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異世界ロケット  作者: 阿波座泡介
1章 ジアース編
12/17

『ハート・ブレイク』

 エンジンの音が聞こえてきた時に、洋介とアムネはビックリして体を離した。

(あの……その……ごめんなさい)

〈いえ……わたくしの方こそ……その……〉

 二人は、すごく悪いことをしているを見つかった気分だった。


 洋介は、4WDビークルから降りてきた人物を知っていた。

(たしか、成本興業の社長さんだったよなあ)

 成本興業とは成本が経営する土地運用会社で、このショッピングモール跡地の所有会社である。


「どないなっとる! なんで、PMUが壊れとる。なんで、建物が壊れとるんや」


 ドカドカと荒い足音をあげて洋平達の方へと進む大吉。


(まあ、状況からして、僕が怒られるのは当然かもしれないけど……かんべんしてぇ)


 本当の事を正直に話して解決するはずもなく。

 正直、泣きたく洋平である。

 それでも、事態を解決しなくてはならない洋平は、アムネ姫を守るように一歩進むと、大吉に向かって頭を下げ。


「申し訳ありません、社長。自分の判断でPMUを壊してしまいました」


 と、大声で謝罪した。


「ほお~、オマエか……確か、メンテナンスサービスの小僧やな」


「はい、PMUメンテナンスサービスの土岐洋介です」


「ほな、説明してもらおか」

 

 そう言うと、大吉はタバコに火をつけて、紫煙を胸の奥深くまで吸いこんだ。


「くっ!」


 また、大吉の胸が痛んだ。

 今度の痛みは、先のより鋭く長かった。


 先ほどのまでのものが画鋲を踏んでレベルとするならば。今度の痛みは、錐が刺さったレベルである。

 大吉は、大きく息を吸い込もうとしたが、萎縮した筋肉が動かなかった。

 叫ぶ事も、助けを求める事もできない。

 一言も声を出せなかった。

 息をすることも、小指を動かすことも出来なかった。

 痛みは増して、胸に巨大なドリルを突き立てられたようなレベルになっている。

 

「あの……社長?」


 大吉の只ならぬ様子に、洋平は声をかけてみた。

 だが、大吉は叫ぶような顔のまま表情を固定して、顔色が赤から青へと変化してゆく。

 そして、大吉は、そのまま崩れるように倒れた。


「社長! 大丈夫ですか」


 洋介は、なんとか大吉の頭を守って、ゆっくりと横たえる。

(こいつは、心筋梗塞? 脳血栓? 思い出せ。ファーストエイドは習ったろう)


「社長! 社長! 聞こえますか、社長!」


 洋介は、大吉のおでこを抑え、耳元で大声で呼んだ。

(……反応が無い)

 大吉の上着のボタンとネクタイを緩め、頭の角度を直す。

(気道は確保した。息は…無いじゃないか)

 両手を組み、大吉の胸を強く5回押す。

 だが、大吉からの反応は無い。

(くそっ、くそっ、くそぉ!)

 慌てて、ケイタイを出して非常通報を押す洋介。

〈この方、危ないですね。どいてください。洋介さま〉

 そんな洋介を押しのけて、アムネが大吉に触れる。

 先ほどの治癒魔法と同じ光が起こる。


「アムネ姫……治せるんですか?」


〈危険な状態です。私の力で蘇生できるのかは分かりませんが。やってみます〉


 そんな事を言っていると、ケイタイの非常通報が繋がった。

(ここは姫にまかせて、僕は救急を呼ばないと!)


 洋介は、現場と状況を救急に伝えた。



少し遅れました。すいません。

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