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異世界ロケット  作者: 阿波座泡介
1章 ジアース編
15/17

『格闘小町 吉川鈴音』

 顔面防具と一体になったヘッドギア。

 手足を守るプロテクター。

 動きやすいが、正中線上の急所を守るバトルスーツ。


 少々、窮屈な格好だと、吉川鈴音は思った。

 だが、それ以上に、心は開放されている。


(殴れる、蹴れる。キメられる!)


 ボッと、鈍い音がして、鈴音にキックが襲いかかる。


 その足を、なんと自分の足の裏で受けた鈴音は、そのまま飛んだ。


 相手のキックの威力を、全て自分の体の運動エネルギーに変換。

 クルリと体を返し、キックを受けた足をずらして、相手の足の指に絡めた。


 ペキ、と乾いた音がした。


(へへ、一丁あがり)


 そのまま体を離した鈴音は、空中で姿勢を戻して、しゃがむ様に着地。


(足の指の関節、ずらしちゃったから動けないでしょう)


 鈴音は勝利を確信して、ニヤリと笑った。

 だが……


「えっ?」


 目の前に、塊が迫っている。


「ええっ! ウソだあ!」


 そう叫びながら、鈴音は空中を飛んだ。


『吉川選手、場外』


 審判員の声が響いたが、観客席まで吹き飛ばされた鈴音は、パイプ椅子に絡まって気を失っていた。


「きゅうう~~」



「おい、鈴音。大丈夫か?」


 同じクラブの先輩の声で気がついた鈴音。


「あはは……負けちゃった」


「初出場で四位なら上出来だよ。しかも、そんなチッチャい体で無差別級でなんてな」


 先輩は、少々あきれた声で、安心した声をかけた。


「チッチャい言うな! お相手さんは?」


「ああ、足を痛めたようだな。あっちで休んでるようだけど……お前、やったのか?」


「ちょっとね」


「足癖の悪い奴だな」


「へへへ」


 ちょっと笑いながら、テテテッと小走りに走って対戦相手が休むベンチまで移動した鈴音。


「いやあ、負けちゃったよ。強いねアンタ」


 そう言うと、相手が答える暇も与えずに、冷やしている足を掴み。


「ちょっ……なにを……」


「ポチッとな」


 鈴音の手の中で、パキッと音がした。


「痛っ!」


 一瞬苦痛に歪む顔。


「コラ! アナタなにをしているの?」

「負けたハライセか!」

「ふざけた奴ね」


 対戦相手のチームメイトが一斉に掴みかかろうとした時。


「待て!」


 対戦相手が、静止の声をかけた。


「治してくれたんだね。ありがとう」


 対戦相手が、手をさしだした。


「ごめんね。アンタ強いから、こうでもしないと勝てないと思って……負けちゃったけどね」


 鈴音は、差し出された手を握った。

 相手も、力強く握り返した。


「私に勝ったんだから、優勝しないと承知しないぞ」

「ああ、そのつもりだ」


 この小柄な高校生が、吉川鈴音である。

 この地方では、名門お嬢様学園に通うも、いっこうに山猿から脱皮できない、格闘小町である。



 シャワーを浴びて、防具やら一式をスポーツバックにしまった鈴音は、クラブメイトと別れ、クロスバイクに跨って家路につこうとしていた。

 その時、鈴音のケイタイが着信を知らせる。


「おお、洋平兄じゃないの」


 従兄妹の洋平からの電話は、いま鈴音がいるスポーツ施設から近い総合病院へ来てほしいと言うものだった。


「えっ! なに? 洋平兄、怪我でもした! それとも病気!」


『ちがうよ。でも、ちょっと助けてほしい状況なんだ』


「? 病気じゃないけど、助けて?」

 

 事態がよく理解できない鈴音であるが。


「分からんことを考えるより、体を動かすぞ!」


 バビュンという勢いでクロスバイクを駆る鈴音は、一路、総合病院へと向かった。


 更新が遅れました。

 すいません。


 元気少女 鈴音ちゃんが登場です。


 いや、元気な娘って、書くのがしんどいですわ。

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