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異世界ロケット  作者: 阿波座泡介
1章 ジアース編
4/17

『再起動』

ドラゴンの喉の奥に赤い炎が渦巻いている。

『オールシステムチェック、継続中。終了まで、あと20秒』

 ドラゴンが首を伸ばし、炎が口から伸びる。

「くそぉ。間に合わない!」

 洋平は、咄嗟に顔を腕で覆った。

 その腕に、チリチリと炎の熱が届く。

(だめだ。焼かれる。このままローストにされちまう)

 洋平は、次に訪れる衝撃に備えたが、何もおこらなかった。

 恐る恐る顔を上げると、炎がPMUの直前で遮られているではないか。

「なっ……なんだ?」

 よく見ると、ドラゴンの放つ炎とPMUの間に、光の魔方陣があった。

(これは、防護魔法?)

 見るとPMUの横に立つお姫様が両手を上げて一心に呪文を唱えている。

『オールシステムチェック、終了しました。オールシステム、グリーン。起動しますか』

 折りよく、AIが聞いてきた。

「イエス。PMU、起動」

『イエス、了解しました。起動します』

 PMUが、震えた。

 洋平が操作する制御ハンドルに手を伸ばそうとするが、制御ハンドルを握ろうとする手が固まり、開かない。

「クソッ、怖いよなぁ。……逃げたいよなぁ」

 洋平は呟いて、横を見た。

 そこには懸命な表情で呪文を唱詠するお姫様がいる。

 洋平は、固まった拳を開きハンドルを握る。

「そういうわけには、いかないよな」

 洋平がつま先をフットバーにかけて押し込むと、PMUの無限軌道キャタピラが唸りをあげて大地を噛み前進する。


『ウガァァ』


 ドラゴンが驚きの呻きをあげ、ブレスを止め一歩下がる。

「くらえ! クラッシャァーーアーームゥ!」

 洋平の動きに同調してPMUの右アームがドラゴンの顔面を殴る。

(かっこよく言ったけど、作業腕で殴っただけなんだよな)

 とは言え、コンクリートや鉄骨を破砕する作業腕の衝突である。いかに巨大な生物であるドラゴンであろうと、そのダメージは相当なものだ。


『ゴグワアアァ!』


 ドラゴンは叫びながら倒れた。

「やった!」

 だが、ドラゴンは倒れた反動を使い、巨体を器用に曲げて起き上がった。

 顔面のダメージを振り払うように、頭を振ったドラゴンは、今までとは違い低い姿勢で構える。

「くぅ~、さすがにタフだなあ」

 洋平は、ドラゴンに注意しながら、サブモニターに写される真後ろの映像をチラリと見た。そこには、お姫様が写っているはずなのだが。

「あれ? いない」

 横を見ると、お姫様がロングドレスの裾を持ち上げて走っている。

「うわっ。何してるんだよ」

 PMUより前に出てドラゴンが見える位置に出ると、お姫様は先ほどとは違う構えで呪文を唱えだす。すると、彼女の両手の間に光の玉ができる。

「ファ……ファイヤー・ボールなのかぁ?」

(お姫様が攻撃魔法かよ)

 と思う、洋平であった。


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