俄然、周囲がざわつく。


(うそっ、彼女いたの?ショック~)


(マジかよ、七嗣のカノジョ見てみてぇ)


等々。



校内一のアイドル的有名人で

今まで浮いた噂一つ無かったんだから

当然そうなるわな。


…………まぁ、こっちも意図して

言ってるわけだが。



この分だと明日中には全校生徒が知るところと

なるだろう。




そんな一見めでたい話と裏腹に

俺達の表情といったら……



「あんなんで良かったか?」


「ありがとう、十朱」


思わず溜息が出た。


「有難うじゃないだろう。

ったく、らしくないな。どうしたんだお前?」


誰かからか告られたんだろうけど

断るにしても……


「悪い」


あくまでも、理由は言いたくないって事かよ。


女子が色々言うのは今更なのに、

今回に限って何で

わざわざそんな回りくどいやり方を

取るのか正直、理解不能だった。


「こんな事頼むのはコレっきりだ」


そんなに面と向かって

断りにくい相手だったとかなのか。


「ああ。そう願いたいね」


この七嗣をそうさせる相手なんて

この学校にいたか?





案の定、次の日は学校はその話が

蔓延していた。


同じクラスのヤツは


「随分余裕なんだな」


とほざいていたが、所詮お前らとは

頭の出来が違うんだから。

噂が本当だったとしても

成績でも勝てないよ、と珍しく

同情心が湧いた。



そして卒業式を迎える頃になっても

七嗣本人からは真相を聞くことは出来なかった。






卒業式の日


式典も終わり、七嗣は予想通り

女のみならず後輩の男からも

囲まれていて、凄まじい状況だった。


何とかその混乱に乗じて

七嗣を屋上まで引っ張ってきた。


「お前、何普通に正面玄関から

出ようとしてるんだよ。

ああなるに決まってるだろう」


「まさかあそこまで酷いとは

思わなかったんだよ」


「思えよ」


髪も制服も揉みくちゃにされた所為で

ひどい有様だった。


「此処で人が引けるまで退避してようぜ」


「だな。そう言ってるお前も

捕まっていたんだろ、ボタン千切れてる

じゃないか」


「ああ。お前ほどじゃないけど

なぁ、女って何であんなに凶暴になれるんだろう?

殺されるかと思ったぜ」


そう愚痴ると苦笑いした七嗣。




身なりを直してる七嗣を横目で見る。


小学生の時からずっと一緒だったせいか

この顔にも見慣れて過ぎて

美的感覚、かなり人より高めかもしれない。


親友という立場上、

頭のいいコイツに引けを取らないよう

それなりに努力というのもしてきた。


全然敵わないっていうのは癪だが

どこかで七嗣に勝とうという意識が

無かった気がする。


友人として、親友として恥じないようにと

それだけを念頭に此処まで来た。


ただただ、誰よりもその近い位置に。


その立場を誰かに取られたくはなかったんだ。





下での喧騒を余所に

風に吹かれる心地よい空間に暫し身を任せてると、




ガタン。



屋上の扉が開き

俺らはつられて後ろを振り向いた。



七嗣の驚く顔とその向けられた先の

姿を確認して……




俺は小さく溜息を落とした。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ