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異世界ロケット  作者: 阿波座泡介
1章 ジアース編
3/17

『ドラゴン・アタック』

 空中に描かれた光の魔方陣は洋平の乗るPMUの正面に出現した。

 それは、見えない壁に描かれたように垂直に立ち上がり、高さは3mほど。

 魔方陣のが周囲の枠だけを残して消えると、その向こうに深い緑色の風景が広がっていた。

「ええ? なんだ?」

 

 魔方陣の枠の向こうに、自分がいる工事現場とは別の風景がある。

 その事態を理解するよりも早く、動く者があった。

 魔方陣の向こうから、白いフワフワした服を着た女性が、こちらに向かって走って来る。

「お姫様?」

 洋平は、この女性をお姫様だと思った。

 なぜなら、女性の肌は白、髪は銀髪、眼は蒼。さらに、額にティアラを乗せ、レースをふんだんに使った白いロングドレスを着ていたからだ。

 洋平のイメージするお姫様とピッタリと一致する。

『オールシステムチェック、継続中。終了まで、あと60秒』

 そんな状況にお構いなくAIはシステムチェックを愚直に実行している。


 お姫様は、PMUに驚いた様子で一瞬立ち止まったが、洋平が乗っているのをコックピットの強化ガラス越しに見ると、自分が走って来た魔法陣の方を指差して何かを叫んでいる。

 彼女を声を良く聞こうとドアに手をかけた洋平は、魔方陣の奥から迫り来る影を見て動きが止まった。

「ドラゴン?」

 魔方陣の向こうから迫ってきた巨大な影は、まさにドラゴン。

 巨大な恐竜型の二足歩行生物で、しかも肉食らしい牙が生えている。

 唯一ファンタジーのドラゴンと違う点を上げると、背中に羽が無いことくらい。

 ドラゴンの方も巨大なPMUを生物か兵器と思ったのだろうか。

 魔方陣を抜けた所で立ち止まり、グルルと喉を鳴らした。

『オールシステムチェック、継続中。終了まで、あと50秒』

 お姫様は、PMUの横を走りぬけて逃げてゆく。

 何かを叫んでいたが、よく聞こえなかった。

「おいおい、どうすんだよ。これ」

 洋平は考えた。

(これは、どう考えてもドラゴンが悪者だよなあ。あのお姫様、何を言ったんだろう?『お願い、助けて』かな)

 だが、助けてほしいのは洋平も同様だった。

「これで、こいつが動ければ、まだ何とかなるけれど」

『オールシステムチェック、継続中。終了まで、あと40秒』

 AIはPMUがしばらく動けないと宣言している。

「戦闘ロボじゃないんだぞ、PMUは」

 

『ゴアアアアァ!』

 

 大地が震えるほどの大音響だった。

 それは、ドラゴンの咆哮。

 その声だけで、オシッコチビリそうになる洋平だった。

 威嚇の声に、微動もしないPMUを唯のハリボテだとでも思ったのか、ドラゴンの顔が歪んだ。


「笑った。あのドラゴン、笑いやがった!」


 ドラゴンが体を大きく回した。

 次の瞬間、PMUに大きな衝撃が襲い、フロントガラスに大きな亀裂が走る。

 ドラゴンが振った尻尾がPMUに当たったのだ。

『オールシステムチェック、継続中。終了まで、あと30秒』


(こんなの何発も喰らったら壊れる)


 PMUを完全に破壊するには、この攻撃だけでは30秒以上かかるだろうが、PMUがシステムエラーで起動しなくなるかもしれない。

「そうなったら、石の狸だ!」

 洋平は、システムチェック中でも動く唯一のボタンを押した。


『ビイイイイ!』


 警笛である。

 動かないと思ったPMUが、突然に吼えたのでドラゴンは数歩下がった。

『オールシステムチェック、継続中。終了まで、あと20秒』

(ビビッたな。そのまま再起動まで動くなよ)

 洋平は期待を込めて祈ったが。


 ドラゴンが大きく口を開いた。

 喉の奥が広がり、赤い炎が見える。

「うそ! ドラゴンブレス?」

 

 第二話の投稿です。書き溜めた分があるので、ここしばらくはお待たせせずに更新できると思います。

 すでに、お気に入り登録をしていただいた方もあり、大変うれしいです。

 やっぱり、モチベーションて大事ですね。

 やるぞって気になります。


 これからも、よろしく。

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