『営業報告』
「ほお~」
「はあ~」
アホのようにポカンと口をあけた感嘆の呟きをもらす大吉と洋平。
彼らの視線の先には、白を基調として要所に緑が上品に配されたワンピース型の制服を纏ったアムネがいた。
お嬢様学校の制服なので、オーソドックスでおとなしいデザインだが、アムネには似合う。
ついでに、ティアラは外されて結い上げられた髪は、ツインテールに結いなおされている。
(ツインテールって、似合う娘が少ないと思っていたけど……姫にはピッタリだなぁ)
と、見ほれる洋平。
また、少しサイズが大きくて、袖から指がチョコンと出ているのもポイントが高い。
「いやあ、お嬢ちゃん! 綺麗やなあ~。馬子にも衣装やで」
「社長……それ褒め言葉じゃないですよ」
などと漫才を繰り広げる男二人。
「悔しいけど……アムネって、ウチの制服が似合うなあ」
〈ありあとうございます。異世界の服なので、ちゃんと着こなせているか不安だったのですが……〉
「大丈夫だよ。鈴音よりは数倍似合っているから」
「だから、なんで私を比較に出すわけ?」
「だって、分かりやすいだろう」
「まったく洋平兄は、もう」
プイと頬を膨らました不満顔の鈴音。
などと話していると、洋平のスマートフォンが着信を知らせる。
あわてて出ると、上司からであった。
「ええ! 本当ですか?」
上司からの連絡を受けた洋平は驚き、成本大吉に確認をいれた。
「ああ、PMUの新しいのを2台買うことにした。担当は洋平くんを指名したで。今日は、一日ワシの接待やで」
大吉は、洋平の知らぬ間にPMUを2台も注文したのだ。
しかも、洋平が担当に指名した。
これは、とんでもない営業成績になる。
洋平の上司も上機嫌で、成本社長への営業活動を最優先してくれ、他の業務は一切しなくてよい。と言ってきた。
「と、言うわけや。アムネお嬢さまのお世話をたのむで。なにしろ、ワシの恩人やからなあ」
と、笑う大吉。
そんなわけで、洋平はアムネと一緒に行動できるようになった。