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異世界ロケット  作者: 阿波座泡介
1章 ジアース編
5/17

『マジック・ストライカー』

お姫様の手から放たれた光球は、一直線にドラゴンへと飛んでゆくのだが。

「うわぁ! なんて……おそい」

 洋平から見ても、それは攻撃というにはあまりに遅かった。

 光球は、それでも一直線にドラゴンへとむかって飛んで行き。

 ドラゴンは光球をヒョイとよけた。

「まあ、当然だよなぁ」

 ドラゴンを通り過ぎた光球は、そのまま直進して解体を待つビルの壁へと当り。

 

ドゴゴゴゴオォォォンン!


 ビルの一角を大きく抉るような爆発が起こる。

 爆風は、周囲の埃を巻きあげて突風となって洋平らを襲う。

「威力は十分みたいだけど……当たらないとなあ」

 洋平が爆発に気をとられていると、ドラゴンが接近してきた。

「うわぁ来たぁ」

 咄嗟に腕をクロスした動きをトレースしてクラッシャーアームも目の前でクロスして視界を隠す。

「しまった!」

 さっきのドラゴンの一撃で分かる事だが、ドラゴンブレス以外ならPMUの外装はドラゴンの攻撃に耐えられる。今の瞬間に恐れるべきは、視界を遮り、情報が制限される事。

(うかつには動けないぞ。横にはお姫様がいるんだからな)

 チラリと横を見ると、ドラゴンを避けるようにお姫様は後ろに下がった。

 アームに隠された視界からドラゴンの動きを読む。

(左から右に来る!)

 と予想して、PMUのキャタピラから上を右に動かすが。

「うわぁ!」

 ガンと、左から衝撃が来た。

 PMUのフレームが大きく軋む。

 ドラゴンが右に動く後から尻尾が動く。

(くそっ。ドラゴンの動きに気をとらえて、尻尾を失念していた)

 体長の半分を占めるドラゴンの長い尻尾が、すり抜けざまに巻きつくようにPMUを叩いた。

 さらに、ドラゴンは体を回転させて大きく尻尾を廻し。

 また、PMUの左を叩く。

 鞭のような尻尾の打撃が、繰り返し左アームを襲った。

『警告! 警告! 左腕過負荷です』

 AIが左アームの損傷を警告するが。

「この状況で、どうしろってんだよ」

 この隙に、お姫様が何処かに逃げてくれればよいのだが。そうもいかなかった。

 ドラゴンの回転する尻尾は、PMUだけでなく周辺の瓦礫も叩いていた。

 尻尾に叩かれた瓦礫は、雨霰と周囲に飛び散っている。

 唯一の安全地帯は、PMUの内部と後ろしかない。

(考えろ洋平。多少の知恵はあるようだが、相手はPMUの事を知らない)

 洋平は、ある攻撃方法を思いついたのだが。

(それには、あのお姫様が……)

 バックモニターを見た洋平は、PMUの後ろに隠れたお姫様が小型のナイフを取り出すのが見えた。

「何をするつもりだ?」

 お暇様は、自分のドレスにナイフをつきたてスカートを短く切り始めた。

「身軽に動くためか?」

 どうやらお姫様は、まだまだ戦うつもりらしい。

「それなら、こちらも……」

 

「設定。スクリプト起動」

『設定、了解しました。スクリプト起動します』


 洋平は一連の設定をスクリプトにした。

「スクリプト設定完了」

『スクリプト設定完了、了解しました』


「さて、いくか」

 洋平は両腕から力を抜いた。


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