『危機一髪』
今回は、お姫様メインです。
騎士が搭乗して操る機兵と思われる鉄巨人の影に、お姫様は姿を隠していた。
懐剣でドレスのスカートを切り裂いて身軽に動けるようにした姫は、反撃のチャンスを掴もうとドラゴンの様子を覗いている。
しかし、何か先ほどから鉄巨人の様子がおかしい。
見上げると、鉄巨人の両腕がダラリと下がる。
無防備になった鉄巨人の胴にドラゴンの尻尾攻撃が次々とあたる。
ボディーが凹み、小さな破片がこぼれ落ちる。
だが、鉄巨人はされるがままに攻撃を受けている。
『グルルル』
異変に気がついたドラゴンは、喉を鳴らし様子を探っりだした。
鉄巨人からの反応が無くなった事に、勝利を確信したドラゴンではあるが、それでも少し用心している様子。
鉄巨人が動かなくなって慌てたのはお姫様の方だった。
大声で叫んでいるが、鉄の巨人は動かない。
しかたなく鉄巨人を遮蔽物として影に隠れて呪文を唱詠し、鉄巨人の影から飛び出して攻撃魔法を放つが。
見当を付けて放った魔法は何もない空間を奔った。
慌てて周囲を見回してもドラゴンの姿が無い。
その時、彼女の上を影がおおう。
思わず上を見たお姫様が見たものは、空を飛ぶドラゴンであった。
ドラゴンは大きくジャンプをして鉄巨人の後ろに、大地を穿つように着地した。
咄嗟に前に出ようとするが、巨大な尻尾が進路を塞ぐ。
振り返ると、巨大な獣の顎が迫る。
「◎◇△〇!」
彼女は異界の言葉を叫び、両腕で頭を守るようにしゃがむ。
そんな事をしても助からないのは、彼女にも分かっている。
だが、それでも……