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7 身代わり



『俺の事好き?』


「俺が何度も聞いても

先生は答えてはくれなかったよね?


俺は先生が照れて、答えてくれないんだとそう思ってた。


それとも教師としてのプライドで言わないのかもって

先生らしくってそれもアリだな、なんて……勝手にさ」


殊更ゆっくり話すのは言葉を選んでいる所為。




「でも……違ったんだね」



「一之瀬」



「言えなかったんだろ

嘘、苦手そうだもんな、アンタ。

俺もバカだから気が付かなかったし」


全く自分のマヌケさに自嘲気味な笑いが漏れる。



「……。」


驚いた顔をしたが先生は何も

言葉を口にしなかった。



それは様々な疑問や矛盾が払拭された瞬間でもあり、

一番見たくない最悪の反応だった。


この孤高の人が俺なんかに近づいてきた訳、

俺にだけ甘いのは何故か

時折切なげに俺を見ていたその意味も。


「なぁ……そんなに似てんの?」


「…………。」


誰に?とは聞き返さない先生。





「最初っから俺の事なんか見てなかった。

俺を通して別の男を見てたんだろ」


何故、気が付かなかった?


あの時の名前が

男だったってコトに。


「親友なんだって?意外だよ先生にそんな人いるとか。

その七嗣って奴もAA出身なんだろ?

そいつに見立てるために俺に必死に

勉強教えてたって訳か」


“七嗣”


それは先生が時々無意識下で発する名前。

俺が意識的に黙殺してきた言葉。


昨日初めてソイツが先生の長年の想い人で、

未だ忘れられずにいるその男に

俺が瓜二つだということを知った。


敢えてその名を口にしても

先生はやはりただ黙って俺を見てるだけ。


「……否定……しないんだ?」


一分の望みさえも玉砕することを分かっていながら

言葉を連ねてしまわずにいられなかった。


ゆっくり先生の身体を壁に押し当て逃げ場を無くす。


いつもならこういう風に俺がじっと見ると決まって視線を

僅かに逸らすくせに今日に限って外そうとはしない。


これが昨日までならきっと俺はバカみたいに

舞い上がっていた事だろう。


だけど今は違う、それは酷く俺の癇に障った。


「誰を見てる?前の男か?」


先生の腕を強引に引き寄せて無理やり唇を塞いだ。


抵抗を見せる腕に俺の手が食い込む。


何故、抵抗なんかする?

俺じゃダメってことかよ?


「アンタは他の男の事考えてるのに

それでもアンタが好きな俺は相当バカだ。

許せないくらいハラ立つのに未練タラタラで」


あくまで無言を通す十朱を見つめる。


「くそっ……

こんなにアンタに夢中でおかしくなりそうなのに

今更、どうしろってんだよ!?」



「一之、瀬……」


「そんなに忘れられないくらいその男が

まだ好きなのか?」


あんなに冷静な先生が自分を見失うほど

幻影を追いかけて身代わりを求めるくらいに。


抑えきれない程の嫉妬心が身体を蹂躙する。


「ソイツとする時、どんな風だった?

ねぇ……俺とヤッてる時より感じた?」


手が先生のスーツのズボン前を意図的に掠める。

途端、ビクッとその身体がしなったのを見逃してはいない。


繋がったのは身体だけで心は無かったのか?


「……そんなんじゃない……アイツはそんな事しない」


その言葉で俺は反射的に動きを止めた。


「もしかして……成程ね。

できなかったことを俺を使ってオナってたって訳?

俺じゃなくソイツでイッてたって……」


「七嗣を汚すな!」


「俺は汚れてるからな」


「そういう意味じゃない」


「違わないだろ!!」



“七嗣”という男の名前をこんなにハッキリ

先生の口から聞くのは初めてで、

それは想像以上に俺を苛む結果となった。


俺以外の男の名前を呼んでるんじゃねーよ。


それは、嗜虐心を生じさせるのは充分で。


「俺で物足らないって事無いよな?

アンタいつも気持ちよさげだったし」


両腕を片手で抑制し、ジッパーを下げて

指を中に滑り込ませる。


「よせ……」


「散々ソイツの代わりさせてて感じてたんだろ?

今更いいじゃん」




拒む十朱の顔を見た途端スィッチが入った。


今ままで

常に抱く側にいながらも、イニシアチブは先生にあった。


先生が俺で反応する姿が堪らなく煽り、

普段とはまるで違う乱れた身体に満たされていたから

自分をセーブしてでも先生を優先してきた。


そう、昨日までは……


初めて自分の欲望にまかせ思うが儘に

手荒く抱き自分の快感だけを貪った。



それは先生が失神するまで陵辱しつくす結果となった。




どこまで大丈夫なのか不安。

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